&w

スリランカ 光の島の原石たち
連載をフォローする

マスクを外すその日まで スリランカ暮らしwithコロナ

写真家・石野明子さんが光の島・スリランカで見つけた、宝石のようにきらめく物語を、美しい写真と文章でつづる連載です。今回は特別編として、withコロナの日常を。「ゆるさと厳しさの振り幅が厳しい」という感染対策や、現地の出前事情をご紹介します。

えたいの知れないコロナウイルスがスリランカにも入ってきたと報道され始めた昨年2月ごろ、知人から聞いた話では「コロナを封じ込めるために皆でお寺でお祈りしよう!」という街宣車がまわっていたそう。そして東アジア系の人、中華料理店を避ける傾向が強かった。東アジア系の名前だと配車アプリでリクエストを受け入れてもらえないこともあった。乗せてくれたタクシーやトゥクトゥクのドライバーに「あのぉ、出身国はどちら?」と遠慮がちに聞かれたりした。

仕事で地方に行った際に、一度だけ通りすがりの人に突然「スリランカから出て行け!」と怒鳴られたことがあって少し怖かった。世界中にコロナが蔓延(まんえん)してしまった今では、肌の色や国籍で警戒されるということはほぼない。「国のご家族は元気ですか? 日本はどんな状況?」と見ず知らずの人から声をかけられることも多い。

追跡ツールはノートとペン?

私の住むコロンボでのコロナ対策はというと。ほとんど全てのお店やレストランの入り口にQRコードがあって、自分のメールアドレスを一度登録すれば、その場所で感染者がでた場合にお知らせが来るようになっている。もしくは自分が感染者になったときはルートを追跡される。このシステムができるまではノートとペンが置いてあって、名前と住所と電話番号を書き込むというシステムだった。解読不可能な字もあったし、個人情報がダダ漏れ、不特定多数で同じペンを共有するというのはかなりの恐怖だった。なのでとてもうれしい改善。

マスクを外すその日まで スリランカ暮らしwithコロナ
これが手書きの受け付けノート。係の人が暇だったのか可愛いイラストが描かれていた

またあらゆる場所の入り口には、体温計と消毒スプレーを持った警備員がいて、入る前に体温計測、そして手に消毒スプレーをかけられる。でもたまに、その温度計がいつも同じ体温を表示していたことや、「僕、34.2℃だった」と夫が言っていたときも。消毒スプレーを炭酸飲料のペットボトルに移し替えているところがあって、かけられる瞬間、手を引っ込めてしまった。エコかもしれないけど、ややこしいのでやめてほしい。娘と科学館へ行った際には、防護服のスタッフの足元が裸足、サンダルもなく全くの裸足!ということもあった。

ちなみに公共の場でマスクをつけていないと、逮捕されることもある。私はこの間、マスクをつけないことが原因で連行される人を初めて見た。きっと態度も悪かったのだと思うけど。ゆるさと厳しさの振り幅が厳しいスリランカなのである。

家族で過ごすスリランカの人たちの大事な時間
家族で過ごすスリランカの人たちの大事な時間

学校は昨年、今年とほぼ閉鎖でオンライン授業を行うところもあるが、ネット環境が整っていない家庭や、きょうだいが多かったり、オンライン授業に集中できない年齢だったりするとなかなか難しい。子供たちがこの一年で受けたであろう刺激が失われてしまったと思うと、とてもコロナが憎い。

今、スリランカでは3度目のロックダウン(都市封鎖)が施行されている。今回のロックダウンが始まるまでスリランカでは新規感染者をなんとか抑え込み、海外からの観光客の受け入れが始まっていた。

では何が原因だったかというと、それはお正月。4月の中旬にシンハラ正月があったのだ。昨年はロックダウンされた地域がほとんどだったので、「今年こそは!」とお正月準備の段階から皆が浮足立っていた。そして各地で『密』が大発生。その後、イスラム教徒のラマダン明けの祭事、ブッダの誕生日を祝うヴェサックという祭事も迫っていたため、今回のロックダウンはまるっとそれを覆う期間に設定された。ロックダウンの開始・解除も、宗教行事が大きく影響しているのだ。

マスクを外すその日まで スリランカ暮らしwithコロナ
昨年の娘の誕生日はロックダウンになってしまったのでお祝いは家族だけで。なんとか材料が手に入ってホッとした

やっぱり食は偉大

何度目かのロックダウンなので少し慣れてきた。食材デリバリーも問題なく注文できるようになった。最初のロックダウンでは食材デリバリーのインフラが全く整っていず、システムダウン、音沙汰なし、やっと食材が確保できたと思っても傷んだ野菜が届くことがあった。今は出前サービスもかなり充実していて、スリランカ料理はもちろん、北と南のインド料理、ベジタリアンや中華にイタリアン、フムスやケバブなどの中東料理も気軽な値段で注文できる。これは多宗教、多民族の恩恵と言えるかも。

アジの素揚げが乗ったカレー弁当は日本が懐かしくなる味
アジの素揚げが乗ったカレー弁当は日本の焼き魚に似ていてうれしくなる

自炊もするけど、ちょっとした気分転換にはやっぱり食は偉大。ただお酒だけはデリバリーでも買えず、ロックダウン開始直前や合間の外出許可日は、酒屋の前は炎天のもと長蛇の列になる。普段おっとりしたスリランカの人々だがお酒に向けるエネルギーはすごい。

昨年続いた長いロックダウンは、解除予定の日になると、「さらなる告知があるまで継続」というお達しが何回も続いた。そのたびに心が折れて「Until Further Notice/追って通知があるまで」という言葉を聞くと先が見えないあの苦しさを思い出す。今回はこの「Until Further Notice」の知らせが届かないことを祈るばかり。

ロックダウンの最中も30歳以上の人のワクチン接種を進めているスリランカ。マスクなしで近所のおじさんたちが道端で甘いミルクティーとおしゃべりを楽しむ姿を早く見たい。

コロナ禍でもスリランカの自然は元気
コロナ禍でもスリランカの自然は元気

さて、マスクなしで出かけていたなんて信じられないくらい、withコロナのスリランカ暮らしが続いている。コロナ禍によって諦めなくてはいけないことも多々あった。でも自分だけじゃない、世界中の人が同じような状況でなんとか踏んばって毎日を過ごしている。“できないこと”ではなくて、“今できること”を常に考えていなくてはと思う。

この1年と少しの間に、コロナ禍だからこその『出会い』が、心が折れそうなときにふと立ちあらわれては、たくさんのエネルギーをくれた。対面でもオンラインでも、『出会い』は私になくてはならないもの。新たな『出会い』が私を見つけてくれるように、私がここにいる理由、やりたいことをどんどん大声で発信していこうと思う。マスクを外すその日まで!

フォトギャラリーへ(写真をクリックすると、くわしくご覧いただけます)

REACTION

LIKE
COMMENT
0
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら