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つながる、ということ
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「逆に聞きたい。つながりって何?」 Cocco、想像力が入る余地のない世界への警鐘

小島マサヒロ撮影

歌はこわい。歌には力がある。だからこそ、歌い手個人の思いを超えて広がり、たくさんの人の心に届く。だけどそれはときに、歌い手が自分と同じ一人の人間であることを忘れさせる。「ポップアイコン」や「歌姫」などと呼んで祭り上げたり、「尊い」とあがめたりするように。

Coccoが思う「つながり」とは「テレパシー」。それは決して超人的な特殊能力などではなくて、ただ相手に思いをはせること。誰かを救い、何かを変えられる力があるとしたら、それは一人の人間から一人の人間に届く思いであることを、Coccoの言葉は物語っている。

▼インタビュー後編
「歌では人を救えない」勘違い、惨敗、挫折……それでもCoccoの歌は終わらない

世界中に広がったコロナ禍で、出歩くことも、人と会うことも、以前のようにはできなくなりました。だからこそ、大勢の人が、つながりについて考え直したようにも思えます。&M、&w、&Travelの3マガジンは、サイトリニューアルを機にマガジン横断インタビュー「つながる、ということ」を企画しました。

手紙がもたらすゆるやかなつながり

--「つながり」から連想するものをうかがったところ、「テレパシー」というアンサーをいただきました。

逆に「つながり」って何なの?と聞きたかったんです。みんなが「つながろう!」と呼びかけるとき、何と、どう、つながりたいんだろう?と。私はまず携帯電話を持っていないから、無駄なつながりみたいなものが、多分もともと人より少なくて。必要な連絡は家の電話とFAXでやり取りしているけど、それも厳選した人たちだから、全員電話番号を覚えているぐらいの人数。携帯が世に出てきて、目に見えるつながりの数みたいなものに重きを置くような時代になったけれど、数字の大きさとつながりの深さには何の関わりも感じていません。

「逆に聞きたい。つながりって何?」 Cocco、想像力が入る余地のない世界への警鐘
小島マサヒロ撮影

--インターネットやSNSでの結びつきについてはどう思いますか?

一応「Cocco」のツイッターの公式アカウントはあって、スタッフの携帯を借りてたまにツイートさせてもらったりするけれど、自分でいつもチェックしているわけでもないので、多分私はそこで「つながって」はいなくて。むしろアルバムを作ったりライブで歌ったりすることが、何より強いつながりだと思っているので、それ以上につながるツールというのは持っていないように感じてます。

--では、誰かに何かを伝えたいときはどうしますか?

手紙を書きます。でもメールと違って、やり取りのスパンはそんなに短くないから、緊急の連絡を除いたら、日々のゆるやかなつながりを維持していく中で「なんでまだ返事来ないの!?」みたいな焦りはない。

たとえば長いこと会っていない親の顔がふと思い浮かんで、手紙書いてみようかな、電話してみようかなと思うような第六感が、昔はもっと働いていた気がする。それがテレパシーみたいなもので。でも技術に頼りすぎていると、そういう人間としての本来の機能は、どんどん失われていく気がしていて。

自分が相手を思うとき、相手も自分を思っている

--テレパシーというのは、相手のことを思う、想像する、考えるということを、常にできる状態にしておくということでもありますよね。

コウ(Cocco)は、あの人に手紙書かなきゃと思ったら、絶対に向こうから手紙が来るわけさ。そういうテレパシーはよくあって、こっちから手紙を書こうと思っていると向こうから届いたり、自分が手紙を朝出した日の夕方にその相手から入れ違いで届くとかは、しょっちゅうある。そろそろ手紙を書こうというタイミングが一致していて、お互いに「どうなの?」と送り合っていて、それはテレパシーだなっていつも思ってる。

「逆に聞きたい。つながりって何?」 Cocco、想像力が入る余地のない世界への警鐘
小島マサヒロ撮影

--手軽に連絡できる手段があると、その分必要のない連絡も増えていると思うのですが、Coccoさんが手紙を送るのはどんなときですか?

言いたいことがあるとき、思いついたことがあるとき、こんなことがあったから言っておかないと!とか。きっとみんなが通常メールやLINEで送り合っている報告と同じ。家のテーブルの上には常に誰かから来た手紙が置いてあって、べつに焦ってはいないんだけど、何通かたまってくると、古い順に返事を書こうかとなる。

常にやり取りを続けている相手は5、6人じゃないかな。同じ人と長くやり取りしているから、住所もみんな覚えていて出先からでも書けるし。家には電話もあるけど、手紙のほうが、少し立ち止まって考えられるのかな。スピードの速いのがちょっと苦手なのかもしれない。

コウはいつも頭が高速で回転しているから、常にたくさんのことをブワーッと考えていて、電話だとしゃべりながらさらに考える量が増えていくけど、手紙だと一人だから、ちょっと落ち着けるというか。電話は相手と一緒に船に乗っている感じだけど、手紙はとても静かな海を傍観している感じで書ける。自分のペースを守れるところが好きなのかも。 

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