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地域の文化拠点を目指して――。縁もゆかりもない場所に向かう理由

なんか春の気配を感じるのは僕だけでしょうかね。自宅のあるここ静岡県富士宮には、ここ最近、なんとなくポカポカ陽気が感じられます。春っていいですね。と、言いながらまた突如、雪が降ったりして、最近の日本はおかしいところもあります。環境に悪いことをしてきた私たち人間の報いかもしれません。春のポカポカを呑気に感じている場合ではないですね。

さて、今回も3話書かせていただきました。1話目は僕の会社の移転の話。いよいよ東京を脱出するかもしれません。その話は2話目にも続き、文化拠点になれたらいいなぁとか、そういう場所って、何をどうしたら作れるのかなぁとか、考えながら書きました。

そして最後は僕がレギュラーでお届けしているFM京都α-STATIONのラジオ番組「ロングライフデザインラジオ(LONG LIFE DESIGN RADIO)」に出演いただいた京都の銭湯「玉の湯」さんの名物「銭湯壁新聞」のお話を。それではゆるりとお付き合いくださいね。

地域の文化拠点を目指して――。縁もゆかりもない場所に向かう理由

先週お邪魔した愛知県常滑市にある水野製陶園の工場の様子。創業当時の風情も残る建築を、建築家でもある水野太史さんが「慎重」に保存、進化させているところにとっても愛を感じました。家業である「水野製陶園」の中に「水野製陶園ラボ」を開設して、丁寧に一つ一つの建築と向き合っている姿は、全国のこうした建築を保有する方々の参考になると感じました。とにかく「新しくしない」という感じがして、時代の価値に向き合っていました

新しいSNS上陸

時代の様々な要素をまるで栄養のように吸収して生まれるソーシャルネットワークのサービスたち。限られた文字数でメモを渡すような用途で広がった「ツイッター」は今も多くの人に使われています。

学生同士のネットワークをつくろうとするアイデアから生まれた「フェイスブック」も、しっかりとお互いの素性を明らかにするコミュニケーションならではの特性から、ビジネスに使われ広まりました。そして写真でのコミュニケーションに特化して登場した「インスタグラム」は、「インスタ映え」という言葉を生み、特に若い人の間で感覚的に広まりました。

より気軽に楽しくやり取りする「LINE」にも火がつき、「フェイスブック」を卒業した人たちがその中の連絡機能に特化した「メッセンジャー」を使うようにもなりました。動画共有サービスの「ユーチューブ」もどんどん広がりました。

そしてここ最近登場したのが、音声で対話する「クラブハウス」。これはまさに参加型ラジオ。時は、コロナで巣篭もりなんて言葉も生まれ、自宅での過ごし方が昔に比べて活発化しているようなタイミング。クラブハウスは何かしながら聴き、しかも話せるわけです。

メモ書きや素性を明かしたコミュニケーション、スタンプでの超簡略コミュニケーション、短い文字のやり取りや動画。そしていよいよ「声」です。ラジオです。

おそらく現代を普通に生きる社会人や学生は、SNSをその都度、使い分けてコミュニケーションを図っていることでしょう。この「クラブハウス」。現在は無料ですが、当然、この先には有料になったり広告が挟まってきたりすることが予想されます。

テレビやラジオなどに代わって個人がよりメディアになっていく気配。個人発信のラジオの登場は、講習会や落語会、座談会や会議など、音声だけで済む業務からエンターテインメントまで、広がっていくでしょう。

僕もさっそく、試しながらやっていますが、不特定多数に声で伝えるという使い方ではなく、僕の場合はプロジェクトチームの仲間と長電話するように、また、時には長距離運転中でも声だけなら参加できる会議なんかに使っていこうかなと、思っています。皆さんはどんな使い方しますか?

地域の文化拠点を目指して――。縁もゆかりもない場所に向かう理由

多分、こういうメディアになるだろうなぁと思い、始めています。ぜひ、フォローしてくださいね。たまにしゃべりますので

文化拠点

今、東京本社、本店の移転先を探しています。もちろん東京から出ていく想定です。「どこでもいい」と今は考えているのですが、そこで気になり始めたことがあります。「その土地に重要な場所となっている“文化拠点”のような店」は、どうしてそこに出来たのか、もし、その店の方がその土地に縁もゆかりもなく、ただ移り住んでいるのならば、「何をポイントに」そこに移転されたのか、ということです。

僕が言いたい「文化拠点」とは、「主人」がそこに住み、その店や施設の「建築」に都会的な洗練があり、「食事やお茶、買い物」ができて、「企画展、販売会などギャラリー要素」がある場所。その店があることで、文化意識を持った人たちが集まってくる。そして「遠方からわざわざ行きたい」と思えるそうした場所、店を周遊する楽しみが作られていく、そんな中心的な店、場所。

奈良には「くるみの木」があり、岐阜には「ギャルリももぐさ」が。そうした場所の元祖と言ってもいい「スターネット」は栃木県益子町に。もっと歴史を辿ると、岩手県盛岡市の「光原社」や長野県松本市の「松本民芸家具」などもある。

「そもそもそこには産業、産地が昔からある」というところ。昔からそういう場所に文化人は移り住み、その様子を見た若者が移住し、文化圏ができていく。今回僕らの移転に際して、すでに文化拠点になっている所からもたくさんのオファーを頂いたのですが、同じような業態や人のいる場所に今更ノコノコ行けないので、新たな、まっさらな場所を探そうと考えています。

かつて名産地と呼ばれるような何かしらの材料が取れたり、過ごしやすい風情のある「避暑地」であったりするエリアに芸術家や財界人が集まり、二拠点生活をするようになったあたりから、こういう流れができてきた。そういうエリアは、かつての街道や宿場町など、「昔の産業の流通拠点」としても栄えていた、つまり「利便性が良かった」ということもありますね。

もちろん、そういうことが「過去のこと」となり、「現代の理屈で文化拠点になる場所」ってあると思うのです。僕は今、そこを考えています。新しい道路ができて交通の流れが変わったり、新幹線が開通したり、また、物流も進化したり、テクノロジーの進化でどこでも仕事ができたりするようになりました。それにともなって現れる「新しい快適な場所」のあり方です。

スタッフも移住してもらわなくてはならないので、働く人たちも「快適」「幸せ」「楽しい」と思ってもらえるような場所。だからといって常夏の場所じゃなくても、一定の緊張感を持って「快適」と思える場所がある。

最近、思ったのですが、これは主要メンバーが話し合って、見学しあって決めることでもないのではと思えてきました。一人の代表が「ここ!!」と言えばいいのかもしれないなと。なぜなら、チームのメンバーが一人も住んでいない縁もゆかりもない場所を検討するとき、複数で話し合えば、絶対に人数分の温度差が出てしまう……。

僕はというと、自分たちの敷地と、リノベできる建物さえ魅力的なら、どこでもいいかなと思っています。周りが住宅地だろうが……。世界観を作り込みさえすれば、そこに人々は来てくれる。もう少し探しますが、やはり「建物」の力ってすごいなぁと、思います。その建物がそこにあった理由こそが、もしかしたら「集客」の力になるのかもしれません。

地域の文化拠点を目指して――。縁もゆかりもない場所に向かう理由

先日、候補地として連絡を頂き、内見してきた機織り工場跡。文化遺産にも指定されている建築ですが、全国にはこういう「使うにはお金がかかる」、そして行政予算で保存しても、やっぱり税金がかかってしまう物件がたくさんあることを知る機会にもなりました。残したい……

銭湯

長く続いているFM京都α-STATIONのレギュラー番組「ロングライフデザインラジオ」に、先日、京都の銭湯「玉の湯」の西出英男さん・晴美さん夫妻にご出演いただきました。

話していて印象的だったのが「銭湯には、スマホを持ち込めないから、のんびりするしかない」というところで、なるほどと思いました。そんな「玉の湯」さんでは、銭湯の壁を使った「かべ新聞」に力を入れていて、湯船に浸かりながら、多くの銭湯愛好家の話題になっています。スマホの代わりではもちろんありませんが、のんびりアナログな手書きの情報と、あったかいお湯、そして、おっちゃんとの会話……。考えてみると、銭湯ってとっても現代のあらゆる問題に対する癒やしの効果があるようにも思えてきました。

全国浴場組合によれば、1968年の同組合の加入数は17999軒だったものの、今では2069軒(2020年現在)に減ったそうですが、僕はなんだかこの数字を見て、そんなに悪くはないんじゃないかと思えました。

最近、ご高齢の方が、自宅の風呂を使わず(掃除が大変だから、らしい)銭湯に来ることが増えていると。そうすると、「あのおばあちゃん、元気だね」と、安否の確認にもなったりする。昔は「床屋」「映画館」そして「銭湯」を使った文化的プロモーションが多かったとも聞き、「ある一定の時間の交流の場」として、なんだかとても大切な場所なんだと感じました。

もうすでに、京都では「サウナの梅湯」など、精力的に活動している銭湯がありますが、まだまだ安定した収入には達していない様子です。年間、継続していくためには、1日に何人の利用客がこないとダメですか?と、質問したところの答えは「150人」だそうで、それでもなかなか実現するには難しい数字のようでした。「若い人に、一週間に一度でも、たまには来てもらうといいなぁ」と、「玉の湯」の西出夫妻。僕もそれを聞いて、壁新聞を書かせていただくことに。と、いうことで、京都市役所の近所「玉の湯」に行って、ナガオカケンメイの「月刊じわじわ」よろしくお願いします!!(月刊、行けるかなぁ……)。

地域の文化拠点を目指して――。縁もゆかりもない場所に向かう理由

僕が手書きした銭湯壁新聞

地域の文化拠点を目指して――。縁もゆかりもない場所に向かう理由

こちらはいつもの銭湯壁新聞。いつもこんな感じでやられています。なんか、愛を感じますねー。こんなのが壁に貼られていたら、心も温かくなりますね

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