3回鳴らすと望みがかなう鐘 スロベニア・ブレッド

ツアーの行き先としてはメジャーでないけれど足を運べばとりこになる街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。今回は2017年に訪ねたスロベニアのブレッドです。湖の中にある教会の建つ小さな島が絶景として知られます。
トリグラウ国立公園を抜け、ブレッド湖へ
今回は、アドリア海に面したスロベニアの美しい小さな町ピランから、山を越えてブレッド湖へドライブします。
スロベニア最高峰のトリグラウ山(標高2864m)を眺めながら、トリグラウ国立公園を走りました。

6月の輝くような緑や峡谷、周囲の山々の美しさに思わず車をとめて見とれました。魔法にかけられたのかと思うほど、うっとりする風景が続きます。
一幅の絵のようなエメラルド色の湖

山々を背景に、エメラルド色の水をたたえたブレッド湖。「聖マリア教会」が立っている島の風景は、一幅の絵のようです。
私は水のある風景が大好きです。海、湖、川、滝。
水は透明なのに、空を、緑を、日の光を映して、刻々とその姿や色彩を変化させます。時とともに現象する美。いつまで見ていても飽きません。
まずはホテルへチェックイン。

「こんなところに、別荘があったなら!」と思わず夢を膨らませました。自分の別荘を時々訪ねて、こんな風景を楽しめたなら、日々考えることも、人生観も変わりそうです。
実際、ブレッドには19世紀から20世紀に建てられた別荘が135棟ありました。広大な庭園に囲まれていたり、独自のボートハウス(船小屋)を持っていたりする堂々たる建物でした。現在、これらの別荘は個人が所有していたり、または観光施設や自治体の建物として使われたりしています。ちなみに、旧ユーゴスラビア大統領だったチトーがここブレッドに持っていた屋敷は、ヴィラ・ブレッドというホテルになっています。

さっそく湖畔(こはん)を散策すると、魚がたくさん泳いでいます。手ですくえそうに見えたので、思わず手を入れてしまいました。魚がさっと逃げて、湖底に手が届きそう。そのまま湖に吸い込まれてしまうかのような錯覚に陥りました。
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