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(My Style,Myself)コムデギャルソンに“着負け”ない生き方を ノンフィクションライター・石戸諭さん

コムデギャルソンのジャケットとニットベストを着用する石戸諭さん=山本倫子撮影

ノンフィクションライターの石戸諭さん(37)は、ありふれた服を選ばない。「自分の想像を超える」コムデギャルソンの服を愛している。川久保玲の服づくりの精神は、石戸さんの仕事の姿勢にも影響を与え続けているという。

    ◇

僕にとってモードファッションといえば、コムデギャルソンです。ずっと好きでしたが、初めて購入したのは毎日新聞で4、5年目の記者生活を送っていた頃。オムプリュス(川久保が手がけるメンズライン)の定番のウールジャケットを選びました。

なぜコムデギャルソンか。川久保さんのことを、非常に尊敬しているからです。彼女は責任を伴う企業のトップでありながら、斬新なクリエーションと両立をさせている。

今着ているのも元はテーラードジャケットですが、それを解体して再構築し、絶妙なバランスで成り立っている。

僕はルイスレザーというブランドのライダースジャケットも好んで着ています。それも川久保さんが長年着用されているので、いつかは着てみたいと思ってきました。高価で頑丈、一生ものの服ですが、あの服を川久保さんが好きなことから分かるのは、実は完成されたものがお好きなのだということです。

たとえばルイ・ヴィトンのバッグを川久保さんがデザインした際には、穴をくりぬいたりもするけれど、基本の形をリスペクトしたうえで、全く新しいものにしている。

自分もライターとして、いつも新しいテーマを世に問いたい。それにはエネルギーが必要です。加えて、出した本や僕の文章が掲載された雑誌を買ってくれる人がいないとフリーとして生活できない。つまり、僕も新しいものを出すこととビジネスを両立させないといけないのです。そういう意味でも、川久保さんから影響を受けています。

コロナ禍になって、ファッション産業は大変な状況ですが、こういう時代だからこそ、コムデギャルソンの服には着る価値があるのではないかと、僕は思う。「不要不急」という言葉をよく耳にするようになりました。でも、だからといって、そうしたクリエーションを生み出す人々や会社が、世の中から消え去ってしまっていいのかといえば、それは絶対に違う。

モードは常に新しいものを生み出してきた、社会の活性剤。そうした存在によってファッション業界全体の底が押し上げられてきたし、社会にも刺激を与えてきたのです。川久保さんは、常にモードの最先端に立ってきました。

自分のアイデアの完全に外の世界からやってくる服、それでも素敵な服がギャルソンです。着こなせるようになりたい、そして、“着負け”ないよう着こなしたいと思っています。変な仕事を続けていたら、服に負けてしまうと思う。それもコムデギャルソンを選ぶ理由ですね。

これは、僕が仕事をする際、取材対象にいいようにコントロールされないぞ、という姿勢にもつながります。もちろん、取材対象をいいようにコントロールするのも違う。対象をフェアに描く、それが僕の姿勢です。こういう個性の強い服は、着ることによって自分の精神的なスタイルまで考えさせられます。

もちろん値段が値段ですから、かつての僕のように、実際に見て「いつか買えるようになりたい」と思う人もいるでしょう。それでもいいですよね。僕はそれをモチベーションの一つにして仕事を頑張ることができたのです。
(聞き手 編集委員・後藤洋平)

石戸諭
いしど・さとる 1984年生まれ。毎日新聞、バズフィードジャパンの記者を経てフリー。著書『ルポ 百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地』のほか、様々な雑誌への寄稿、テレビ出演などの活動を続ける。

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