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天守復旧の熊本城、大手門復元の鳥取城など 2021年注目の城

日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載「城旅へようこそ」。2021年最初の記事では、今年おすすめの城を紹介します。
(トップ写真は内部公開を4月に控えた熊本城天守)

なかなか思うように旅ができなかった2020年。2021年は少しでも城をめぐりたいと願う方も多いだろう。コロナ禍は厳しい状況が続いているが、昨年は中止になったイベントも、規模を縮小して再開される兆しがある。そこで今回は、2021年注目の城をご紹介したい。

天守が復旧、4月には内部公開 地震被災の熊本城

今年は、熊本城(熊本市)が大きな話題になるだろう。2016(平成28)年4月の熊本地震で甚大な被害を受け復興への長い道のりは続くが、ついに天守が復旧。4月26日から内部が一般公開される。

天守復旧の熊本城、大手門復元の鳥取城など 2021年注目の城

熊本城。被災した熊本地震から4月で5年を迎える

天守の外観は震災前とまったく同じだが、葺(ふ)き直された瓦の継ぎ目に塗られた真っ白な漆喰(しっくい)、真新しい真っ黒な壁面がまぶしい。以前のように、大天守最上階からの景色が楽しめるようになるのもうれしい限りだ。内部の展示内容は大幅にリニューアルし、天守に特化した展示になるという。熊本城に関する展示は、「桜の馬場 城彩苑」の「熊本城ミュージアム わくわく座」で見ることができる。セットで訪れたいところだ。

2020年6月1日からは、地上約6メートルの高さに敷設された特別見学通路が開通している。復旧期間中だけ設置される、被害状況や復旧の過程などを見学できる通路だ。これまで見られなかった視点で眺める石垣や櫓(やぐら)も、また格別。現在は日曜・祝日に公開が限定されている北ルートも、4月26日からは原則として毎日公開される。

天守復旧の熊本城、大手門復元の鳥取城など 2021年注目の城

特別見学通路から見る「二様(によう)の石垣」と天守

中ノ御門表門が3月に復元完成 鳥取城

3月に中ノ御門表門(なかのごもんおもてもん=大手門)が完成予定の鳥取城(鳥取市)も注目だ。城の正門にあたる幅約10メートルの立派な城門が146年ぶりによみがえる。2018(平成30)年に復元された擬宝珠(ぎぼし)橋とともに、鳥取城の新しい顔となりそうだ。

鳥取城は、羽柴秀吉による1581(天正9)年の兵糧攻め“渇(かつ)え殺し”の舞台で知られる。籠城(ろうじょう)戦後は秀吉の家臣・宮部継潤、関ケ原の戦い後は徳川家康の家臣・池田長吉が城主となり、石垣を用いた城へ改修され、山上から山麓(さんろく)へと城の中心が移された。1617(元和3)年に池田光政が城主となり、32万石の大藩となった。

天守復旧の熊本城、大手門復元の鳥取城など 2021年注目の城

完成間近の中ノ御門表門。手前が擬宝珠橋=2020年11月11日撮影

1621(元和7)年に光政が城の正面玄関にかけたのが、大藩の威容を示す擬宝珠橋だ。復元された城の橋としては国内最長で約37メートルにも及ぶ。実際に用いられた擬宝珠がひとつだけ残っており、その擬宝珠で鋳型を起こして精巧に復元している。伝統的な「煮黒目仕上げ」で重厚な輝きを放つ。

三の丸が国の史跡追加指定へ 米子城

同じく鳥取県内の米子城(米子市)も楽しみだ。近年の発掘調査により全国的に珍しい登り石垣が発見されるなど全容が明らかになりつつあるが、2020年11月には三の丸を国の史跡に追加指定する文化審議会の答申が出た。整備の一環として旧湊山球場のレフト側スタンド部分が撤去され、壮大な米子城の姿がよく見えるようになった。

天守復旧の熊本城、大手門復元の鳥取城など 2021年注目の城

湊山球場があった、米子城の三の丸=2020年11月10日撮影

球場の建設時に数メートル盛り土したため、実際の三の丸の地表面は地下にある。二の丸の石垣や表中御門枡形(ますがた)の石垣も埋まっており、石垣は現在見えているより少なくとも3メートルほど高いらしい。城下町側から見上げる米子城は、今よりさらにダイナミックで壮大だった。調査が進めば、三の丸内にどのような建物が建っていたかも判明するだろう。江戸時代の景観がよみがえり、かつての姿が解明されるのが待ち遠しい。

天守復旧の熊本城、大手門復元の鳥取城など 2021年注目の城

米子城本丸からの眺望

天守北面に鉄板張る事業 福山城

福山城(広島県福山市)では、2022(令和4)年の築城400周年に向けて記念事業が行われる予定だ。1620(元和6)年に築城がはじまり、翌年から天守の建造を開始。1622(元和8)年に竣工(しゅんこう)したとされ、来年400周年を迎える。

全国の著名な城の多くは、1601〜1614(慶長6〜慶長19)年頃に築城が開始されたケースが多い。1615(慶長20)年の一国一城令公布後は多くの城が廃城となり、特例を除き新たに城が築かれることはない。福山城が1620年から新築されたのは、西国の鎮護という戦略的・政治的に重要な役目を担っていたためだろう。徳川家康のいとこにあたる水野勝成が築き、歴代城主には譜代大名が名を連ねる。現存する伏見櫓は、徳川秀忠の命により移築された伏見城(京都市)の松の丸三重櫓だ。

天守復旧の熊本城、大手門復元の鳥取城など 2021年注目の城

福山城の伏見櫓(左)

福山城の天守(福山城博物館)は、2022年8月までリニューアルのため休館中だ。天守は1945(昭和20)年の福山大空襲によって焼失したが、明治時代に撮影された古写真には、1〜4階までの北側の壁面に鉄板が張られた世にも珍しい姿が写っている。復元されている天守の外観はかつての姿と異なるが、築城400年記念事業の一環として、よろいをまとったような姿が可能な限り再現されるという。変わりゆく姿にも注目したい。

(この項おわり。次回は1月18日に掲載予定です)

#交通・問い合わせ・参考サイト

■熊本城
https://castle.kumamoto-guide.jp/grand-unveiling/

■鳥取城
https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1432278469689/index.html(鳥取市)

■米子城
https://www.city.yonago.lg.jp/4439.htm(米子市)

■福山城
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyamajo/(福山市)

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