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花のない花屋
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母を亡くして苦しんでいる、私の恋のキューピッドへ 今度は私が味方になるから

全国農業協同組合連合会(全農)では、新型コロナウイルスによる大きな影響を受けた花の生産者を支援する取り組みを行っています。その一環として、連載「花のない花屋」にご協力いただきました。

あなたの「物語」も、世界で一つだけの花束にしませんか? エピソードの応募はこちらから。

〈依頼人プロフィール〉
島崎 真智子さん(仮名) 27歳 女性
岡山県在住
会社員

     ◇

私と夫は、本来ならきっと出会うことはなかったでしょう。
大切な友人、真奈美がいなければ。

私と真奈美は高校2年生の時、共通の友人がいたことで仲良くなりました。
ある日会話の中で、地元のJリーグチームの観戦が趣味であることが分かり、地元で試合がある時は毎回のように一緒に応援に行くようになりました。

私は友人たちとあまりワイワイ遊ぶタイプではなかったので、学校の外でも遊ぶ友人は真奈美だけでした。

真奈美は交友関係も広く、私とは正反対の性格。明るくてパワフルで、それが災いして高校時代は何度もケンカしました。でもしばらくすると「サッカー見に行かん?」と真奈美から話しかけてくれて、なんだかんだで仲が続きました。

大学は、高校からエスカレーター式に進学。私は4年制大学、真奈美は短大へと進みました。高校の仲良しグループはみんな同じ大学か短大へ進学しましたが、SNSではつながっているものの別の人間関係ができ、あまり集まることもなくなりました。

そんな中でも真奈美だけは、ご飯やらカラオケやら、いつも私を遊びに誘ってくれました。

社会人になった年のある日、真奈美から「いつなら空いてる?」と連絡が来ました。
就職してからはあまり会えなくなっていたし、久しぶりに2人でご飯にでも行くのかな?と思い返信したところ、なんと大勢が集まる飲み会でした。これまで同様の集まりに誘われても、苦手だからと全て断ってきたのですが、まさにだまし討ちのように(笑)

渋りましたが、真奈美の勢いに押されて参加しました。その時、たまたま隣に座ったのが今の夫です。

そしてこれをきっかけに人間関係が広がり、この日のメンバーたちとよく遊びに行くようになりました。
真奈美のおかげで、世界がぐっと広がりました。

いつも明るくパワフルな真奈美。

ところが2019年末、真奈美のお母さんが突然倒れ、意識が戻らないまま亡くなりました。

真奈美はお母さん、弟の3人家族。急に支えを失った彼女は「自分がこんなことになると思わなかった。遊び歩いて、怒られてケンカして……お母さんには迷惑ばかりかけた」と、かなり後悔し落ち込んでいる様子でした。

そして2020年末、今度は彼女自身が体調を崩してしまい、1カ月ほど入院することに。
退院して新年を迎えることができましたが、元々心が繊細で落ち込みやすいところもあり、今もかなり不安な様子を感じます。

メッセージや電話はできますが、私も何と励ませば良いのか迷ってしまい、気持ちをうまく伝えられません。逆に「そっちはどうなん?」と気遣われてしまいます。

真奈美がいなければ今の私はありません。彼女は私のキューピッドです。

今は離れているけどずっと味方でいるから、ゆっくり休んでまたいつか会おう!というエールの花束を送りたいです。

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≪花材≫ダリア、チューリップ、ラナンキュラス、スイートピー、ブバルディア、ヒペリカム、ナデシコ、シクラメン、ガマズミ

花束を作った東さんのコメント

ご友人はまだお若いのにお母様を、それも突然亡くされるなんて、大変な思いをされましたね。気持ちがわーっと明るくなるような、ピンクと緑の花束をアレンジしました。
今はまだ冬ですが、市場には既に春の花が出回っています。チューリップやスイートピー、ラナンキュラスといった、春先の明るいイメージの花を使いました。真ん中に据えたのは大輪のダリア。丸いころんとしているのは実もののヒペリカム。下の方にブバルディアという小ぶりな花も入っています。
とてもパワフルなご友人ということなので、ぴょんぴょんアクティブな印象の花束にしました。作ったときはつぼみの花も、徐々に咲いて香りもほんのり感じられるようになってきます。心を癒やして、明るい春に向かって気持ちを整理できるといいですね。

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(写真・椎木俊介)

【年末年始プレゼント企画「小さなご褒美」】&w編集部の特別オーダーで、東さんが2021年を彩るミニブーケを束ねます。そのブーケを1名様にプレゼント。応募はこちら(1月15日〈金〉締め切り)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

     ◇

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

母を亡くして苦しんでいる、私の恋のキューピッドへ 今度は私が味方になるから

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

facebook

instagram

http://azumamakoto.com/

PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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