冬こそフィンランドへ! サンタクロースのふるさとで、夢心地のクリスマスを

今年もクリスマスがやってきました。キラキラと輝く街並み、美しいショーウィンドーに心躍る時期……のはずですが、今年は、最後に買い物へ出かけたのはいつだったっけ?とブルーな気分になっている方も多いのでは。そんなときは、気分だけでも世界へ飛び出しませんか? 編集部員が昨年末に出かけたサンタクロースのふるさと・フィンランドへの旅行記をお届けします。メルヘンのような世界に浸って、来年こそはと、一緒に思いをはせましょう。(文・写真:&編集部員・大賀有紀子)
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>>きらめく街並み、おしゃれサウナ……フィンランドの旅をぜひ記事下のフォトギャラリーでも!
澄み切った空気の中きらめく、洗練された数々のイルミネーション
うっとりしてしまうイルミネーション……。ここはフィンランドの首都ヘルシンキ。昨年12月、フィンエアーの札幌―ヘルシンキ線が就航した際、訪れました。サンタクロースのふるさとも、クリスマスシーズン真っ盛り。街の中心部は、様々な形のちょっと不思議なイルミネーションで光に満ちていました。

2019年冬のヘルシンキ中心部を彩るイルミネーション。球体が浮いているような不思議な形のものも
フィンランドの12月なんて、凍えてしまうんじゃないの……と思いますか? 確かに寒いは寒いのですが、首都ヘルシンキはフィンランドのほぼ最南端。昨年は暖冬だったようで、訪れた際の積雪もありませんでした。筆者は出発地・札幌の方が寒く感じました。といっても最高気温は0度ほどで、更に緯度が高いため冬は太陽が昇っている時間も短く、このイルミネーションの写真を撮ったのも午後4時ごろ。お店の閉店時間も春夏より早まり、観光に充てられる時間はわずか。ゆっくり夕食やサウナを楽しむ旅というのも、いいかもしれません。
寒いですが、ピンと張り詰めた空気が気持ちいい。イルミネーションの明かりが澄んで見えます。

きらめく「ストックマン」周辺。「A」のイルミネーションが続く通りは、ヘルシンキの中心部を東西に走る大通り「アレクサンテリンカトゥ」。この通りのライトアップは、1949年、戦後の大変な時期、人々の心に光をともすため、始まりました。寒いけれど、ぬくもりを感じる明かりです
ひときわ輝く街の中心に鎮座しているのが、北欧最大のデパート「ストックマン」。創業は1862年の老舗です。日用品から食材、洋服、化粧品まで何でもそろいます。フィンランド旅行のお土産をここで買うのもオススメです。

「ストックマン」のクリスマスショーウィンドー
ストックマンは、クリスマスを待ち焦がれる時期になると飾られるクリスマスショーウィンドーが有名です。このショーウィンドーを見るために、フィンランド中から家族連れが集まるそうです。ショーウィンドーの前には、子どもも見やすくするためなのか、木製の台座も設置されています。

町行く人が思わず足を止めて見入ってしまう、「ストックマン」のクリスマスショーウィンドー。毎年内容も変わるようで、フィンランドの人々にとっては、冬の風物詩となっています
私が訪れた日も、多くの子どもたちが夢中になってのぞき込んでいました。
グロッギをふうふうしながら回りたい、かわいいクリスマスマーケット
さてヨーロッパといえば、クリスマスマーケットが有名ですよね。特にドイツや東欧諸国のものが知られているでしょうか。街がイルミネーションの光に包まれている光景は、写真で見ているだけでも魔法に掛けられたような夢気分になってしまいます。
フィンランドでも、ドイツなどに比べたら規模はささやかですが、クリスマスマーケットが開かれます。

元老院広場から見えるヘルシンキ大聖堂。奥の小高い丘にそびえ輝いている白亜の建物がそうです
私が訪れたのは、観光スポットであるヘルシンキ大聖堂近くの元老院広場で開かれていたクリスマスマーケット。ヘルシンキで一番昔からあり、一番人気のあるクリスマスマーケットなのだそうですよ。

クリスマスマーケットが開かれている元老院広場。メリーゴーランドも設置されており、子どもは無料で楽しめるそうです
ヘルシンキの中でも特に歴史を感じるこのエリア。ヘルシンキ大聖堂は1852年に完成した、ヘルシンキの中で最も古い建築物の一つ。白亜の大聖堂から元老院広場へ連なる大階段は圧巻です。

大聖堂へ続く階段では、学生さんが座っておしゃべりしてたり、大聖堂を背景に写真を撮る人の姿があったり
元老院広場でのクリスマスマーケットには、およそ100の店舗が軒を連ねています。編み物屋さんや帽子屋さん、北欧の伝統的なモビール「ヒンメリ」のお店やパペットショップまで!

色までかわいいクリスマスマーケットの屋台
マーケットには、軽い食事も出来るフードコートのような場所も設置されています。プラスチックの小屋のようになっている中で休めるので、冷えた体を温めるのにもピッタリ。

フードコートは屋根や壁がないように見えますが、ちゃんと透明な板が設置されており、中は温かいです
ここでいただいたクリームスープとグロッギ(ノンアルコールの、ホットワインに似た果実ジュース)がとてもおいしかったです。スープは、たっぷりのサーモンとジャガイモに、ハーブのディルと、北欧の“うまみ”がギュッと入っています。コクがあるけどあっさりしていてとても食べやすく、ごろごろ入ったジャガイモでおなかも膨らみます。グロッギは、ブドウジュースなどの果実ジュースと、シナモンやカルダモン、ジンジャーなどのスパイスを煮込んだ飲み物。飲むごとに体が芯からぽかぽか温まっていくのを感じます。寒い地域には、寒さをしのぐたくさんの受け継がれてきた知恵があるのだなあ。

手前がサーモンとジャガイモ、ディルのクリームスープ。右奥にある飲み物が「グロッギ」。見ているだけで温まります
観光客向けというよりも、地元の人たちがグロッギを片手にふうふうしながら、大切な人へのプレゼントを選ぶ……そんな素朴さが好印象でかわいらしいマーケットでした。
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少しの間でしたが、フィンランドのクリスマス気分を味わっていただけたでしょうか?
本文では見せられなかったクリスマスに沸き立つヘルシンキの街や話題のおしゃれサウナ、フィンランドの古都ポルヴォーの写真を、ぜひフォトギャラリーでお楽しみください。
寒い時期になぜ北のフィンランド?と思われたかもしれませんが、北国のおいしい食べ物や文化などの“うまみ”をたっぷり体感するなら、やはり冬なのではないでしょうか。

本文で紹介しきれなかったフィンランドの魅力を、ぜひフォトギャラリーでご覧ください!
そして私たちが人生のだいご味である“旅”を楽しめなくなってもうすぐ1年が経とうとしています。
県境、国境、急で必要か、不要不急か……様々な、見えない“境”に翻弄(ほんろう)されてきました。
この1年は、誰にとっても同じ重さの1年だったのでしょうか。
私たちの日常が一日も早く元に戻り、見えない“境”を超えて心から旅を楽しめる日が来ることを願ってやみません。
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【取材協力】
・Visit Finland
本場のクリスマスに行ってみたいなぁ。
ヘルシンキに雪が大して降らないことが驚きでした。
寒いだけで案外住みやすいのかなと思いました。