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「同業者として嫉妬したビジネス書は?」 岩波文庫編集長が答えた意外な3冊 (永沼浩一×水代優)

野呂美帆撮影

玉石混交と言われる「ビジネス書」の世界。やはり良書を知るのは同業者。そこで、著名な編集者に「同業者として嫉妬したビジネス書」を教えてもらいます。

シリーズ5回目となる今回のゲストは、岩波文庫編集長の永沼浩一さん。昨年末まで岩波新書の編集長を務め、「新書大賞2020」を受賞した「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」(大木毅 著)をはじめ、数多くの作品を世に送り出しています。

今回永沼さんが紹介するのは、歴史読み物、推理小説、古典。どれもストレートなビジネス書ではありませんが、選書の意図はいかに。ブックカフェ「Hama House」を経営する水代優さんとの対談です。
(このシリーズのバックナンバーは文末にまとめています)

「同業者として嫉妬したビジネス書は?」 岩波文庫編集長が答えた意外な3冊 (永沼浩一×水代優)
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永沼浩一さん(ながぬま・こういち) 
1992年、岩波書店入社。自然科学書編集部にて理科系単行本(学術書、教科書、科学読み物など)の編集に携わる。2009年より新書編集部、2015年より同編集長。2021年より岩波文庫編集長。

<永沼さんが紹介する本

(1)『日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る』
播田安弘著/講談社ブルーバックス/2020年

『ヒューマン・ファクター〔新訳版〕』
グレアム・グリーン著 加賀山卓朗訳/ハヤカワepi文庫/2006年

『戦史』
トゥキュディデス著 久保正彰訳/中公クラシックス/2013年

理系の視点は、迂遠ながらビジネスに結びつく

水代 岩波文庫の編集長がどんな本を選ぶのか楽しみにしていましたが、選ばれた3冊を見ると、やはり普通ではありません(笑)。永沼さんの中で「ビジネス書」ってどういうイメージなんですか?

永沼 白い本、でしょうか。なぜか白い装丁が多いですよね(笑)。……と、それは冗談ですが、改めて考えてみると、よくわからないというのが正直なところです。岩波書店はビジネス書の出版社ではないし、僕自身もいわゆる王道のビジネス書を手がけたことがありません。今回のお題に対してこういうセレクトになったのも、その辺が影響しているかもしれませんね。

「同業者として嫉妬したビジネス書は?」 岩波文庫編集長が答えた意外な3冊 (永沼浩一×水代優)
上段左と下段の2冊は、今回永沼さんがセレクトした作品。上段の右から3冊は岩波文庫の『戦史』。岩波文庫がオリジナル版で、中公クラシックスはそのダイジェスト版

水代 確かに変化球的な並びかもしれませんが、僕からすると『日本史サイエンス』なんてれっきとしたビジネス書です。僕は、「理系のノンフィクション」こそいちばんのビジネス書だと思っていて。「フェルマーの最終定理」を証明したアンドリュー・ワイルズしかり、「ハッブルの法則」を発見したエドウィン・ハッブルしかり、誰にも称賛されず、時にあざけり笑われても黙々と研究し続ける数学者や天文学者の姿勢などは、ビジネスの世界に通じるものがある。

永沼 岩波書店では入社以来、理系書籍の編集部が長かったので、水代さんの言うこともよくわかります。通常のビジネス書には明日使える実利を期待しがちですが、理系の本は直接的にビジネスに役に立つわけではない。けれども、理系のものの考え方やセンスは迂遠(うえん)ながらビジネスと結びつくところはありますよね。そういう考えのもとに、これらの本を選びました。

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