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花のない花屋
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突然の妊娠を支えてくれた叔母へ

読者のみなさまから寄せられたエピソードの中から、毎週ひとつの「物語」を、フラワーアーティストの東信さんが花束で表現する連載です。
新型コロナウイルスで大きな影響を受けた花の生産者を支援している全国農業協同組合連合会(全農)に、その活動の一環として連載にご協力いただいています。
あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら

〈依頼人プロフィール〉
松野ビエナート杏子さん 37歳 女性
自営業
ドイツ在住

    ◇

現役産婦人科医の叔母に、お花を贈りたいです。

叔母はイッセイミヤケに身を包み、外車を乗りこなす元気な60代です。最近は、流行のシルバーヘアにイメージチェンジ。ビデオ通話をした時は、ボリュームのある白い髪がとても綺麗(きれい)でした。

叔母は、私にとって心を許せる存在。近くに住んだことはないのですが、私が仕事をやめて自由にふらふらするたびに叔母の住む九州へ遊びに行かせてもらって、心配性の母には言いにくい相談などにもよく乗ってもらっていました。

30代半ばで私がヨーロッパに移住してからすぐに妊娠が発覚したときも、まっさきに相談したのは叔母でした。突然の妊娠で、何の心の準備もできていなかった私と彼。ただおろおろする私たちへ「しっかりしなさい」とばかりに活を入れてくれたのが、叔母のメールにあったこんな言葉です。

「まずは、あなたのおなかの中で張り切っている“ヒト”に、ちゃんと説明できるような行動をしてください」

そうか、今このおなかの中で「張り切っている“ヒト”」がいる……そんな当たり前のことに気が付いて、自分たちの状況を客観的に見られるようになりました。この時の叔母の言葉を何度もかみしめながら、そのままドイツで初めての出産。その“ヒト”はすくすくと育ち、いまや元気に公園で走り回る4歳の男の子です。

その後も「2人目がなかなかできない」と愚痴をこぼすと、「焦らないで。しばらく様子を見てから、また考えればいい」とアドバイスをくれました。叔母の言葉の通り、私はまもなく2人目を妊娠。今は5カ月に入ったところで、最近の叔母へのメールに、こんな心配事を書いたばかりです。

「次は女の子だって! うれしいけど、私みたいな子に育ったらどうしよう……」

学生のときから世界を歩くのが大好きで、インドへのヨガ留学という変わり種留学も経験。そしてドイツで家庭を持つというように、親には心配をかけてばかりだった私。でも叔母はこんな返信をくれたのです。

「あなたみたいな子だったら、絶対楽しいよ!」

社交辞令を言わない叔母だけに、その言葉がうれしく、メールを何度も読み返しました。

九州とドイツで今は遠く離れてしまい、なかなか一時帰国もかなわないことがとても残念です。コロナ禍の医療従事者として第一線で頑張る叔母に、ますます元気がでるように。私と息子の代わりに、素敵なお花を届けてください。

突然の妊娠を支えてくれた叔母へ
≪花材≫ラナンキュラス、スカビオサ、スプレーカーネーション、トルコキキョウ、テクトラム(エアプランツの一種)

花束をつくった東さんのコメント

叔母さまへの感謝の気持ちを込めた花束。知的な頼もしさをテーマに、白とグリーンでモダンなイメージに仕上げました。

ラナンキュラスという春の花は、よく見るとふわふわして柔らかいお花ですが、パッと見た印象は、清らかで凜(りん)としたモダンなイメージ。まわりをトルコキキョウのフリルで包み込みました。ほかにスプレーカーネーションや、テクトラムというモコモコしたエアプランツをアクセントにしています。

それぞれのお花は優しいけれど、アレンジ全体はスッとしたイメージです。バリバリ仕事をされて、人生を謳歌(おうか)されているかっこいい叔母さまのことを考えながら、作りました。この一年、コロナ禍でお医者様はお忙しい毎日を過ごされたと思います。お花を見て、ひとときでも楽しんでいただければうれしいですね。

突然の妊娠を支えてくれた叔母へ
突然の妊娠を支えてくれた叔母へ
突然の妊娠を支えてくれた叔母へ

(文・福光恵 写真・椎木俊介)

読者のみなさまから「物語」を募集しています。

こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。

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