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東京湾の「埋立地」をめぐる 東京再発見1

東京を再発見する新シリーズがスタート。旅行作家・下川裕治さんが、独自の切り口で東京を巡ります。今回は、すがすがしい海の風景から作業現場まで、東京湾の「埋立地」を歩きます。

■本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと、相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

(写真:阿部稔哉)

東京の最先端? 埋立地をめぐる旅

地図

高い空がうれしい初夏の休日。僕が暮らす東京を再発見する旅に出ることにした。第1回は埋立地。東京は東京湾の埋め立てで広がってきた。事業は江戸時代からはじまった。いまのように計画的に埋め立てが行われるようになったのは明治30年代だという。埋立地は番号化され、1号地は中央区の月島、2号地は中央区勝どきの一部……。現在は15号埋立地から中央防波堤などに移っている。旅のスタートは、「夢の島」と呼ばれる14号埋立地。そこから15号埋立地へ。13号埋立地を通って、中央防波堤をめざす。

短編動画

15号埋立地の動画を。この埋立地は若洲(わかす)海浜公園などになっている。15号埋立地と中央防波堤を結ぶのは、恐竜橋と呼ばれることも多い東京ゲートブリッジ。そしてその橋を渡るトラック群……。東京湾ショートトリップに出た気分で。

今回の旅のデータ

新木場駅へは、JR東日本、東京メトロ、東京臨海高速鉄道が乗り入れている。若洲海浜公園へは、新木場駅前からバスが出ている。若洲キャンプ場前行きで、所要時間は14分ほど。運賃は片道210円。新木場駅に戻り、東京臨海高速鉄道で東京テレポート駅前へ。切符は280円。中央防波堤までのバスには、東京テレポート駅前から乗った。運賃は片道210円。所要時間は15分ほど。

埋立地をめぐる 「旅のフォト物語」

Scene01

新木場駅

JR京葉線、地下鉄の有楽町線、そして東京臨海高速鉄道という3線が乗り入れる新木場駅。駅前には大きな量販店やショッピングモールなどのビルが……と思っていたが、意外にすっきり。ここは14号埋立地で、「夢の島」と呼ばれる。シニアは、東京ゴミ戦争とかハエの大軍といった単語が浮かんでくる? いまはその熱気もハエも消えましたが。

Scene02

バス

新木場駅南口のロータリーから若洲キャンプ場行きの都バスで南下。若洲橋を越えると15号埋立地だ。ここは「夢の島」に続いて1965年から1974年にかけて埋立事業が続いた。途中は延々と続く倉庫群。そこで働く人向けのバス。終点の若洲キャンプ場まで乗ったのは僕らだけでした。

Scene03

東京ゲートブリッジ

15号埋立地といまの埋立最前線の中央防波堤を結ぶのが、この東京ゲートブリッジ。そのデザインから恐竜橋とも呼ばれている。ここまでくると、だいぶ東京湾のただなかに来たな……感が伝わってくる。東京湾の浜ではなく、目の前にあるのは海といった気分を海面の光や風が教えてくれる。釣り人が狙う魚もサイズが大きくなる?

Scene04

若洲側昇降施設

東京ゲートブリッジは歩いて渡ることができた。橋へのぼるには、写真中央の若洲側昇降施設を利用した。展望台にもなっていた。中央防波堤側で降りることはできないため、戻らなくてはいけなかったが。きっと東京湾の眺めはいいはず。思いっきり深呼吸? しかしコロナ禍のいまは……。次のSceneで。

Scene05

入り口

若洲側昇降施設は、コロナ禍で臨時休館中でした。入り口に貼りだされた案内は2回目の緊急事態宣言当時のもの。実際は昨年12月26日から休館。それが続いていた。東京ゲートブリッジにのぼる方法は、この昇降施設しかない。となると、橋は諦めるしかない。周辺に広がる若洲海浜公園をのんびり散歩?

Scene06

ヒルザキツキミソウ

防波堤に沿って進むと、左手にゴルフ場。そして右側斜面が草原になっていて、そこがお花畑に。調べるとヒルザキツキミソウ。ツキミソウに似ているが、名前通り、昼に咲く。夕方に開花し、朝にはしおれてしまう一夜花のツキミソウに、日本人の感性は重なりやすいが、昼咲きでは……。埋立地にはかえってお似合い?

Scene07

東京港臨海道路

草原から東京ゲートブリッジがよく見えた。交通量は多い。この道は東京港臨海道路。新木場方面から進むと、東京ゲートブリッジを渡り、中央防波堤の外側埋立地を通り、大田区の埋立人工島、城南島(じょうなんじま)を結んでいる。交通量が多いのは、有料道路ではないためとか。都心を通らずに江東区と大田区を結んでいる。

Scene08

ディズニーシー

さらに15号埋立地散歩を進んでみる。ときおりサイクリング組が追い抜いていく。ふと足を止めると、海の向こうに小山が。ディズニーシーでした。そういう位置関係か……と頭のなかに東京湾の地図を描くが、いまいるのが海のなかの埋立地。方向感覚はつかめないから、わかったような、わからないような。

Scene09

草原

東京ゲートブリッジで海を眺めながらサンドイッチと思っていた。しかし橋にのぼることができないから、ヒルザキツキミソウのお花畑のなかで昼食。草原に寝転びたくなる。目の前を東京ゲートブリッジを通過した中型の貨物船がゆっくりと進んでいく。南側には穏やかな東京湾。1時間近くぼんやりしてしまった。

Scene10

バス停

いったん新木場に戻り、東京臨海高速鉄道で東京テレポート駅へ。この駅があるのが13号埋立地。江戸時代末期につくられたお台場も含んでいる。お台場は、開国を迫るペリー艦隊に対峙(たいじ)するため江戸幕府がつくった海上砲台。その後、周辺では埋立が進み、多くが埋没してしまった。東京テレポート駅から中央防波堤行きのバスに乗る。

Scene11

車窓

13号埋立地と中央防波堤は第二航路海底トンネルで結ばれている。このトンネルは歩道がないため、中央防波堤までは都バス頼みになる。日本科学未来館前、青海二丁目……といったバス停を通ったバスは海底トンネルへ。中央防波堤にはコンテナのターミナルもあるようで反対車線ではトレーラーの渋滞も起きていた。

Scene12

中央防波堤内側

終点の中央防波堤のバス停に着いた。まず目に飛び込んできたのがこの光景。埋立地最前線に近い空気が伝わってくる。中央防波堤は内側と外側にわかれている。バスの終点があるのは内側で、すでに埋立が終わっているエリア。いま埋立が行われているのは中央防波堤の外側エリアだ。

Scene13

電柱

中央防波堤内側をぷらぷらと歩いてみる。なにもない。茫漠(ぼうばく)とした更地が広がり、幅の広い道路をトラックが頻繁に通りすぎていく。電柱に住所表示が。しばらく前まで、この埋立地が江東区になるか、大田区になるか……でもめていた。最終的には東京地方裁判所に。江東区79.3%、大田区20.7%で決着。中央防波堤内側は江東区に。住所が決まって、表示板も誇らしげ?

Scene14

フェンス

埋立が終わった中央防波堤内側のなかを進むと橋が。トラックが勢いよく走って行く。その先を見ると東京ゲートブリッジ。しかし歩道がない。目前の橋の東側が「海の森水上競技場」。東京オリンピック・パラリンピックのボートやカヌー会場である。しかし道に沿ってフェンスがつくられ、なにも見えない。埋立地巡りの旅はストイックです。

Scene15

埋立地

埋立地には土も持ち込まれ、ゴミの上にかぶせる覆土になる。ゴミ、そして覆土、その上にゴミ、再び覆土……とサンドイッチ構造で埋立は進んでいく。一方で土木資材となる改良土もつくられ、それを運ぶ大型トラックは忙しそうに走る。そこに不燃物や粗大ゴミ。埋立地の構造はかなり複雑。それを間近にして、反省。もっとゴミ問題を勉強してからくるべきだった。

※取材期間:4月15日

※価格等はすべて取材時のものです。

【次号予告】次回は東京の発祥地巡りの旅。

東京湾の「埋立地」をめぐる 東京再発見1

2019年に連載された台湾の秘境温泉の旅が本になりました。

台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)

温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。

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