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野村友里×UA 暮らしの音
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野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」

「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、現在カナダの島で暮らす歌手UAさんの往復書簡「暮らしの音」。「2世紀も続いた『地の時代』から『風の時代』へと移り変わり、価値観が『所有』から『共有』へと変化することに心が躍る」とつづったUAさんへの、野村さんのお返事は――?

野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
枯れ始めてからまた美しさがうまれる

>>UAさんの手紙から続く

うーこや

最近どう?
地の時代から風の時代。
あなたの手紙ってあまりにも的を射ていて、しかもたくさんの知識もくれるもんだから、私、何日かおきに手紙を読み直している。
そうすると、必ず新しい発見やその意味が、より浸透してくる。
そのうち、今までの手紙も含めて、全部プリントアウトして紙にして持ち歩きそう。
今度 “紙”でくれないかしら?

さて、また “風の時代” の話。
私はどうやら風の星生まれのようなので
少しばかり前から風、風と言われてこういうことだったのかと。
まさに良きことも、そうでないことも、身をもって実体験をしながらも
よしゃ。”来ぬ春はないのだ!” と言い聞かせてきた。

野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
水を与えず内包された水分だけで花を咲かせるアマリリス。球根からつぼみが開くのが楽しみ

サーフィンに例えるなら、波にもまれゴホゴホしながらも
ワイプアウトのようにいつか水面に出て、息ができる準備を、
焦らずその状態を客観視するように心がけてたりもした。

そしたら思いもよらぬワクワクする出来事もあり、
想像しなかった景色を見ることにもなったのだけど
いざ2021年、風の時代へ突入!となると、
”はて” 自分の中ではなんとなく若干ウツウツとしているのよね。。。

このウツウツ胸騒ぎは何かが大きく変わる前の身構えなのか、
はたして自分が半世紀近く生きてきたから感じる一つの節目なのか、
それはまだわからないのだけど。

野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
新年の恒例書き初め

ただ、恐ろしい出来事を本能的に感じると、
そのことがあたかも今、今日にでも起こるだろうとつい想像して、
自分のショックが少しでも和らぐようにしたいのか防御作用で、
ありもしない、起こりもしていないことのシミュレーションをし始めてしまうの。

そのわかりやすい一例は
近くの人が突然この世から消えてしまうのではないかということ。

それはいくつかの裏付けがあって、
たくさん元気をもらって希望を体現していたかのように見えた友人が暗闇に包まれてあの世に行ったこと、
くったくのない笑顔とユーモアで平和が歩いていたような友人が急死したり、
20年来の仕事の相棒の父の余命が残り数カ月、
確実に歳を重ね弱くなる両親、
世の中で起こる悲しいニュースも加わって、
諸行無常ともとらえられるけど、有限であるということの事実を、
今まで以上に、頭でこの体で、自分のことも含め、察し始めているからかもしれない。
今日もどこかでおぎゃーと新しい命も生まれているというのに。
“有限”にフォーカスしてしまう。

野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
両親が結婚前デートしてたらしいの。1964年東京オリンピック! どうなる2021年

うーこ!
これシンミリしている訳ではないの。
なんか時代の流れを感じているのよね、きっと私なりに。

だって時って確実に流れている。
毎朝寝て起きて、1日の始まりに思う。
”また新しい1日がやってきた” ってね。
その毎日一人ひとりの考えや行動がグラデーションになって、
大きなうねりや時代と呼ばれる塊をつくるのだから。

そんな気持ちになったのも、
今年に入って見た三つの展覧会と、原美術館の閉館という出来事が少なからず関係するのだと思う。

「ダブル・ファンタジー」 ジョン・レノン&オノ・ヨーコ展
「血が、汗が、涙がデザインできるか」 石岡瑛子展
「いま、風が吹いている」 向田邦子展

くしくも、怒濤(どとう)の ”地の時代” を全力の情熱で走り抜けた女性たちの展覧会だった。

みなさんほぼ同世代。
今健在であれば、80代後半から90代。そしてヨーコさんはもちろんのことご健在。

野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
原美術館

向田さんの展示で脚本の軌跡をのぞかせていただくと、
物語の家族構成やそこから透けて見える社会構造もしかり、
脚本を書かれたテレビドラマの台本に大きくくっきりスポンサーの企業名が印刷されているのを見て、刷り込みのように幼心に刻まれたテレビCMの宣伝歌が頭の中を流れてくる。
企業が大量に物を作り、大量に売る、高度成長期の昭和の匂いが立ちのぼってくる。

石岡さんが衣装を手がけた北京オリンンピックの開会式の模様は、
もう確実に一つ時代が違う遠い昔の出来事のように思えてならなかった。
画面いっぱいに映る何百人いや何千人とも思える同じ衣装をまとった人たち、
民族とも伝統ともグローバルともとれる踊りと音の総合演出は、
人力と経済の頂点の極みのようだった。
今は世界中の人がマスクをし、東京オリンピックがオリンピック始まって以来の延期になり、そして開催が危ぶまれている最中で、この映像はとても印象に残った。
世の中は確実に大きく舵(かじ)を切って変化しているのだと実感した。

野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
北京五輪開会式の衣装とビデオ映像(Photo:Kenji Morita)「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展示風景、東京都現代美術館、 2020年

つまり、うーこが書いていたように
地が象徴する、物質的なこと、所有や獲得、資本主義社会、そして地縁、血縁から風の時代への移り変わり。
所有から共有。物から目に見えないものへ。
つまりこれからどこに向かって生き、
何に希望を見いだしていきたいのか、
“明るい想像” こそが、誰にも問われていると心底思う。

「ダブル・ファンタジー展」は40年たってなおより濃く平和を、
自由、そして想像することの大事さを今こそ、と伝えてくる。
”誰かの” でなくて、一人ひとりの胸の中に ”私のイマジン” を持つ。
今年の目標は、私もイマジンからゆっくりしていこうかなと思ってる。
どんな自分を、そして世の中を、
この1年、そして10年、100年、をより具体的にイメージしてみようかと。
想像から始まる実現への一歩一歩。

野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
「ダブル・ファンタジー展」より
野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
「ダブル・ファンタジー展」より
野村友里さん「風の時代が到来。未来への希望を想像してみる」
「ダブル・ファンタジー展」より

うーこや、
私たち、金さん銀さんみたいになったらきっと、漫才コンビみたいなのしない?
そんな姿がフッと浮かんだんだけど。新世界の中で。
そんな想像をまず一つ明確に持ってみようかと思う。

友里

>>UAさんのお返事に続く

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