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インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

旅行作家の下川裕治さんと、写真家の三井昌志さんによる特別対談。1月8日に開かれたオンライントークイベントの様子の後編をお届けします。前編で忘れられない食事や宿の話で盛り上がったお2人。ハプニングや現地の人との関わりから、コロナ禍やインターネット時代の旅まで、意気投合しながら話題が広がっていきます。(文:&TRAVEL編集部・福宮智代)

(トップ画像:左から辻川舞子&編集長、下川裕治さん、三井昌志さん)

トラブル回避法は?

「忘れられないできごと」の三つめは、ハプニングについて。

ハプニングは「しょっちゅうある」という下川さん。ミャンマーでは乗っていたバスが横転! フロントガラスの割れたところから何とかはい出したそう。

「乗客はみんな通りすがりのタクシーに乗って、1時間くらい下ったところから何事もなかったかのように次のバスに乗っていった。これはなんなんだろう……」と、首をかしげます。

インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

ミャンマーで下川さんが乗っていたバスが横転。フロントガラスの割れたところからはい出した(撮影:阿部稔哉)

三井さんはバイク事故で命拾いをした経験が。ベトナムと中国の国境近くの山岳地帯で、夜中に落石をよけようとして、がけからバイクごと転落! 田植え前のやわらかい田んぼがクッションになってけがはなく、近くの村人に助けてもらったそうです。

「暗くてどこまで落ちるのかわからなくて。夜が明けてどんな道かわかり、怖くなった」

インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

ベトナムと中国の国境付近の山岳地帯(撮影:三井昌志)

旅につきもののハプニングやトラブルに、お2人はどう対処しているのでしょうか。

下川さんは、「交通事故は防ぎようがないけれど、ほかのトラブルを少なくするためには、自分の存在感を消すこと。なるべく目立たず、現地の人と同じように行動すれば、意外とトラブルをすり抜けられる」と話します。

インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

現地の人に救われたことも多いという三井さん。バイクに鍵をつけたまま撮影に出かけてしまい、戻ったら、近くのお店の子どもが「預かっておいたから」と鍵を持ってきてくれたそう。「本当に心配してくれた。インドの田舎で人の物を盗もうとする人に会うことはまれ。基本的に正直な人たちです」

下川さんも盗まれたものを現地の人に取り返してもらったことがあると言います。「旅では意外と守られる。現地の人たちは、この人は自分たちの側だと感じると守ってくれる。そう思われる歩き方を身につけると得だと思う」

トラブルを防ぐ心得について三井さんは「外国人らしさ、違和感を出すように行動する。こそこそして動いていると物が盗まれやすい」

インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

下川さんの対策は「ちょっと歩幅を広くとって歩く」だとか。「落ち着いた感じで歩いていると、この人からは盗めない、という雰囲気が出る。堂々と歩くことは、いろいろなトラブルを防いでくれる」と振り返ります。

体力は? 言葉は? 疑問に答えます

お2人は、視聴者から寄せられた質問にも答えます。

Q:年齢を重ねて体力が落ちても過酷な旅を続けるコツは?

下川さん:柳のように旅をする。揺れるように旅をするけど、折れちゃだめ。無理をしたら続かない。若い人にとっても旅はそういうもの。ある場所にもう行きたくないと思うのは、自分と現地のペースが合わせられてないから。ペースを合わせられれば、旅は年をとってもいける。

三井さん:下川さんと違い、僕は詰め込んだ旅をしている。バイクにまたがっている日中は写真のことしか考えず、食事もしない。何か面白い場面ないかなと3~4カ月間集中して動き続けたら、日本に帰って休むペース。

インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

Q:旅先で使う言語は?

下川さん:使わない、というか、自分のしゃべっていることは相手に伝わっていないと思います。僕はタイ語と英語と日本語が話せるけれど、それらが通じない国に行くことも多いし。ただ、言葉が通じないなら、相手が何を言おうとしているかを感じ取る力を人よりも持ってないと旅は続かない。会話はいらない、とまでは言わないけど、なくても大丈夫という気はする。

三井さん:カメラや写真が言語になっている感じがする。撮った写真を、素敵に写っているよ、と見せると喜んでくれる。写真があると、言語を超えたコミュニケーションがしやすい。

コロナ禍で考える旅のこと

コロナ禍で旅もままならない日々が続く中、「プロの旅人」として感じることは?

下川さんはコロナ禍の前までは20年以上、月の半分は海外に泊まっていて、「旅をすみかとした人生を送ってきた」と言います。ところが一転、自由に海外へ出られなくなり、「自分の中の旅の因子みたいなものが、一度体の外に出たなと感じる。今度旅に行く時は、ゾクゾクして飛行機に乗るんだろうな、という予感がある」

海外へ行けないことに悩み、山に登ったこともあるそう。そしてわかったのは、「こういう悩みは旅でしか解決できない」ということだそうです。

インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

三井さんの場合、冬は海外にいる生活が続いていたそうですが、2021年は7年ぶりに正月を日本で過ごしたそう。

「旅を長くしている人は、自分の思い通りにならないことをあれこれ考えず、スルーできる能力が身についていると思う」と話します。「見知らぬところに行くと面白いことがあるはず、とポジティブな要素を信じている人が旅人だと思う。今は静かに次の機会を待ち、旅に出られるようになったら、気持ちを爆発させて旅に向かいたい」

ネット時代に出かける意味とは

インターネットで遠い国の情報も即時に手に入る時代、あえて現地に出かける意味に話は及びます。

下川さんは旅の意義を、自分の置かれた状況を変えるために「時間の流れ方が違うところに身を置くこと」と考えます。「違う場所にいる人がインターネットでつながっているときは、お互いに時間の感覚を合わせているだけで、それでは解決できないこともある。やっぱり旅は旅としてある」

インターネットにコロナ禍、旅はどうなる? 下川裕治×三井昌志トークイベント「旅をするために生まれてきたの?」(後編)

「旅の最大のだいご味はセレンディピティー」と三井さん。セレンディピティーとは、目的ではない物を発見すること。その喜びは「インターネット上にはありません」と言います。「偶然に身を任せることや、現地の空気感、不意打ちの親切は、リアルの旅でしか味わえない。その部分は100年たっても200年たっても変わらないと思います」

世界各地へのリアルな旅を取り戻し、新たな「忘れられないできごと」と出会うことを胸に、語り合いは幕を閉じました。

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