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バンドやろー
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自分好みのルックスと構えた感覚を大事に ベースの選び方

大人が始める音楽演奏を後押しする連載「バンドやろー」。今回はベースの選び方です。東京・渋谷にあるベース専門店、池部楽器店・グランディベース東京に向かいました。ベースだけでなく、楽器全般を新しく始めるにあたって、楽器店で選ぶ際に非常に参考になるお話を伺いました。

自分のニーズに合う楽器こそ1番の良い楽器

店内には価格帯の異なるベースがいくつも並んでいますが、初心者向きのものなどはあるのでしょうか。チーフの立﨑隆宏さんに話を聞きました。

「当店では、“良い楽器は高い”という考え方は存在しないんです。その人の無理のない予算や欲しい色などによって選ぶものが“良いもの”だと思うので。同じメーカーの中でもいくつかランクがありますが、あれはお客さまに、予算に合わせて選んでほしいからだと思うんです。たくさんの色がそろっているのも同じです。もちろんコストパフォーマンスの良しあしといった、値段の割に品質が良いものとかはあるんですけどね」

付けられた値段にドキッとすることも多い楽器の世界だが……
付けられた値段にドキッとすることも多い楽器の世界だが……

――では、お客さまがお店にきて、「どれが良いか分からないです」と言う場合、どのようにアドバイスしているのですか。

「お店に楽器を見に来ている時点で何かしらの理想はあるんですよね。全然分からないといっても、じゃあこのピンクので良いですかっていうと大体嫌だって言われるんです(笑)。やっぱり何かしらあるよねと、それをお客さまにインタビューする感じで探っていくんです。例えば、まずは値段を考えずに好きな色や形を選んでもらって、それが26万円だとして予算が5万円なら、26万円の機種に近いイメージの5万円の楽器を探します」

ピックアップが二つのジャズベースと、一つのプレシジョンベースにインスパイアされたベースが数多くある
ピックアップが二つのジャズベースと、一つのプレシジョンベースにインスパイアされたベースが数多くある

予算、音の系統、ルックス(色や形)などの理想を聞き優先順位をつけていくと、お店にある400~500本の中から10~20本までに絞れるそう。お店に行った時点で自分の欲しいベースが分からなくとも、そのようにして導いてくださるのは心強いですね。

「あとは、良いと思ったベースを持ってもらうんです。持って構えて、何かが違うとなったら、それはやめようと。人間の身体はよくできているので、何かが違うっていうのは感覚としてあるし、多くの場合覆せないんですよね。例えば車を運転したことがない人でも、運転席に座ってハンドルを握っただけで、ハンドルの形が嫌だとか、何か違う、みたいなことがあるわけです。服もそう。飾ってあると格好良いけど着てみると何かが違うみたいな」

一人ひとり合う楽器の形などは変わってくるということですね。例えば重さが気になる場合は、ストラップを太いものに変えるなど工夫をすることで調整ができる場合もあります。しかしやはり「なんとなく違う」を覆すのは難しい場合が多いそう。

フェンダー・ジャズベースを持つ立﨑隆宏チーフ
ベースの“王道”ともいえるフェンダー・ジャズベースを持つ立﨑隆宏チーフ。 ※撮影のため、マウスシールドを使用。普段はマスクを付けて接客しています

「一般的にこういうのが使いやすいという王道のような楽器もありますが、それは数が多くてなじみがあるというだけで、“それが普通”だとは思いません。選ばなかったら異常というわけではないですし。お客さま自身が良いと思わないのに、周りの人に“それが普通”だと言われたから選ぶのはつまらないし、ベースを長く続けられないパターンになると思います」

初心者の方がベースを買いに来店する際、経験者と来店することも多々あるとのこと。そのとき、経験者が「これが良い」と断言してしまう場合もありますが、立﨑さんはまず本人に希望を聞くそう。良い楽器は本人のニーズに合うもの。人によって異なるのです。

個性的なルックスのベースもたくさんある
個性的なルックスのベースもたくさんある

音の特徴に希望がなければ汎用(はんよう)性の高いものを

音の違いに関してはどうなのでしょう。

「明確にこの音を出したいという希望があればもちろん、とことん伺います。ですが、聴く音楽と弾く音楽が一致するとは限らないんです。最初は一致するかもしれないけど、弾く音楽の幅が広がるかもしれないんですよ。だから、特に強い希望がなければ汎用性が高いものにすると後々便利だよという薦め方をします」

――ジャンルによって向いているタイプが違ったりするんですか。

「ギターなどと異なり、ベースは全体を支える楽器なので大きくは違わないと思います。6~7割がフェンダーや、フェンダーにインスパイアされたメーカーが占めていて、その中でもジャズベースが標準みたいになっています。それが色んなジャンルで使われているので、音をあわせやすいんですよね」

ジャズベースタイプが並ぶSadowsky Guitarsのコーナー
ジャズベースタイプが並ぶSadowsky Guitarsのコーナー

――初めは4弦にしておいた方が良いのか、5弦でも大丈夫でしょうか。

「昔は“初心者に5弦は早い”と言う人もいたのですが、今は5弦ベースは一般的になってきています。好きなアーティストが5弦を使っている場合、その曲をコピーするためには5弦が必要です。大は小を兼ねるという考え方で、将来的に色んなことをやりたいと、初めから5弦を選ぶ方もいます。とはいえ、5弦ベースは4弦に比べて少し重いですし、本体と弦の値段が高くなるので、どちらでも良いという場合は4弦をおすすめしています」

フュージョン音楽が好きなら6弦ベースという手も
フュージョン音楽が好きなら6弦ベースという手も

――アクティブサーキット(電池を使う回路)の有無による違いなどはどのようなものなのでしょうか。

「ベースは太い弦と細い弦とで音量の差(ダイナミックレンジ)が大きいため、アクティブサーキットを使うことによって、ある程度音を整えることができます。ベース本体で細かく音作りができるのもメリットですね。ですが、従来のジャズベースのように、アクティブサーキットが付いていないパッシブ型で良い音を出している人もたくさんいます。本体に色んなツマミが付いているのは嫌という方もいるので、どちらが良いかと言われればお好みで良いと思います」

アクティブサーキットが付いたYAMAHAのTRBXシリーズやパッシブのBBシリーズ
アクティブサーキットが付いたYAMAHAのTRBXシリーズやパッシブのBBシリーズ

――スケール(弦の長さ)による違いはありますか?

「ロングスケールは34インチ、ミディアムが32インチ、ショートが30インチ。小柄な人や女性はショートで……と思うかもしれません。しかしネックが短いと、弦のテンション(張力)感や弾いたときの跳ね返りが弱くなって音の歯切れが悪くなることもあるので、基本はロングスケールをおすすめしています。大人の方でしたら手が届かなくて弾けないようなフレーズはあまりないと思うので、ロングで大きすぎることはないかと」

【動画】ベース選びのコツとアクティブサーキットの使い方を解説

主なメーカーと便利なエフェクターを紹介

メーカー別の特徴についても伺いました。

「YAMAHAのベースはコスパがダントツで良いですね。3~4万円のものでも十分に良いです。Bacchusというメーカーもあり、これも買いやすい値段で初心者の学生の方からは人気ですね。昔は1万円台のベースなどはクオリティー的に話にならなかったんですが、今は安くても良いものがたくさんあります」

1万円台の機種も並ぶBacchus
1万円台の機種も並ぶBacchus

「Ibanezも日本の会社ですね。音も見た目もかなり幅広いバリエーションがあります」

Ibanezは多くのバリエーションをそろえている
Ibanezは多くのバリエーションをそろえている
ESPのベース
ESPのベース。ピンクとグリーンのボディーはEDWARDSブランドの機種

ドイツのWarwickは個性が強く、音の塊感がある硬めの音が特徴的なメーカーだそう。エキゾチックウッドのブビンガなど特殊な木材を使っていて、木の質感がいかされた見た目は非常にスタイリッシュ。

立﨑チーフが直接ドイツまで買い付けに行くというWarwickのベース
立﨑チーフが直接ドイツまで買い付けに行くというWarwickのベース

――定番のエフェクターはありますか?

「エフェクターは必須ではないんですが、音をファットに(太く)するために使う方はいらっしゃいますね。中でもSANSAMPを使う人は多いです」

SANSAMP
これを知らないベーシストはいないとも言われるSANSAMP。通常は黒だが、こちらはIKEBE楽器オリジナルの通称「赤サンズ」

――他におすすめは?

「これはZOOMのマルチエフェクターなんですけど、ヘッドホンも挿せてメトロノームもついていて、外部入力でスマホの音源を鳴らせたりもします。これ一台で全部済みますね。鳴らす環境のこともあって、今はヘッドホンアンプを使う人が多いです。なのでこれ一台で音が鳴らせるのは大きいですね。色んな音を試したいという人におすすめの機種です」

ZOOM B1 FOUR
マルチエフェクター ZOOM B1 FOUR。価格は7千円台だが、たくさんの音色を楽しめる

バンドを支えるベーシスト。自分に合った楽器を見つけ、演奏への一歩を踏み出せそうな気がしてきましたね。

「初心者の方はとにかく気軽に声をかけていただきたいです。まずは『こんな感じでやってみたい』と遠慮なく相談していただければと思います」

今回取材したグランディベース東京さんなど、池部楽器では11月11日の「ベースの日」に合わせ、「ベースの日」スペシャル月間を開催。ベーシストの対談記事など様々なコンテンツを公開しました。あまりないベーシスト同士の対談、初心者向きの話題もありますのでこちらも是非チェックしてください。
https://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/bass1111/index.html

(文:村上麗奈/写真・動画:高橋敦)

【360度パノラマ写真】ベースに囲まれて

    ◇

グランディベース東京
東京都渋谷区桜丘町16-13 大和田第一ビル6F
http://www.grandeybass.tokyo/

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