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涼しげな滝に誘われ檜原村へ 東京再発見4

旅行作家・下川裕治さんが、東京をめぐるシリーズ。今回は、檜原(ひのはら)村の滝を訪れます。滝の楽しみ方は、眺めるだけではないようで……。(写真:阿部稔哉)

東京都下、檜原村で滝めぐり

初夏の森……。日差しが少しずつ強くなってくる季節になると、つい、足が向いてしまう。今回は東京都下の檜原村の森。その案内を眺めていると、滝の写真が次々に登場する。滝か……。涼しそうな予感に誘われて訪ねてみることにした。

眺めるならやはり高さがある滝……と調べると、資料によってその数字がかなり違う。村に聞いてみると、滝の高さを測る基準はないそう。いくつかの滝が連続しているものもあり、「約○メートル」としか表記できないとか。さまざまな資料をあたり、誰でも眺めることができる檜原村の高さのある滝、払沢(ほっさわ)の滝、天狗(てんぐ)の滝、三頭(みとう)大滝に向かったのだが……。

短編動画

檜原村で僕らがめぐった滝を訪ねた順に動画で。中山の滝、払沢の滝、天狗の滝、三頭大滝。落ちる水の音が「涼」を誘う? 気温が高い日にクリックしてみてください。

今回の旅のデータ

都内から車で向かった。都心から約1時間半。中山の滝、払沢の滝は近くに駐車場がある。天狗の滝は千足バス停近くに有料駐車場がある。三頭大滝は檜原都民の森の駐車場を利用した。公共の交通機関を利用する場合は、JR五日市線武蔵五日市駅からバスになる。

檜原都民の森は、緊急事態宣言などの影響で休園の可能性がある。事前の確認を。

檜原村で滝めぐり 「旅のフォト物語」

Scene01

中山の滝

檜原村でいちばん有名な滝は払沢の滝。そこに向かい車を走らせていると、中山の滝の表示。河原に下りてみると……これが滝? 段差では? 高さは1メートルほど? 村に聞くと、「高さの基準はなく、昔から滝と名前がついているものを滝としている」とのこと。しかし勢いよく流れくだる水は清冽(せいれつ)。昔は鮎跳滝と呼ばれていたとか。うなずけます。

Scene02

ワラビ

途中の土産物店には、何種類もの山菜が売られていた。檜原村はそんな季節を迎えていた。ついワラビを買ってしまった。これで324円。店の横が下元郷公衆トイレ利用者駐車場。都心からやってきた車が10台近く駐車していた。快晴の空に誘われて、森に向かう。そんな人たち?

Scene03

山道

払沢の滝まで続く遊歩道のような山道を歩く。沢に沿って吹く風も心地いい。道には木材チップが敷かれていて、歩きやすい。適度に弾力があり、ひざに優しいのだ。「日本の登山道も、こうして木材チップを敷いてくれれば、どんなに歩きやすいだろう」などと思うのは、年を追って衰えつつある足の筋肉のせいかも。

Scene04

ガチャガチャ

遠くから見たときは大きな鳥の巣かとも思ったが、近づくと……「山男のガチャ」。「ん?」。払沢の滝に向かう遊歩道脇でしばし悩んだ。お金を入れると、バードコールや「ぶんぶんごま」などの木工製品が出てくる仕組みに、「なるほど」。間伐材の現金化が、やがて檜原村の森を守っていく。村で林業に携わる人たちのアイデアだった。

Scene05

取り込み口

払沢の滝があるのは、北秋川の支流。ここを流れる水は、檜原村の飲料水になっている。滝の手前には、水の取り込み口があった。そこにはモップやバケツなどの清掃用具一式が置かれていた。家が立ち並ぶ「払沢の滝入口」のバス停付近までは、ここから歩いて15分ほど。こんなに近くに水源がある。山を実感。

Scene06

メロンパン

払沢の滝に着いた。途中にあったスーパーで買ったメロンパンと紅茶で小休止。このメロンパンは「森の風°(ぷう)」という檜原村のパン屋さんがつくっていた。滝をひんやりとした風が流れてくる。なぜか気分も落ち着いてくる滝の不思議。

Scene07

払沢の滝

払沢の滝は高さ約60メートル。といっても4段にわかれていて、滝つぼの高さから見あげるのは最下段の4段目だ。といってもこの滝だけで高さ20メートルを超える。この滝は冬、全体が凍ることで知られている。最近は完全結氷は減っているが、2006年と2018年に完全に凍ったという。

Scene08

ランチ

払沢の滝からくだってきたところにある「ひのはら 四季の里」で昼食。檜原村の食材を使ったランチは1000円。コロナ禍で、「訪ねる人が少ない滝を教えて」という問い合わせが増えているとか。理由は歌。滝つぼ付近では、歌声が滝の音で消され、大声で歌えるからだという。滝歌?で自粛ストレス発散法というわけか。

Scene09

山

「ひのはら 四季の里」を出ると、正面にこれから向かう天狗の滝が見えた。「急いで行ったほうがいいですよ」と店の人からいわれた。太陽が西に傾いていくと、天狗の滝は日陰になってしまうのだという。滝は太陽の光が入るか、入らないかでずいぶんイメージが変わってしまうらしい。ときに虹も出る。しかしかなりの距離がありそう。

Scene10

標識

天狗の滝へ急ぐ。最後は本格的な山道になった。差し込む太陽の光の角度が変わっていく。傾斜は急で息が荒くなる。はたしてこの先に天狗の滝はある?とつぶやきながら山道をのぼるとこの標識。「この滝を天狗の滝と間違えて帰ってしまう人が多くて、あえて標識をつくった」という村の人の言葉を思い出した。

Scene11

天狗の滝

標識から5分ほどのぼり、岩場を下りると、天狗の滝の滝つぼに着いた。水量はそれほど多くないが、高度感はある。しかし、岩盤の上を滑るように水が流れ落ちる姿は優雅だ。険しい山道をのぼらないとたどり着けないためか、訪ねる人は誰もいなかった。きっとこういう滝の前で、大声で歌うのだろう。

Scene12

魚

天狗の滝の滝つぼに魚が。下流にはいくつかの滝があり、とても魚が遡上(そじょう)するのは難しい。では、なぜここに魚が? 昔からいた魚が火山活動や地滑りなどで閉じ込められたという説もある。が、人が放流したという説を唱える人のほうが多数派か。猟師が狩りの途中の食料を確保するために滝つぼに魚を放つことはあったようだ。

Scene13

集団

天狗の滝からくだる途中、滝行の集団とすれ違った。十数人の若者たち。前後には指導役に思える僧衣姿の男性がふたり。若者たちは、どんな思いで滝行に参加したのだろう。いい天気に誘われて、気楽に滝をめぐっていたが、日本の滝にはこういう世界もあること、すっかり忘れてました。

Scene14

滝見橋

天狗の滝から三頭大滝へ向かった。滝周辺は檜原都民の森として整備され、アクセスもスムーズ。駐車場から木材チップが敷かれた道をのぼるとつり橋に出た。これが滝見橋。あまりにストレートな橋の名前だが、ここから眺める三頭大滝がいちばん。高さ約35メートルの滝の全容が眼下に広がる。

Scene15

通行止め

檜原都民の森のなかで、もうひとつの滝に向かった。黒滝。2メートルほどの小さな滝らしい。三頭大滝のおまけ? 黒滝への道を進んでいくと……通行止め、でした。滝マニアぐらいしか訪ねない滝だから、通行止めの情報も事前に得ることができなかった。日帰りでめぐった滝は四つだった。小天狗滝を加えれば五つか……。 

※取材期間:4月22日

※価格等はすべて取材時のものです。

【次号予告】次回から家でつくるアジアのビールつまみがはじまります。

涼しげな滝に誘われ檜原村へ 東京再発見4

2019年に連載された台湾の秘境温泉の旅が本になりました。

台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)

温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。

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