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永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶
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(108) 向かいの窓に現れた気になる男性 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回はニューヨーク滞在中に撮った一枚。向かいのアパートメントに気になる男性が現れ……。

(108) 向かいの窓に現れた気になる男性 永瀬正敏が撮ったニューヨーク
©Masatoshi Nagase

ニューヨークのマンハッタンに約2週間滞在していた時、
朝起きると、新鮮な空気を吸おうと、
半畳ぐらいしかない小さなベランダへ出ては、小さな空を眺めていた。

ベランダのすぐ目の前に隣のアパートメントが立っていて、
景色を楽しもうとすると、そびえたつホテルとアパートメントの間に、
かすかに見える空しかなかった。
でも、僕は案外その空間を楽しんでいて、
コーヒーを飲んだり、朝食を食べたり、いろんなことをしていた。

ある日、目の前のアパートメントの窓に1人の男性が現れた。
こちらを気にするそぶりをまったく見せず、
彼の部屋の窓辺に置いてある小さな電気スタンドをともし、何か作業を始めた。

アルフレッド・ヒチコック監督の映画「裏窓」に登場する、
ジェームズ・スチュアートとグレース・ケリーのように、
それから毎日この男性を追っていたわけではないが、
何をしておられるのか?気になった。

あまり凝視していても申し訳ないので、
コーヒーを飲みながらチラリチラリと観察していたが、
やはり具体的に何をされているのかは分からずじまいだった。
あえて長い時間カメラを触ってみたり、空を撮影してみたりしてこちらのことをアピールしてみたが、
男性はほとんど意に介さなかった。
明らかに僕の存在に気づいていらっしゃったと思うのだが……。

迫り来るようなアパートメントとそれぞれの窓、そこに現れた1人の男性。
そのシチュエーションに、僕は興味をひかれた。
この男性はこの後……。

もしかしたら、その時の僕は「裏窓」に感化され、
勝手にストーリーを作り上げ、その世界に浸っていたのかもしれない。

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