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(My Style,Myself)自分のエネルギーになる装いが重要 服選び、愛と好奇心で探求してほしい 日本文学研究者、ロバート・キャンベルさん

ドリス・ヴァン・ノッテンの新作セットアップをまとうキャンベルさん=山本倫子撮影

米国出身の日本文学研究者ロバート・キャンベルさんはテレビ出演などの際、スタイリストを付けず自分で服を選んでいる。人柄に沿う柔らかな印象の服、時には多くの人が「無難」とは受け取らないであろう服をまとう。自らの装いについて思いを聞いた。

テレビ出演の際は、前夜に服装を考えることが多いのですが、翌朝「やっぱりもっとカッチリしたものを」とか「柔らかいイメージで」などと考え直し、変更することがあります。自分の服なら、そうした対応ができるのです。

文学研究者ですから、立場や意見を表現する際には最初に言葉を尽くそうと思います。しかし、映像をともなう際などは、服装を含めた全体として認識されることがとても多いと感じています。

自分が気持ちよく相手と渡り合える、カメラが回っている時に与えられたタスクを達成するためにエネルギーになる装いをしていたい。とても重要なことだと思います。

コメントの内容も、単調ではなく、時々相手の期待を裏切りたい。「ここはズバッと言わなければ」という時には、おそらく柔らかい印象の服は着ていないでしょう。

時々、「これはキャンベルさんだから着られる服だ」などと言われますが、ほめられているのか、けなされているのか……。別に他人が着られないものを着ているわけではなくて、僕が似合うと思っているものを身につけている、というのが実態なのです。

もちろん服選びにおいては、相手が不愉快にならないかどうかなどのボーダーがある。しかし、そのボーダーは緩やかにしていきたい。

新作コレクションの写真を見て好きな服を見つけると、まずブランドに電話をして入荷をお願いします。多くの人が選ばない商品をバイヤーは買い付けません。だから、店頭に並ぶのは黒一色のこともあり、「半年前のショーと、今ラックに並んでいるカラスたちの落差は一体……」と思うこともあるのです。

(My Style,Myself)自分のエネルギーになる装いが重要 服選び、愛と好奇心で探求してほしい 日本文学研究者、ロバート・キャンベルさん
グッチのジャケットに、数年前のランバンのパンツを合わせたキャンベルさん=山本倫子撮影

世の男性たちには服を選ぶ際、模様や色、生地の質感で、もっと真面目に遊んでほしい。自分のアイデンティティーを発信するだけでなく、自分の活動全体を一つ上のステージに押し上げるための手段として、愛と好奇心を持って探求してほしいのです。

私はテレビ出演や取材時だけに着る服は持ちあわせていません。ドリス・ヴァン・ノッテン、サカイの阿部千登勢さんら、僕が知っているデザイナーたちは、心血を注いでクリエーションを続けています。そうした服は「飾り」ではないと思うからです。

一方で、ビジネスシーンにおけるスーツを否定してはいません。我を忘れて仕事に打ち込めるという点において合理的ですし、取引先が期待する格好に合わせないといけない現実もあるわけです。

男性の着物もスーツに似ています。江戸小紋は近づいて初めて模様が分かる。それが東京、江戸の文脈であり、今にもつながる文化ではないでしょうか。ジル・サンダーも、織りで表現した市松模様のような生地を使ったことがあります。そう考えると、華美にはせず「粋」をみせるスーツの装いは、そんな文化を含むことができる可能性もあるのでは。

一番好きなブランドを問われても、「特にありません」と答えていますが、ドリス・ヴァン・ノッテンやジル・サンダーはもちろん好き。日本のブランドにも、いくつも好きなものがあります。

ただ、なかでもドリスには伝統的なものに対する敬意を感じるし、構築的でミニマリズムのジル・サンダーはパーフェクトですよね。

購入した服の多くは長年大切にしています。日本に留学して間もない20代の頃、日本橋の三越で、人生で初めてのスーツをあつらえたのですが、今も数年ごとに自宅で袖を通します。そうすると、あの頃の自分と向き合って、おもはゆいけれど初心を思い出すことができるのです。
(聞き手 編集委員・後藤洋平)

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