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骨盤からの情報でフォームを分析 “パーソナル”コーチが走りをアドバイスする「Runmetrix(ランメトリックス)」

私が初めてこの“小さな箱”を見たのは2年前の東京マラソンEXPOのアシックスのブースでのことだった。G-SHOCKでおなじみのカシオ計算機と共同開発中の製品だという。見た目は箱だが、最先端のデジタル技術を使ってランニングをマルチに分析できるという。話を聞いた瞬間、「欲しい!」と思った。いくらでどこで売っているのかと矢継ぎ早に質問した。だが、その時はまだ開発途上で、発売も未定とのことだった……。

あれから約2年、ついにというか、待ちに待った“お披露目”の時がやってきた。

カシオ計算機とアシックスは1月27日、オンラインの合同記者会見を開き、両社の価値共創事業として、スポーツ・健康市場でデジタルを使った新サービスを打ち出していくと発表した。それを積極的に推進するため、合弁会社の設立まで視野に入れているという。そしてその新事業のトップバッターに位置づけられたのが、2年前に見た、あの“小さな箱”だったのだ。いやぁ、待ってました!という感じだ。

私がこの箱に興味を持った最大の理由は、自分の走りがデータ化できるというだけでなく、データ分析に基づくトレーニングのプログラムが提示されるということだった。

記者発表でもその点が明確に言語化されていた。これは「ランナー向けの新しいデジタルデバイスの発売」ではない。「ランナー向けパーソナルコーチングサービスの提供」だというのである。サービスの名前は「Runmetrix(ランメトリックス)」。話を聞いて、デモンストレーションも見せてもらった。それは、私の想像以上のものだった。

GPSや9軸のセンサーが仕込まれた「CMT-S20R-AS」
【写真1】GPSや9軸のセンサーが仕込まれた「CMT-S20R-AS」

サービスの中心になるのが、モーションセンサー「CMT-S20R-AS」【写真1】と呼ばれるデバイスだ。重さ40gほどの小さな箱にGPSや9軸のセンサーが仕込まれている。腰に装着して走ることで、骨盤の動きを検知する。それによって、走行距離やペース、ピッチ、ストライドといった基本情報に加えてランニングフォームの解析に必要なデータを収集する。

モーションセンサーが取得した情報はスマートフォンアプリ「Runmetrix」(iOS/Android)を介して独自のAIアルゴリズムで分析、ビッグデータも活用して、体幹の傾きや骨盤の回転、接地衝撃などランニングに関する20種類以上の指標が算出される。その指標をナマの数値で見ることもできるが、前述のアプリによって、よりわかりやすい形に変換される。それが、【写真2左】の六角形のレーダーチャートと、【写真2右】のアニメーションだ。

【写真2】スマートフォンアプリ「Runmetrix」の画面。左が情報を視覚化したレーダーチャート。右は走行フォームのアニメーション
【写真2】スマートフォンアプリ「Runmetrix」の画面。左が情報を視覚化したレーダーチャート。右は走行フォームのアニメーション

レーダーチャートでは、「骨盤を軸とした全身の運動」「動きの力強さ」「スムーズな重心移動」「左右対称性」「安定した姿勢」「負担の少ない接地」が可視化され、自分の走りの長所と短所が一目瞭然、さらに100点満点で点数化もされる。これは楽しい。

アニメーションでは、自分のフォームと理想のフォームの比較ができる。要は、これまで専門の施設や特殊な装置がなければ計測できなかった人それぞれの走りの特徴を、誰もが手軽に見られるようにしたわけだ。

アシックスでは、すでにシューズ(足)に組み込まれたセンサーからランニングフォームを分析する「スマートシューズ」を提供している。今回はカシオと組んで、新たに「骨盤」からの情報でフォームを分析するシステムが加わったという話である。
【参考記事】ランナーの走りを解析しアドバイス スマートシューズに高まる期待

私のようなマニアックなおやじランナーにとってはこれだけでもワクワクものだが、真骨頂はここからだ。

【写真3】左はパーソナルコーチを選ぶメニュー画面。右はおすすめのトレーニング法を解説した動画
【写真3】左はパーソナルコーチを選ぶメニュー画面。右はおすすめのトレーニング法を解説した動画

このフォーム分析に基づいて、「速く走りたい人」「長く走りたい人」「楽しく走りたい人」とそれぞれの目的に応じて“パーソナルコーチ”からの下記のようなアドバイスが受けられる【写真3左】。

〈無理に遠くに着地しようとせず、身体の近くに着地を引き寄せる意識を持ちましょう。身体を支える脚全体の筋力トレーニングも欠かせません。特にお尻や太ももの裏の筋力を重点的に強化していきます〉

そして、それぞれのカラダに合ったトレーニング法が、なんと動画で見られる【写真3右】。まるで専属のコーチを得たような気分になれるスグレモノなのである。

フォームが点数化されるのも実にうれしい。前回、お伝えしたように新型コロナ禍でしばらくは一般ランナーが参加できるレースの実施が厳しそうだ。そうした状況下では、モチベーション維持がランナーにとっての大きな課題だ。それが、練習のたびに点数が出るということになれば、新たな目標になると思う。

モーションセンサーとアプリに連動するG-SHOCKも同時に発売される
モーションセンサーとアプリに連動するG-SHOCKも同時に発売される

ちなみに私は最近、コロナを理由に練習をさぼり続けていた。モーションセンサーを借りて軽く走ってみたところ、なんと「52点」という結果だった。フルマラソン完走者なら70点はいかないといけないらしい。ここは気分一新、頑張るぞ!という気持ちになれた。

腰につけたセンサーが骨盤の動きを検知することでさまざまなデータが得られる
腰につけたセンサーが骨盤の動きを検知することでさまざまなデータが得られる

こうしたサービスが可能になったのは、カシオの技術とアシックスの知見の“出会い”があったからだ。もともとカシオが産学連携で人体の動きをデータ化するセンサーの開発を進めていた。2012年くらいからだという。その研究がほぼ完成したところで、取得したデータをどう解析・応用すればいいかのノウハウを求めてアシックスに相談したのが、きっかけだった。18年から両社の“共創”が始まったという。
【開発ストーリー】https://runmetrix.casio.com/jp/

アシックスが同社スポーツ工学研究所(神戸)で長年にわたって蓄積してきたランニングに関するビッグデータの活用がセンサーの精度を高めることにも貢献した。
【参考記事】軽い? 耐久性は? 新感覚シューズ「メタライド」(アシックス)のマニアックな性能の話

カシオといえばG-SHOCKだが、モーションセンサーに合わせて専用のG-SHOCK「GSR-H1000AS」もセットで発売される。

モーションセンサーとセット販売されるG-SHOCK「GSR-H1000AS」
モーションセンサーとセット販売されるG-SHOCK「GSR-H1000AS」

気になる価格は、モーションセンサー単体が1万2800円+税で、専用G-SHOCKとのセットは5万2000円(同)。G-SHOCKのみの単体販売は行わない。正式発売は3月4日(予約受け付け中)で、都内近郊の人には先行体験会なども行われている。

アシックスの廣田康人社長(左)とカシオの樫尾和宏社長(右)。二つのトップ企業の出会いが新サービスを生み出した
アシックスの廣田康人社長(左)とカシオの樫尾和宏社長(右)。二つのトップ企業の出会いが新サービスを生み出した

    ◇

Runmetrix
https://runmetrix.casio.com/jp/

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