初夏のニューヨークに、うれしい明るさ。ビーチにプール、そして美術館!

ニューヨーク在住5年目の、久保純子さん。新型コロナウイルスで世界がめまぐるしく変化する中での、ニューヨーク生活。家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。
2016年に、夫の転勤にともなって家族4人で引っ越してからはや5年。振り返ると、日本とはまったく事情が違うアパート探しに始まって、学校選び、劇的な大統領選挙、めくるめくエンターテインメントの世界まで、出会うものすべてが「初めまして」で、驚きと発見の連続だった。一筋縄ではいかないこともいっぱいあったけれど、それでもニューヨークは日々、輝きを放ち、常に新しい表情をのぞかせ、魅了し続けてくれている。そんな毎日のうつろいをつづらせて頂ければ、と。徒然なるままに。
お出かけ日和が戻ってきたニューヨークから
6月に入り、ニューヨーク(NY)は一気に初夏の陽気に。気温も連日20度を超えて、お出かけ日和だ。昨年の今頃は、コロナ禍で戦々恐々。NY市民の4人に1人が感染していた状況があり、出かけるのは週1回の買い出しのみ。出かける時はビニール手袋、帽子、メガネといった完全装備で、帰宅したらすぐに衣服を全て洗濯機に放り込み、シャワーへ直行。購入した品々を一つ一つ除菌するなど感染予防に必死だったことを考えると、今、普通に出掛けられるようになったことがただただうれしく、ありがたい限りである。
現在のNY州では、ワクチン接種1回目を終えた18歳以上の成人の割合はもうすぐ7割だそう。5月中旬からは12歳から15歳への接種も許可されて、ワクチンの広がりとともに、街に明るさが戻ってきている。人数制限されていたレストランの室内飲食も、美術館も、ようやく元通りに。ビーチやプールも解禁となり、夏本番に向けて「失われた時間を取り戻そう!」と人々の動きが目まぐるしくなってきた。国内外からの旅行者への渡航規制も緩和されて、観光客の姿も増えている。
長らくの「巣ごもり生活」で、どこか心にぽっかりと穴が開いてしまったような日々。小学生の頃から好奇心の塊で、あだ名は「ハッスルばあさん」だった私。NYに移り住んでからというもの、そのハッスル度合いに磨きがかかり、マンハッタンの移民のルーツをたどるツアーや地下鉄の裏側を探るツアーに参加したり、バレエを習ってみたり、美術館のワークショップを受けたり、とアンテナを張りっぱなしにしていただけに、まったくインプットがなかったこの1年はどこか空虚さを感じていた。その渦中でなんといっても焦がれていたのが、アートとの触れ合い。早速、再開した美術館の展覧会めぐりをすることに。
この度訪れたのは、マンハッタンの中心・グランドセントラル駅から鉄道で北へ20分、ブロンクスにある「ニューヨーク植物園」。四季折々の植物を観賞できるだけでなく、秋はハロウィーンのパンプキンの飾り付け、クリスマスにはNYの名所のレプリカが飾られた華やかな展示が風物詩で、1年を通して市民の憩いの場になっている。

現在開催されているのは、草間彌生さんの『KUSAMA: Cosmic Nature』展。2年前にマンハッタン南西部・チェルシーのギャラリーで展覧会が開かれた際には、2時間待ちの長蛇の列ができたNYでも大人気のアーティストで、今回はパンデミックで1年延期になった上、屋外の大規模な空間を使っての巨大オブジェや92歳の草間さんが手掛けた初お披露目の作品も展示されるとあって、始まる前から話題沸騰。ニューヨーカーが今か今かと待ちわびていた。1カ月先の予約が取れて、いざ植物園へ。

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草間さんの日本の京都での展示会は見に行きました。独特の形と色彩ですぐにそれとわかる作品ばかりです。日本の各地にも作品はありますがとても目立ちますがニューヨークだと自然に鎮座している感じですね。環境によって作品の見え方も変わりますね。とても参考になりました。ニューヨークも日々活気が戻ってきているのを感じます。気を付けながらも楽しんでくださいね。