「新しい環境で、生まれ変わった感覚」剛力彩芽インタビュー 映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』

エネルギーに満ちた、底抜けに明るい笑顔が印象的な剛力彩芽さん。そばにいるだけで元気になれる、太陽みたいな存在感がまぶしい。そんな剛力さんが出演している映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』が公開される。人生の先にある「終活」や大切な家族について、そして28歳の今、転機を迎えたという自身の人生について語ってもらった。
自立した、周りに左右されない芯のある女性・亜矢を演じる
ネガティブなイメージが強かった「終活」は、エンディングノートの普及や終活本、終活イベントなどが増えたことで身近なものに変わりつつある。そんな時代感をうまくとらえたこの映画は、「終活」を通じて人生整理を始める家族をユーモアたっぷりに描いたヒューマンコメディーだ。剛力さんが演じるのは、結婚50年目を迎えた熟年夫婦の娘役。キッチンカーを営む30歳の女性、亜矢を演じている。
「台本を読んで感じたのは、等身大でまっすぐな子。あまり作りすぎずにナチュラルに演じたいと思いました。実は今まで、年齢が上の役を演じたことがなかったんです。亜矢はキッチンカーを経営しているから親元にいても自立しているように感じましたし、いい意味で周りに左右されない、芯のある子だと思いました。お芝居していた時は(自分より年齢が上の人を演じる)背伸びじゃないけど、そんな気持ちはあったかもしれないですね」

熟年夫婦役に、橋爪功さんと高畑淳子さん。結婚50年という時間を積み重ねた、息ぴったりの夫婦を披露している。この二人の娘役ということも出演を決めたきっかけの一つだったと振り返る。
「この両親の元に生まれたいと思いました。共演は初めてでしたが、お芝居では何があっても絶対に受け止めてくださると思ったので、いい意味で気負わず、遠慮せずにやらせてもらえました。芝居のやり方と娘としての親への甘え方がリンクしていたと思います。お二人は、クランクインした瞬間から長年連れ添った夫婦感たっぷりでした。高畑さんは、最初に撮った食卓のシーンで『私たち二人から、こんなかわいい子供は産まれないわよね?』とおっしゃって現場を和ませてくれて(笑)。高畑さんの小言の言い方が、とてもいいんですよね。橋爪さんは怒る芝居がすごすぎて『ああ、静かに怒るってこんなに怖いんだ』と勉強になりました」

甘えと自立、家族だからできること。背中を押してくれることも
亜矢のキッチンカーを通じて出会い、夫婦の終活のきっかけになるのが葬儀屋で働く青年を演じる水野勝さん(BOYS AND MEN)。人懐っこいキャラクターで現場を和ませるムードメーカーであり、意外な食べ物好きで驚かされたそう。
「水野さんは好奇心の塊で、現場での吸収力がすごかったです。橋爪さんや高畑さんに話しかけたり、劇中で外国の方と話すシーンがあるからと英語の勉強をして会話しようとしたり。すごく明るくて、現場に和やかな空気を作ってくれる方でした。お芝居もしっかり勉強してきている印象でしたが、人には苦労を見せない努力家なんだろうと思います。あと、水野さんは梅干しが好きなんですよね。特に酸っぱい梅干しが好きで、うちの実家で毎年漬けている梅干しがすごく酸っぱいタイプだったので、差し入れに持って行ったらすごく気に入ってくれて。『もう無くなっちゃいました』って言われて、何回か持って行きました(笑)」

「終活」は、家族にも関わる問題だ。生前から人生整理をすることは、残された家族の負担を減らし、相続などのトラブルを防ぐ。家族との関係性が良好だと終活もスムーズに進む。剛力さん自身は、家族といい関係を築いていると話す。
「お互いに自立していながらも、甘えるところは甘えて。家族だからできることだと思います。ただ、自分で決めたり選択したりすることは家族に委ねられないので、自分で責任を取る。そんな時に、家族は力強く背中を押してくれます。私がラッキーだったのは、中学生くらいまで父親が単身赴任で海外にいたんですよね。家に父がいないからケンカもしないし反抗期もなかった。あと、母から父のグチや悪口を一度も聞いたことがなかったんです。父の嫌なイメージがなかったのは、母のおかげもあると思います。両親は、昔と比べて今の方がより仲が良くなっている気がします」
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