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LONG LIFE DESIGN
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実態と異なるイメージが広がっている? 気を付けたい「都会目線」

今、僕は沖縄にいます。沖縄に多くある「共同売店」という、地域のための場所の取材で来ています。今回はそうした沖縄ならではの話題について書きました。

一話目は「共同売店」の方と直接話していて感じたことで、「都会目線」というメガネを僕はかけてしまっているという話。

二話目は「心」の話です。心の状態が性格を作り、それが人への行動などに現れます。僕は心が美しくはないと自分で思っていますが、そんな話です。皆さんはどんなですかね。

そして最後は「ブランド」の話です。それでは最後まで、お付き合いくださいね。

実態と異なるイメージが広がっている? 気を付けたい「都会目線」

「沖縄に行く」と言うと、必ず「いいなぁ」と言われます。仕事を忙しくしていても日焼けしたり、仕事終わりに「晩御飯は近く」でと言われて集まってみるとビーチだったり……。都会で働く意味はわかっているつもりですが、こんな環境でも同じことをできる時代となり、ますます移住を考えたくなります。ただ、その地に長く暮らす方々の中には移住者が増えることで起こることを懸念する人もいるので、移住熱の高まりと同時に、移住するとしたら心して行動しなくてはならないこともわかってきています

都会目線というメガネ

ちょっと大げさなタイトルですが、僕は共同売店に対して、少し美化しすぎていたように思いました。そのきっかけをくれたのも、実際に沖縄北部で共同売店を経営されているご夫婦でした。「最近、大学の先生なんかが、共同売店のことを研究することが増え、どうも高齢者のために良いとか、若い移住者を増やしているとか、これからの地域のために画期的な取り組みというように良い面をクローズアップするけれど、実際はなかなかそうはいかない」と。

僕もその日、沖縄で共同売店を研究している人と一緒に数軒の売店を巡っている最中だったので、自分のことを言われているように思い、また、それに気づきました。同時に、東京に長く暮らす僕は、いつしか「都会目線」というメガネの外し方を忘れてしまっていると、そのとき、感じました。「地方活性化」という言葉が苦手、と日本の南の地方に暮らす人から言われたときも、ハッとしました。そして今回のことを受けてわかりましたが、「そこ(その土地)でしかわからない事実」とは別に「なんとなく地方から伝わって東京あたりに流れ着くイメージ」があり、イメージを少し声高に発信することが得意な、いや、発信癖のある都会が、都会目線のメガネをかけて「田舎ではこうなっている(らしい)」と発信して、結果として今回のように「共同売店」は誤解をされていたのでした。

あえて前置きを長く書きましたが、「人口の少ない村などで、住人が協力して生活物資の販売などをする店」である共同売店が、「高齢者などの健康などを気遣う思いやりもある場所」的な感じが強調されて伝わっている(すみません、ものすごくざっくりと書いています)。「共同売店」の多くの問題は、「住人にとって必要な場所」であるということで、そして、共同売店を「商売として」成立させるための状況はどこも取り上げていないように感じました。つまり、「住人もしっかりその存在を考えないといけない」という点と、「商品の供給の仕組みはかなり昔から変わらない、問題の多いものである」という点が取り上げられないまま美化されているということだと、僕は感じました。

正直、このまま読まれるとまた誤解される可能性を感じるのですが、伝えたいことは「都会の(最近の)人は田舎を美化しすぎている」と、強く思ったということです。「こうなっている」と調べる前に「こうなっているはず」だと、半ばひねり出してしまうところが、僕も含めてある。それは当事者にとって、とてもつらいことなんだと、学びました。

大きな声で本当のことを本当のこととして言わない控えめさが小さな集落で長く暮らすコツだったりしますが、地方の情報が都会まで届くなかで、やっぱりそうした「小さな日々の暮らしのコツ」は、どこかに飛んでしまうのでしょう。

実態と異なるイメージが広がっている? 気を付けたい「都会目線」

ときには大手スーパーの安売りコーナーから品を仕入れることもある、「共同売店」の地域を思う気持ちから行う仕入れ。住んでいる人の顔が見えるからこその仕入れ方は、想像を絶すると同時に、それをきっかけに作られるコミュニティー性こそが重要である。最近は行政が電気代などを受け持つなど、いかに地域の未来のためになる仕組みか、ということが理解されるケースも

 

心について

僕は澄んだ心も持っている(たぶん)。けれど、濁った心や、黒い心も持っている。例えば、僕は子供が苦手だ。これから作る自分の店は、できたら子供を入店禁止にしたい。そうしたらなんと言われるだろう。そう考え始めると、心が痛くなる。なんとも思わなければ、黒い心で通していけるのだけれど……。

先日、沖縄の浜辺で友人の松崎のりこさんがバーベキューを企画してくれました。コロナのこともあり、少人数で知った顔だけが集まることになりました。友人のほとんどはお父さんだったりお母さんだったり。なので浜辺は参加者の友人たちの子供たちで大にぎわい。もう可愛くて、可愛くて、抱っこしたら僕の黒い心に反応して泣き出しちゃうだろうなぁ、と、もじもじしていると、子供たちが寄ってきて、遊んでくれました。

とっても楽しかったし、とっても幸せだったし、何より心が癒やされました。そして、こうも思いました。「小さな頃から大人が信じられる人だとわかっていたら、子供たちもすくすく大きくなるはずだし、未来は子供たちが作るのだから、大人はそれを意識して子供たちを宝物のように接しなくてはね」と。

知っている人の子供だけにそう思うのか、知らない子供はやっぱり苦手なのか(せっかく本を読んでいるのに、奇声を発して場の空気を乱したりするから苦手)、僕の心はざわつくのでした。

どんなに子供たちが騒いでも、温かく見守れる大人に出会うと、「どうしたらそんなことができるのか」と思うのです。でも、少しその気持ちはわかる……。そのときの気持ちの状態もあるのでしょう。しかし、基本的に心が優しい人って、いますよね。たぶん、心がグレーや黒じゃないとできないことはある。その逆も。おそらく多くの人は、僕と同じように、黒もグレーも、真っ白も持っている。でも、でも。いつも心の温かい人はいます。

実態と異なるイメージが広がっている? 気を付けたい「都会目線」

子供の心は常に澄んでいて、こちらがそれに素直に反応して、大人の心から子供の心に戻っていくとき、たぶん、子供は心を開く、というか、大人と子供で居心地が同じになる。子供が、大人の僕を「同じ子供」と感じるときは、おそらくある。そんなとき、大人の僕は「大人」であることを忘れている

ブランド

自分が起業し、経営する店「D&DEPARTMENT」の様々な様子を見ていて思ったことがあります。ある人には「ブランド」に見え、ある人にはそう見えないという声もたまに聞こえてくるのだけれど、それってなんだろうと思ったとき、おそらく「ブランド」とは、10個くらいの要素を「常に同時に行っているとちゃんとそう見える」ものなのだろうと。あれはちゃんとできている。けれど、あれは全然できていない。そんな話です。その一つをご紹介します。それは「創業者(創業時)の思いを毎日、伝え共有する」です。

毎朝、朝礼で声に出す会社もあるでしょうし、どこか事務所の入り口に「社是」のように額に入れて飾って常に目に留まるよう、工夫をしている会社もあるでしょう。例えば店で働くとしても、仕事の一つひとつの根元は「創業者(創業時)の思い」から生えていったものなので、従業員がその根っこのことをわかっていないと、なんとなく接客したり、なんとなく働くことになったりする。大いなる時間の無駄、というか、もったいないのです。

それはちょっとしたことで、例えば、うち(D&DEPARTMENT)でたとえると、展示している家具が散らかって展示されている。これを「まずい」と思ってすぐに直さなければ、と思えるか、思えないかなど、一つひとつのそうした細かなことを「やるか、やらないか」にかかっています。つまり「やる意味」を知らない、もしくは、気づかない、気づけない、わからない、重要だとも思えない、想像もつかない……となると、ブランドは作れません。

例えば、うちでは「商品の上に商品を置くときは、必ずクッション材を挟み、商品に傷がつかないようにする」ということを徹底しています。これはもちろん「ものを大切に扱いたい」という思いからですが、これがなかなか徹底できません。なぜ、できないか。それは現場の人の意識の問題でもあり、その人に創業時の思いが伝わっていないからです。

逆にそうしたことを徹底してできた店にお客さんが触れたとき、その様子から、そのクッション材の一つひとつから、創業時に思っていたことが伝わっていきます。これはゴミを拾うとか、こまめにトイレを掃除するとか、あらゆることにつながっています。

つながって見えなかった場合、それらのあらゆることは、単なる掃除、作業としてしか見えなくなり、「やらなくてもたぶん、大丈夫」「これくらいなら平気」「めんどくさい」「誰かがやる」みたいなことになる。やがてその店の印象は廃れていき、結果として、お客さんの評価が得られず、収入が減り、働く人を雇えなくなった経営者は一生懸命やってくれていない社員やバイトの肩をたたくことになるでしょう。

実態と異なるイメージが広がっている? 気を付けたい「都会目線」

カリモク家具のために僕が作ったポスター。ブランドとしてみてもらうためには、原点があり、創業時の思いがあり、それを見える状態にしながら、明日も経営して、新しいものをそこに積み上げていくこと

◇◆◇

ナガオカケンメイさんの連載「LONG LIFE DESIGN」は今回で終わります。ご愛読ありがとうございました。

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