「すべてが名場面」声優・山寺宏一が語る『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』

のちの著名なアニメ関係者に多大な影響を与えたアニメ『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ。「七色の声を持つ」と称される声優・山寺宏一さんもその一人だ。そして20年前から、影響を受けたシリーズ作品への出演を果たしている。
1999年にゲーム『宇宙戦艦ヤマト 遥かなる星イスカンダル』で声優・富山敬さんの後継として主人公の古代進役に抜擢され、2009年に公開された映画『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』でも古代役を務めた。さらに、リメイク作品として2013年に放送されたテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト 2199』から、古代の敵であるデスラー役に選ばれた。
「中学時代、毎週夢中になって見て、いろんなキャラクターの声真似をしていました。声優を意識してモノマネをし始めたのは、この頃からかもしれません」
プレッシャーを越える『宇宙戦艦ヤマト』への思い
「中学1年生のときに『宇宙戦艦ヤマト』を見てから、作品のファンでありデスラーを演じていた伊武雅刀さんの大ファンでもありました。伊武さん以外のデスラーなんて考えられなかったので、僕で務まるのかと、とてもプレッシャーを感じていました」
それまで人気作の人気キャラクターをいくつも演じてきていたが、デスラーを演じることには一抹の不安も。「大好きな『宇宙戦艦ヤマト』にここまで関わって大丈夫だろうか? しかも古代だけではなく、デスラーまで……」と当時の胸中を振り返った。同時に、「ほかの人が演じるくらいなら僕がチャレンジしてみたい」とプレッシャー以上に作品に関わりたいという強い思いがあったという。

『宇宙戦艦ヤマト2199』のデスラーは旧作と異なる点がいくつかある。「アベルト・デスラー」というフルネーム、「大ガミラス帝星永世総統」という肩書が設定され、若々しさを感じる容姿となった。そして、続編の『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』では、これまで描かれたことのなかったデスラーの生い立ちが明らかに。キャラクターのバックボーンが描かれることは演じやすさを感じる反面、難しくもあると話す。
「彼がなぜああなってしまったのか全て腑に落ちました。旧作のデスラーはガミラス帝国を救うため、帝王、カリスマ、冷徹な独裁者として描かれます。とにかく弱みを見せず、心の内を明かさないことが魅力でした。しかし、今はそういったキャラクターが共感されにくい時代であると考え、『宇宙戦艦ヤマト2202』ではデスラーの過去を描くことにしたと脚本家の福井(晴敏)さんが仰っていました」
「過去が描かれたことで、デスラーの選択や決断がより理解できるようになった。同時に過去を背負った上で演じることは非常に難しい。でも、難しければ難しいだけやりがいを感じます。非常に嬉しく、喜びでもありました」