&M

キネマの誘惑
連載をフォローする

「これがダメなら俳優を辞めよう。覚悟を決めて演じた」片山友希インタビュー 映画『茜色に焼かれる』

俳優の片山友希さん

カメラを見つめる表情は、凛々(りり)しくまっすぐだ。しかし、ひとたびレンズが離れると表情がほぐれ、「緊張しちゃうとニヤニヤしちゃうんです」と照れながら話す姿が初々しい。2017年のマクドナルド「ベーコンポテトパイ」のCMや映画『君が世界のはじまり』などに出演し注目を集める若手俳優・片山友希さん。片山さんが出演する最新映画『茜色に焼かれる』では、複雑な生い立ちを背負い、苦境の中で生きる女性ケイを体当たりで演じている。コロナ禍で始まった撮影にどんな思いで挑み、役に向き合ったのか。飾らない等身大の言葉で語ってくれた。

【動画】片山友希さん「これからも甘えられない現場に」

「あなたの覚悟は何?」面接で向き合ったこと

『茜色に焼かれる』は、『町田くんの世界』『生きちゃった』などを手がける石井裕也監督の最新作。完全オリジナル作品で、不屈の母親の生き様を描いた愛と希望の物語だ。主人公の母親・良子を演じるのが尾野真千子さん、その同僚役で登場するのが片山さん演じるケイだ。

「もともと『町田くんの世界』のオーディションに来た私を監督が覚えていてくれて、今回は面接という形でした。部屋に入り椅子に座った瞬間、『片山さんの覚悟は何?』と聞かれて。『何のために俳優をしているの?』と質問されました。その時は、正直答えられませんでした。全然和やかなムードじゃなかったです(笑)。でも石井監督って、面白いんですよね。『片山さんって、落ち着きないじゃん』とか、突然そういうことを言って和ませてくれたりもするんです」

主人公の田中良子(尾野真千子さん・右)と同僚のケイ(片山友希さん)
主人公の田中良子(尾野真千子さん・右)と同僚のケイ(片山友希さん) (c)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

予想外の面接を経て射止めたのが風俗嬢のケイという役。尾野さん演じる良子が、不遇から風俗で働くことになり、そこで一緒に働く同僚である。ケイには持病があり、高価な注射を毎日打つ必要があり、そのために風俗で働いていた。家族は父一人だが頼りたくない過去があり、複雑な境遇にある。

「自分にこの役ができるだろうか、という不安が一番大きかったです。ちょうど面接をした頃、私がこのまま仕事を続けるなら、もっと作品に対して、深く考えるべきだと悩んでいた時でした。でも、どうやって深く考えればいいか分からなかったんです。そんな時にケイの役をもらって……。生半可な気持ちでは絶対にやってはいけない役でしたから、今までとは違うやり方をしなければ絶対できないと思いました。『じゃあ、どういうやり方をすればいいんだろう』と悩んだまま撮影が始まり、とにかく不安が大きかったです」

「これがダメなら俳優を辞めよう。覚悟を決めて演じた」片山友希インタビュー 映画『茜色に焼かれる』
風俗嬢の役を「やってる風ではいけない」と、体当たりの演技を見せた

役作りが追いつかなかった。“演じている風”ではいけない

良子とケイは仲間意識から少しずつ心を通わせていく。イライラと憤りを隠しきれないケイは、社会に対して怒っているふうにも見える。どんな役作りや準備をして撮影に挑んだのか。

「風俗で働いている人にインタビューした本を読んだりはしましたが、正直、役作りができるほど気持ちが追いつかなくて。これまでは台本に“こう思ったんじゃないか”と役の気持ちを自分で書き込んだりもしていましたが、それだと演じている風でしかない。ケイになれないと思って全部消しました。監督とは、現場でのやりとりはほとんどなかったです。ただ撮影に入る前、ずっとメールで連絡を取り合っていました。自分にとっての『覚悟』とは何なのか、やりとりさせていただきました」

ケイ(片山友希さん・左)と良子の息子・純平(和田庵さん)
ケイ(片山友希さん・左)と良子の息子・純平(和田庵さん) (c)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

劇中ではシリアスなシーンも多かったが撮影現場はとても穏やかだったと振り返る。そして出来上がった作品を見て、映画への思いを再確認したという。

「撮影は昨年の9月、2週間ほどでした。苦しいシーンも多かったですが、現場は全く殺伐としていなかったんですよね。映画を最後まで見てもらうと分かりますが、楽しいシーンや笑えるシーンも結構あるんですよ。ラストシーンや、良子さんの息子・純平を演じる和田庵くんの言い方が面白かったり、鼻息が荒くて笑ったり(笑)。現場ではよく笑っていました。みんなでいいものを撮りたいという気持ちが大きかったせいか、とても楽しかったんです。そう思えたから、映画ってかっこいい、映画を作る人はかっこいい!と改めて思いました」

「これがダメなら俳優を辞めよう。覚悟を決めて演じた」片山友希インタビュー 映画『茜色に焼かれる』
「撮影現場は楽しくて、よく笑っていました」
NEXT PAGE尾野さんの明るさに救われた、壮絶な居酒屋のシーン

REACTION

LIKE
COMMENT
2
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら