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つむぱぱの幸せの気づき方
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娘から届いた『ありがとう弁当』

娘の「つむぎちゃん」や、息子の「なおくん」との何げない、ほっこりした日常のイラストをInstagramに投稿する「つむぱぱ」さん。そんなつむぱぱさんが、みなさんの「家族との、個人的な幸せの思い出」をもとにイラストを描く連載「つむぱぱの幸せの気づき方」。今回は、愛がつまったお弁当のお話。

北海道在住・40代女性

娘から届いた『ありがとう弁当』

今から4年ほど前、娘が高校生になった日から毎朝のお弁当作りが始まった。私はフルタイムの仕事をしているため朝が本当に慌ただしくなり、最初はこれが3年間も続くのかと思うと気分が沈んだ。そんな自分を奮い立たせるために作ったお弁当を毎日、Instagramに投稿することにした。

当初はフォロワーもほとんどおらず、ほぼ自分の記録用だった。次第に私の友達が見てくれるようになり、コメントをもらったりするうちに、少しずつ楽しくなっていった。そのうち、誰かに見てもらっているという意識から、献立も工夫するようになっていった。

娘から届いた『ありがとう弁当』

食べるときに特製ソースをかけるハンバーガーや、スープジャーにカレーを入れて、素揚げした野菜と一緒に食べるスープカレー。お昼の時間に娘が驚く顔を想像しながら、そういったものを作った。のんびりしている娘の反応は薄かったけれど。

娘から届いた『ありがとう弁当』

そんな彼女が驚くほどに気に入ったのが、つけ麺ナポリタン。トマトベースのつゆをスープジャーに入れて、ソーセージやピーマンと一緒に、ゆでたパスタをつけて食べる。初めて作った日は、帰宅した娘に「あれ、すごくおいしかった! また作ってね」と興奮気味に言われた。

娘から届いた『ありがとう弁当』

そして学校で娘のそんなお弁当を見た友達から、Instagramの私のアカウントにリクエストが来るようになった。それ以外にもフォロワーが増えていき、開始から100日目には、「今日は節目の日ですね。何を作るのですか?」と聞いてくれる人がいて、ちょうどハロウィーンの頃だったので、お化けのキャラ弁を作ったりも。その投稿には、娘の友達を含め、多くの人がコメントをくれた。キャラ弁なんて、ずいぶん久しぶりだったし、器用ではないので時間がかかってしまったけれど、良い思い出だ。

その3年の間には当然、つらい朝もあった。北海道の冬の朝は寒いうえに、夜に雪が降ると、雪かきをしなければ、通勤の車を出せない。飼い犬の具合が悪くなった時は、その世話もあり、まだ真っ暗な早朝からすべてをこなす必要があった。

娘から届いた『ありがとう弁当』

それでも周囲の応援や、娘に「おいしかった!」と言ってもらえることがうれしくて、なんとか続けられ、ついに最後のお弁当を作る日が来た。辛かった朝が終わるので、一安心してもいいはずなのに、なぜか気分は複雑に。今日で終わりかと思うと、不思議と寂しさを覚えた。また、あんなに小さかった娘がこんなに成長したのかと感じ、うれしい反面、そのうちに親の手を離れるのかと、切なくもなった。

そんな私の気分が反映された最後のお弁当は、なんだかよくわからないごちゃごちゃしたものに。娘が好きなものを入れようと考えるうちに、ちらし寿司(ずし)、バジルソースのパスタ、唐揚げと、よく言えば、和洋折衷、悪く言えば、カオスなお弁当が出来上がった。それでも娘は、「今日のお弁当もすごくおいしかった!」と言ってくれた。彼女もその3年間で成長し、少しはハキハキ話すようになったようだ。

娘から届いた『ありがとう弁当』

娘が短大に入るまでの休みのある日、夜に帰宅すると、珍しく娘が台所に立っていた。よっぽど暇なのかなと思ったが、「これ、お弁当作ったから、明日、持っていってね」と娘。翌日に会社のデスクで開いたら、お弁当箱の上に手紙が入っていた。

娘から届いた『ありがとう弁当』

「3年間、おいしいお弁当を毎日作ってくれて、ありがとう。今日はサプライズでお弁当を作ってみました。ずっと前から、最後は『ありがとう弁当』を作ろうと決めていました。おいしくなかったら、ごめんね」

そしてふたを開けると、のりで上手に「サンネンカン アリガトウ」とご飯の上につづられていた。思わず、涙が込み上げてきて、危うく職場で号泣しそうになった。私が作っていたのと同じように、すべて手作りだったこともうれしかった。

いつか、娘も結婚して子供を産み、お弁当を作る日がくると思う。そのとき、彼女も私のように、お母さんをやっていてよかった、と感じられたらいいと思う。どんなに忙しくて、コミュニケーションが取りにくくても、気持ちのこもったお弁当をつくっていれば、通じ合うことはできると思うから。

娘から届いた『ありがとう弁当』
(文=井川洋一)

つむぱぱさんの言の葉

先日、5歳の娘つむぎの幼稚園で、月ごとに開かれる誕生日会がありました。3月はつむぎが生まれた月なので、保護者として園のイベントに参加しました。

参加した親は自分の子どもに向かって、成長や感謝について一言しゃべるのですが、そのちょっとしたスピーチだけでも鼻の奥がツンとしてしまいました。

だから「サンネンカン アリガトウ」は絶対号泣する自信があるなあと読んでいて、胸が熱くなりました。

子育てって大変なことの方が多いと思います。子育てを本に例えると、ほんの1行程度のうれしいできごとだけでも、全てが報われた気がしますよね。

それはきっと、自分も親から愛情を注いでもらったからに違いないと、今になって考えればわかります。このお母さんと娘さんも、愛のリレーを次の世代へと渡していくのだと思いました。すてきな良い話でした。

娘から届いた『ありがとう弁当』
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PROFILE
つむぱぱ

 
娘「つむぎちゃん」、息子「なおくん」との日常を、Instagramでほっこりとしたイラストで表現し、子育て世代を中心に幅広い人気を誇るインスタグラマー。Instagramアカウントのフォロワーは、60万人を超える。
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