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大人の表現を任される喜びも 安達祐実、パブリックイメージを更新する闘い

花田龍之介撮影

大人の女性として認められないことが悲しかった

――常に世間の目がある中で思春期を過ごし、今に至る中で、外からの見られ方と実際の自分とのバランスは、どのようにとってこられたのでしょうか。

安達 10代の頃はやっぱりドラマ『家なき子』の印象が強くて――それはいまだにそうなんですけど――自分は成長して大人になっていくのに、みんなの中の「安達祐実」は成長していなくて、それが歯がゆかったというか。大人になることを認めてもらえないような状況への反発があってもどかしかったですね。

20代になると、自分では成人して大人になったつもりだったのに、まわりはやっぱり私を大人として見てくれなくて、そのときに感じたのは悲しさでした。一人の「女」としてなかなか認められないこともすごく悲しかったですね。私は女性として生まれて、心も女性なのに、「女としては見られない」みたいなことがネットに書かれているのを目にしたりすると、私はどうしたらいいんだ……!?みたいな葛藤の中にいました。それでも結婚して妻になったことで、女性としての自分を証明できたような気持ちが当時はありました。

――『息をひそめて』で演じられた琴子=妃美は、まさに大人の女性のある側面が生々しく垣間見える役柄でした。

大人の表現を任される喜びも 安達祐実、パブリックイメージを更新する闘い
花田龍之介撮影

安達 人とのつながりを求める男女を描く上で、性的なシーンも出てきますが、自分が演じたいと思う役だったらそういう表現も抵抗なくやっていきたいと思っているんです。そこを任せてもらえたのも、この作品のオファーに惹かれた理由の一つで、すごくうれしかったですね。

――それも含めて、近年はより自分のやりたいことができるような環境にはなってきていますか?

安達 そうですね。若い頃は誰でも、パブリックイメージみたいなものを守ることに重点を置く時期があると思うんですけど、私はもうそこにとらわれなくてもいいかなと。それよりも、今の自分の年齢にふさわしい仕事の仕方ができるように、ここ10年は環境作りをしてきたという感じでしょうか。

好きなことができるように環境を変えていきたい

――自分の働きやすい環境を作るにあたっては何が課題でしたか?

安達 いきなり世間の意識を変えることは難しいと思ったので、まずは事務所内で、私に対するイメージ改革を始めました。というのも、子供の頃から今の事務所に所属しているので、小さい頃からの「祐実ちゃん」のイメージをそのまま持ってくれているスタッフの方たちが多かったんです。だからそれはもう違うんですと(笑)。今の私をちゃんと見て欲しいという話をしました。

さらに仕事の選び方や、安達祐実という役者を売り込む上でどんな営業をしているのか、営業先でどんなことを言われているのか、事実をありのままに教えてくださいと伝えたんです。そうするとネガティブな言葉も聞こえてきましたが、それをふまえた上で、今の私はこれが得意なのでそこをアピールしてくださいとお願いすることができた。その結果、仕事の幅も少しずつ広がって、仕事を通して今の自分にできることを示していけるようになってきた感じですね。

大人の表現を任される喜びも 安達祐実、パブリックイメージを更新する闘い
花田龍之介撮影

――今の安達さんがあるのは、環境を変えるために、自分で一つ一つアクションを起こしてきたからなんですね。

安達 30代をむかえてからは、自分でインスタグラムを始めるようになって、女性がすごく応援してくださるようになったんです。その後押しもあって、自分が自分らしくあれば、どう見られても大丈夫だと思えるようになって。するとまわりの人たちも、そういう私をだんだん面白がってくれるようになったんです。SNSは簡単にいろんなことが書ける分、いまだに心ない書き込みもたくさんあって、それについては私個人のことに限らずもっと世の中の意識が変わってくれたらいいのにと思います。ただ、前よりは気にしなくて済むようになったというか。それよりも応援してくれる人たちのことを、きちんと見つめられるようになりました。

――きたる40代に向けて、これからの自分に期待したいことはありますか?

安達 自分には演じることしかできないと思って生きてきたんですけど、この年齢になって、もしかしたらそうじゃないこともできる可能性があるかも!と思い始めました。アパレルブランドのプロデュースに挑戦したり、刺し子や刺繍(ししゅう)をしたり、細かい手作業やものを作ることが好きなんです。もちろん役者の仕事も続けていきたいけれど、そうじゃない自分も新たに発見していきたい気持ちがありますね。

あとは母親として、子供の成長の一瞬一瞬を大切にしたいという思いも、コロナ禍でより強くなっていて。がむしゃらに働く時期を過ぎて、もう少しわがままになってもいいのかなと。家庭のことや自分の好きなことをしながら、仕事とのバランスをうまくとって生きていけるように、また環境を整えたいなと思っています。

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PROFILE
安達祐実

あだち・ゆみ 1981年生まれ、東京都出身。幼少時に雑誌モデルとして芸能界デビュー。94年のドラマ『家なき子』のヒットで国民的俳優に。『ガラスの仮面』(97年)、『積木くずし真相 ~あの家族、その後の悲劇~』(05年)、『娼婦と淑女』(10年)など多くの作品に出演。俳優業のほか、ファッションブランドのプロデュースを手がけるなど活動は多岐にわたる。

Huluオリジナル『息をひそめて』

多摩川沿いで生きる人々のそれぞれの日常や人間模様を8話で綴る、オムニバスドラマ。国内外で多数の賞を受賞してきた中川龍太郎が、監督・脚本を手掛けたオリジナルストーリー。全話配信中。

第1話「人も場所も全ては無くなる」 夏帆、斎藤工
第2話「帰りたい場所が、ずっとなかった」 石井杏奈、萩原利久、長澤樹
第3話「君が去って、世界は様変わりした」 村上虹郎、安達祐実、横田真悠
第4話「この町のことが好きじゃなかった」 蒔田彩珠、光石研
第5話「たまに遠く感じる、君のことが」 三浦貴大、瀧内公美
第6話「あなたの速さについていけないことがある」瀧内公美、三浦貴大
第7話「誰のために歌うの?」 小川未祐、斎藤工
第8話「この窓から見える景色が、僕の世界だ」  斎藤工、夏帆

公式サイト
https://www.hulu.jp/static/ikiwohisomete/

■あわせて読みたい
・若葉達也、門脇麦、森山未來、池松壮亮 ……etc. 俳優へのロングインタビュー
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・Cocco、ミルクボーイ内海崇、関口知宏らが考える「つながる、ということ」

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