&Travel

あの街の素顔
連載をフォローする

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

青森県八戸市への旅、「本のまち」を紹介した前編に続き、後編は「食」をめぐるあれこれです。国内最大級の規模で知られる朝市や、酒蔵の新たな挑戦を紹介します。
(文・写真 吉川明子、トップ写真はずらりと店が並ぶ館鼻〈たてはな〉岸壁朝市)

300軒前後の店がずらり 館鼻岸壁朝市

八戸では、港町ならではの朝市が8カ所で9件(夕暮れ市を含むと10件)開かれている。その代表格が、毎年3月中旬から12月下旬に開催される「館鼻岸壁朝市」だ(今年は3月14日から開催)。

太平洋に臨む館鼻岸壁は、平日の日中に行くと船が接岸しているだけだが、朝市期間中は、日曜日の未明から出店者がぞくぞくと集まって準備を始め、夜明けと同時に朝市がスタート。約800mにわたって300軒前後の店が立ち並び、毎週数万人が集まる。国内最大級の規模とされる。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

新鮮な野菜が並ぶ

ここの朝市は「何でもあり」。八戸自慢の魚介類は鮮魚、干物、加工品と多彩。野菜、果物、花、総菜、うどん、ラーメン、唐揚げ、コーヒー、パン、ケーキ、雑貨、骨董(こっとう)品、ミシン……。あらゆるものが売られている。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

魚介類もいっぱい

かつてはJR陸奥湊(むつみなと)駅近くのバス道沿いで朝市が開かれていたが、規模が大きくなりすぎて出店者の半分が館鼻岸壁に移ったという。岸壁は広い場所ということもあり、どんどん規模が大きくなった。連休やお盆などは観光客も多く訪れるが、買い物客の大半は地元の人のようだ。ここで朝食がてら買い食いする人もいれば、新鮮な食材を調達する人もおり、地域に根ざした様子がよくわかる。

朝5時 すでに人でごった返す

早起きして午前5時過ぎに朝市会場に着いたが、すでに多くの人が行き交う活気に驚いた。人気の店では行列もできている。そんな店の一つ、「大安(たいあん)食堂」は午前4時から営業開始だが、午前2時過ぎには行列ができはじめるという。目当ては名物「しおてば」(塩手羽先)。1個70円(ハーフは40円)で、店頭のフライヤーで大量に揚げられ、飛ぶように売れていく。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

大安食堂では、大量の「しおてば」を揚げ続けていた

しかもハーフは午前6時ごろには完売することも多いという。揚げたてのカリッとした衣と適度な塩味、ジューシーな肉がたまらなくおいしい。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

(右上)赤飯を南部せんべいでサンドした「こびり」、(右下)揚げたての「しおてば」はサクサクでジューシー、(左)地元名物の「八戸せんべい汁」はやさしくてほっとする味

この日食べたのは「しおてば」のほか、八戸特産のサバの身が入ったコロッケ「八戸サバコロ」、名物の「八戸せんべい汁」、赤飯を南部せんべいでサンドイッチのように挟んだ「こびり」(地元の人は愛着を持って「こびりっこ」と呼ぶことも)など。店の人と会話を交わすのも楽しみの一つだ。

時折、「イカを買った時にほうれん草を置いていった人、至急お店まで戻ってくださーい」といった忘れ物のアナウンスが流れるのだが、そのユルい感じがたまらなくいい。たくさん買いすぎても、朝市会事務所から発送もできるので大丈夫。午前9時ごろまで開催しているが、8時過ぎには店をたたみはじめるところも多いため、活気を堪能したいなら早起きして出かけたい。

市場をめぐってオリジナル朝食 陸奥湊駅前朝市

もう一つ、朝食代わりに訪れたいのは「陸奥湊駅前朝市」だ。「館鼻岸壁朝市」は日曜日開催だが、こちらは月曜日〜土曜日(第2土曜日除く)に営業している。JR陸奥湊駅前の通りには仲卸店や小売店などが立ち並び、新鮮な魚介類が買える。朝食が食べられるのは公設の「八戸市営魚菜小売市場」。1953(昭和28)年の開設以来、八戸の台所として地域に貢献し続けてきた。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

八戸市営魚菜小売市場

市場内では刺し身や焼魚、総菜などが並べられており、朝食用に小分けにされたものもある。ここで食材を調達したら、市場奥の「朝めし処魚菜」へ。ここでは炊きたてのご飯や日替わりのみそ汁などを販売しており、買ってきた刺し身などと組み合わせればオリジナル朝食の完成!というわけだ。なので、何人かで行った方が、さまざまな種類のおかずを味わえるのでおすすめだ。また、タラコやイクラなど魚卵は、「100円分ちょうだい」と言えばその分だけ売ってくれる。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

パックに入った刺し身や総菜を売っている

市場の中は裸電球や蛍光灯で照らされており、配管やコードもむき出し。この古びた感じがフォトジェニックですごく魅力的なのだが、老朽化のため建て替えの計画があるそうだ。朝5時から10時ごろまで食べられるが、早めに行った方が、おかずの選択肢が多いだろう。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

かつては市場で働く人たちでにぎわっていたのだろうか


国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

豪華なオリジナル朝食の完成!

「陸奥八仙」の八戸酒造 酒粕で入浴剤も

「八戸市営魚菜小売市場」でしっかり朝ごはんを食べた後は、腹ごなしに周辺を散策したい。ちなみに前編で紹介したポップごと買える「木村書店」も徒歩圏内だ。

近くを流れる新井田川(にいだがわ)沿いを歩いていると、漆喰(しっくい)の土蔵と赤レンガの蔵が見えてくる。「八戸酒造」だ。1775(安永4)年創業の老舗酒造で、創業銘柄で辛口の「陸奥男山」と、フルーティーで華やかな香りの「陸奥八仙」をはじめとした日本酒で知られる。青森県産の米と麹(こうじ)、名水として知られる蟹沢(かにさわ、がんじゃ)地区の水を使うなど地元の味を大切にしており、最近ではワイン酵母やビール酵母を使ったもの、シャンパン製法で仕込んだものなど、独創的な酒造りにも力を入れている。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

新井田川のほとりに立つ、八戸酒造の土蔵

ここではもう一つ、意外なものを作っている。それは「酒粕(かす) バスボム 八仙美人の湯」という入浴剤だ。「陸奥八仙」の酒粕を主原料に、保湿成分「プロテオグリカン」を配合したもので、湯に入れると発泡しながら溶け、ほのかな酒粕の香りととろみを楽しむことができる。ラベンダー、ユーカリなど6種類の香りがある。岩手県産の粗塩や宮城県産の生姜パウダーなども素材に使い、東北らしさにもこだわった。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

売店で販売されている「酒粕バスボム 八仙美人の湯」(各748円)

「保湿成分のプロテオグリカンは弘前大学が開発した技術によって抽出されたもので、県からこれを使って何かできないかとお声がかかりました。酒蔵の強みを生かした、新しい商品を考え、思いついたのが入浴剤でした。これならお酒を飲まない人や飲めない人、幅広い年代の人に楽しんでもらえます」

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

色とりどりのバスボム(提供:八戸酒造)

そう教えてくれたのは、「酒粕バスボム 八仙美人の湯」の開発を担当したアートコーディネーターの今川和佳子さん。酒蔵での初めての取り組みとあって、完成まで苦労の連続だったという。パッケージは十和田市在住のデザイナーが担当。中国の八仙の一人で女仙の何仙姑(かせんこ)をモチーフにしたイラストをあしらっている。

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

数量限定で販売されている、恋みくじ付きの「酒粕フォーチュンバスボム」(888円)

「日本酒を使った化粧水などはたくさんありますが、酒粕を使った入浴剤は珍しいですし、まだまだ知らない人も多いので、もっと広めていきたいですね」(今川さん)

国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

代々当主の住居でもある八戸酒造の主屋


国内最大級の朝市 「陸奥八仙」の酒蔵が入浴剤 八戸の旅(下)

予約すれば蔵の中を見学できる

八戸酒造では、大正時代に造られた六つの建造物が国の登録有形文化財となっており、事前予約制で蔵の見学も行っている。大きな杉玉が目印の主屋では「酒粕バスボム 八仙美人の湯」や酒を販売。この主屋だけでも中に入る価値は大いにある。

「本のまち八戸」には、昔ながらの港町やなんでもありの巨大朝市、伝統的な製法を守りつつ革新的な酒造りを行う酒蔵など、多彩な魅力にあふれていた。

館鼻岸壁朝市
http://minatonichiyouasaichikai.com/

■八戸市営魚菜小売市場
https://www.city.hachinohe.aomori.jp/shisetsuannai/sonota/8126.html

■八戸酒造
https://mutsu8000.com/

REACTION

LIKE
COMMENT
0
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら