つながる、ということ
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「つながり」の面白さは、変化の中にこそある 建築家・永山祐子さん

撮影:猪俣博史

世界中に広がったコロナ禍で、出歩くことも、人と会うことも、以前のようにはできなくなりました。だからこそ、大勢の人が、つながりについて考え直したようにも思えます。&M、&w、&Travelの3マガジンは、サイトリニューアルを機にマガジン横断インタビュー「つながる、ということ」を企画しました。

コロナ禍により多くの人にとって激しい環境の変化がありました。多様な生き方や考え方がある中で、どんな建物や場所づくりをすれば誰もが暮らしやすく、支えあうことができるのか。人×建築×街×公共・社会をつなげてこられた建築家の永山祐子さん(45)にお話を聞きました。

違和感なく過ごせる空間に

――永山さんの最新の仕事は、眼鏡ブランドのロードサイド店「JINS PARK」(前橋市)。内部には人が座ってくつろげる大階段やカフェ空間があり、眼鏡店というよりは、まさに公園のようです。

ゆったりした郊外の立地ですので、「便利」「効率的」というよりも、「滞在」というキーワードを大切にしました。年代や性別を問わず、あらゆる方に心地いいと感じていただける場所にしたかったのです。

たとえば、私自身が小学生2人の子育てをする中で、「なぜ、ベビー休憩室の壁は、どこもピンクなんだろう?」という違和感を持っていて。今は子育てに男女の別はなくなっていますし、3世代の子育てでも、おばあちゃんではなく、おじいちゃんが働く娘に代わって孫の面倒を見る、というパターンもある。必要なのは、赤ちゃんからお年寄りまで、全員が違和感なく一緒にいられる空間だと思い、建物の中身や使い方も提案しながら、設計に取り組みました。

JINS PARK
JINS PARK撮影:阿野太一+楠瀬友将
アイウェアブランドJINSのロードサイド店舗※1。眼鏡の購入以外にも、この場所へ訪れる目的となるような滞在型の空間やコンテンツを提案し、地域と共生した新しいロードサイド店舗のプロトタイプを具現化することを目指した
(※1幹線道路沿いに、自家用車での来店を見越して立地する店舗)

人と場所とのかかわりを考える

――コロナ禍でさまざまなもののオンライン化が進み、人と建物の関係も変わりましたが、永山さんの価値観に変化は起きましたか。

建築家は現場仕事という思いが強く、家で仕事をする発想が私自身にはなかったのです。ところが、テレワークが一気に進んだことで、子どもたちと昼間に過ごす時間が持てました。それまで「仕方ない」とあきらめていたことも、やればできるんですね。

そこから、オフィスを「机に向かう場」ではなく、「ディスカッションする場」と、とらえ直すこともできました。コロナでは世界中が今も苦しんでいますが、同時に、大きな変化のきっかけにもなっている。人と場所とのかかわりについて、考えがまた一段、進んだ気がします。

――永山さんは、「木屋旅館」(愛媛県、2012年)のような、地域活性につながるリノベーションも手掛けています。人と場所のかかわりで、大切にしていることとは?

「木屋旅館」は、昔ながらの木造旅館を、外観や雰囲気はそのまま、内部を斬新に変え、完成後にここを舞台にアートイベントを企画するなどイベントを通して、いろいろな人を巻き込んでいったプロジェクトです。リノベーションの面白いところは、地域の記憶をみんなで再発見して、継承できるところ。

木屋旅館_カヤバ珈琲
写真左:木屋旅館/撮影:表恒匡
愛媛県宇和島市にある明治44年創業の老舗旅館、木屋旅館のリノベーションプロジェクト。滞在型旅館として新しい、一日一客という形態を取り入れている
写真右:カヤバ珈琲
1916年に谷中に竣工した木造2階建の建物で、1938年に創業した喫茶店。店主の死後、長らく閉店していたが、新しい文化の発信地とするプロジェクトの一環として、再び喫茶店として再生することとなり、その改修設計を任された

東京では台東区谷中にある「カヤバ珈琲」の改修でも、そのことを実感しました。木造民家の1階にあったカヤバ珈琲は、地元で長く愛された名店でしたが、店主のマダムがなくなり、いったん閉店したんです。

ところが、地元のNPO法人ら、この場所を愛する人たちが集まって、後に再開が決まった。そんな物語があったからこそ、ノスタルジーや博物館的な保存ではなく、時間と場所の両方が今に息づく「継承」を意識しました。

NEXT PAGE説明会の代わりに地域の伝統「餅まき」

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