嵐で流木にぶつかる! カヌーでユーコン川下り(3)

写真家の野呂美帆さんがカナダで挑んだ、2019年7月27日から8月2日までのカヌーによるユーコン川下り。初心者が6泊7日で370kmを進む冒険紀行の最終回は、4日目から7日目まで。荒波にほんろうされる野呂さんのカヌーは、みるみるうちに流木に迫っていきます。果たして、無事だったのでしょうか。
(文・写真:野呂美帆)
第2回〈友人が転覆! 「あの人たち」に再会〉から続く
第1回〈GPS使えず迷子 動物の足跡におびえる〉はこちら

アヒージョをほおばりながら、明日を思う

4日目にしてついにテスリン川は、本流ユーコン川と合流した。
ゴールのカーマックスまでは残り約170km。最初はどうなるかと思ったけど、気が付けばもう半分を過ぎていた。

これはエビとマッシュルームのアヒージョ。
夏でも川の水温は10度前後で、船底が冷えているため冷凍のエビが長持ちした。
ごはんの時間がとにかく楽しみで、おいしい食べものは本当に元気が出る。
献立は徐々にアレンジされてくるけれど、ここでしか味わえないものばかりだった。
いよいよ本流のユーコン川へ入る

5日目。今日からいよいよユーコン川を進む。川が変わるだけで不思議と気分も変わる。
川幅が広くなり流れも早くなり、見かけるカヌーも一気に増えた。


時間に余裕がでてきたので中州に寄ってお昼ごはんにした。余っているパンでホットサンドと即席スープを作った。

キャンプ地に到着すると、2家族で下っているというグループが先に着いていた。

お父さんたちは釣りに没頭している。慣れた手つきで、次々と魚がかかる。

見晴らしがよく、過ごしやすいキャンプ地だった。
ただ、大きな蚊が多くて何カ所も刺されてしまった。ユーコンの蚊はしつこくて何度振り払っても逃げない。気付けば体中赤くはれていた。

24時。太陽がゆっくり沈む。まだまだ日が長い。
寒さで目覚めれば、幻想的な靄

6日目。寒さで目覚めたら一面の靄(もや)が。いろんな顔を見せてくれるユーコン。とても幻想的だった。

9時に出発した。午前中は天気が良くて穏やか。
双眼鏡をのぞきながら進んでいると、1匹のリンクス(オオヤマネコ)を発見した。
私たちに気づいても自分のペースでゆっくり堂々と歩く。野性味あふれる姿がとてもかっこよかった。
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