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ちょっと冒険ひとり旅
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鮮やかな棚田や山寺へ ひと味違ったバリ島旅#1

ジャティルウィの「稲の女神」

そろそろ遠くに旅したい!とうずうずしている人も多いのでは。旅行ライターの山田静さんがちょっぴり冒険できる旅を紹介するシリーズ。最終シリーズとなる今回は、日本人にも人気のリゾート、バリ島をお届けします。

何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。

世界遺産の棚田へ

風にそよぐ田んぼの苗は、緑の海のようにも見える。かなたで森とつながり、上には真っ青な空。ところどころに見える赤やピンク、原色の花々が彩りを添えている。

日本の棚田とは、色の濃さが違う。

ここはバリ島のジャティルウィ。世界遺産に登録された棚田がある集落だ。

棚田
美しく整備された棚田。二毛作、三毛作が当たり前のバリ島では一年中青々とした水田が見られる

2019年秋、久しぶりにバリ島を訪れウブドに滞在していた。特に目的もないので、この日は車を1日チャーターして島の北部へとドライブ旅。なんとなく地図を見ながら、ドライバー氏と相談して行けるところに立ち寄ろう、という適当なプランである。

ドライバー氏がまず車を止めたのが棚田の集落。

バリは、もとはといえば農業の島。集中的に観光開発された南部や中部のウブド周辺、観光用ビーチを除けばいまも各所に水田や畑、果樹園が広がっている。 

特にウブドなど内陸部は稲作が盛んで、起伏が多い地形を生かした棚田が多い。日本では‘ライステラス’などとカタカナに言い換えられ、「映え」写真の背景として人気を集めている。が、これほどの規模で棚田を維持するのは個人では無理。このためバリ島各地には「スバック」という地元住民の水利組織が1000以上あり、計画的な水配分を行っている。その起源は1000年以上前にさかのぼるというスバックは持続可能な農業システムとして評価が高く、ジャティルウィはスバックが育んだ景観として2012年に世界文化遺産として認定されたのだ。

と、まあ、そんな背景はおいといて。

なにこの開放感。日本人の心をくすぐる田んぼの風景、同時に異国感も漂う色合いや景色に心が癒やされる。

ジャティルウィの中には散策路があり、小一時間でぐるっと回れる。車を止めてもらい、しばし散策だ。

棚田
スバックのリーダーは貯水池の水門管理を担い、水を公平に棚田に配分する。水を効率よくまわすため、田植えの時期をずらすなど、スバック内の話し合いで決定されることも多いとか。神の恵みとされる「水」を扱うスバックの組織は、単なる組合以上の意味を持っている
オブジェ
稲の女神デウィ・スリをかたどったオブジェ。バリ島の自然から生まれた土着の神々は数多くいる
注意書き
Please Don’t Pick Up The RICE(米をとらないでください)。観光客が増えるとこんな注意書きも必要になる。ちなみに入域料はひとり150円くらい。農家出身の母に、金を払って田んぼを見てきたと言ったらどんな顔をするだろう
自転車
レンタサイクルを借りて巡るのも楽しそう

北部のお寺巡り

さて次は、ジャティルウィ棚田の水源でもあるバトゥカウ山へ。ふもとのバトゥカウ寺院は17世紀ごろタバナン王国の寺院だった山寺で、木造建築が美しい。ひと気が少ない境内にはお堂が並び、静かに祈る人々の姿があった。

割れ門
バリ・ヒンドゥー寺院ではおなじみの割れ門。宇宙の中心、メール山を象徴する門で、ここから先が聖域。日本でいう鳥居みたいなものだ。境内にはメル(塔)が並ぶ
寺院
祈りの場には、外国人や異教徒は立ち入り禁止。了解を得て後ろから撮影させていただいた

日本に数え切れないほど神社仏閣があるように、バリ島にも無数といっていい寺院がある。バトゥカウ山から北上して向かったのは、ブラタン湖。湖畔の寺院、ウルン・ダヌ・ブラタン寺院は5万ルピア紙幣にも印刷された17世紀建立の有名な古刹(こさつ)である。

「バリ島イチのパワースポットで元気をチャージ♪」

手持ちのガイドブックにあったキャッチコピーと色調が強く加工された写真を見てなんとなく予感はしていたのだが、到着してびっくりした。

塔
湖に浮かぶ塔は絵になる風景。神様のパワーが集まるとされ、湖の周辺は公園になっている。ここまでは「きれいだねえ」と普通に感心できるのだが……
装飾
問題は周辺の装飾。コンクリート製の派手な石像や道標がそこかしこにあり、風情どころではない。観光客が湖に入って写真撮影する姿もあちこちで見られた
装飾
案内板
読めそうで読めない日本語の案内板。時間のある方はぜひ解読を!

公園内のレストランでミーゴレン(やきそば)を食べたが、観光都市ウブドで食べるよりも高くてまずくてこれもびっくりした。

自分も観光地の京都に暮らしているので、景観と観光の関係性は気になることが多い。文化財の保存には金がかかるが、観光客に向けた対応だけをしていくと、やがて観光客も離れていく。特にこういった信仰の場をどうやって保存・運営していくのかは、観光客の意識もあるが、地元の人々の考え方や姿勢によるところが大きいだろう。先ほど訪れたジャティルウィがみごとに景観を保っていただけに、考えさせられた。

NEXT PAGE植物園でほっこり

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