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煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

世界各地を旅してきた旅行作家・下川裕治さんが、アジアの旅先で味わったものを自宅で再現するシリーズ。今回からはビールにあうおつまみです。下川さんと写真家の中田浩資さんがそれぞれ、台湾の煮込み料理「ルーウェイ」をつくります。

■本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと、相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

アジア旅で知った絶品ビールおつまみ・台湾のルーウェイ

夏が近づいていることを、太平洋高気圧の位置が教えてくれる。日本が東南アジアのような熱い空気に包まれる季節はもうまもなく。&Travelの旅はアジアに出向くことが多い。暑かった一日。夕暮れどきのビールに手がのびる。そこで出てきたアジアンチックなビールおつまみ。

それを家で再現できたら……。

コロナ禍の緊急事態宣言が続く。家でビールを飲みながら、アジアの夕暮れを思い出せれば……。

1回目は台湾のルーウェイ。滷味と書く。煮込んだ味という意味だとか。台湾に行ったことがある人もピンとこない料理かもしれない。漢字も見慣れない。でも、つくってみてください。そのにおいにきっと反応するはず。台湾の食堂や商店街、路地裏に漂っていたにおい。それがルーウェイです。きっと意識は台湾に飛んでいく?

ルーウェイは、八角、ウイキョウ、クローブ、シナモン、花椒(かしょう)などの香辛料が入っただしで、肉、練り物、野菜、麺などを煮込んだ料理。「台湾おでん」とも呼ばれる。

短編動画

ルーウェイへの思い、そして中田浩資カメラマンのつくったルーウェイのレシピ、そして試食をまとめている。僕は中田カメラマンのレシピにほぼ忠実に倣ってつくった。その結果は満足なもの。僕の腕でもしっかりルーウェイをつくることができた。貴重な動画です。

台湾のビール、そしてルーウェイのつくり方 「旅のフォト物語」

Scene01

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

ここは台北の師大夜市のルーウェイ屋台。客は好みの食材をざるにとって渡すと、うまくルーウェイ味に煮込んでくれる。どんな料理? それは次の写真で。しかし夜市には重大な欠点がある。ビールがないことが多いのだ。ルーウェイはビールにあう煮込み料理なのに。さて、どうする?(2011年)

Scene02

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

これが夜市のルーウェイです。で、ビールがほしい。屋台にはないから近くのコンビニへ。しかし屋台のテーブルは回転が早いので、ゆっくりビールは難しい。そこでルーウェイをビニール袋に入れてもらい、歩き飲み。落ち着かない? その先の選択肢はふたつ。しっかりビールなら次のscene03へ。ルーウェイにこだわりたい人はscene08へ。(2011年)

Scene03

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

台湾のビール好きは海鮮料理屋に集まる。台北の長安東路一段には「100元海鮮」と呼ばれる店が並ぶ。100元……約400円の料理はごくわずかだが。まあ、そのあたりはビールに免じて。この種の店は、客が大型冷蔵庫から勝手にビールをとり出すスタイル。空き瓶はテーブル上か下に放置する。精算時に店員がしっかり本数を数えます。(2015年)

Scene04

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

海鮮料理店にはときおり、ビール会社のキャンペーンガール(中央)。台湾も台湾ビール、ハイネケン、タイガーなど競争が激しい。最近は日本のビールも頑張っている。彼女らは、ビールの減り具合を鋭くチェックしていて、残り少なくなると、営業スマイルと一緒にテーブルに。わかっていながらまた頼んでしまう。進歩がないと反省する台北の夜。(2015年)

Scene05

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

長安東路一段の「100元海鮮」の一軒『33區熱炒生猛海鮮』はご飯が無料。ビール同様、客は勝手にご飯を盛ってOK。つけだれもセルフサービス。気楽です。この店は日本語メニューもあり、日本人ビジネス客が多い。ビールを飲んでいると、日本の居酒屋にいるような錯覚に陥るほど。(2015年)

Scene06

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

日本からの飛行機が台北に着いたのが夕方。そこから台北駅に出て、太平洋岸の蘇澳(スーアオ)に向かったときのひとコマ。気分はすっかり列車旅。台北駅で缶ビールを買って乗り込んだのですが……。車両は通勤・通学用のロングシート。台湾の人はこういう電車ではビールなんて飲みません。ごめんなさい、と小声でつぶやいてひと口。またしても反省の台湾旅。(2010年)

Scene07

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

台湾のビールも年とともに味やラベルが変わってきた。最近ではパイナップル味やマンゴー味のフルーツビールも増えてきた。しかし昔から台湾のビールを飲んできたおじさんにしたら、やはりこの缶の台湾ビール。平渓線の終着駅、菁桐(ジントン)の雑貨屋のような食堂。台湾ですなぁ、とひとりごちる。(2013年)

Scene08

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

台湾のビールで寄り道してしまいました。ルーウェイをおつまみにゆっくりビールといったらギョーザ屋へ。なぜか台湾では、ルーウェイのあるギョーザ屋が多いのです。店に入ったら、ギョーザを頼む前にルーウェイを注文。ギョーザを待ちながら、ビールとルーウェイというのが台湾スタイル。僕はこの飲み方にはまっています。(2013年)

<ルーウェイの再現料理はここから>
Scene09

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

前日からの下準備は豆腐の水切り。ルーウェイで使う豆腐は、しっかり水が抜けていたほうが美味。ボウルの上に「ふるい」を入れ、その上にキッチンペーパーで包んだ木綿豆腐を載せ、その上から陶器の器の重しを置いた。水はボウルの底にたまる仕組み。この状態で冷蔵庫に入れ、ひと晩。

Scene10

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

これがルーウェイで煮込む材料。水を切った豆腐、昆布、うずら卵の水煮、手羽先、下ゆでしたブロッコリー。ほかに台湾では甜不辣(ティエンプラー)を使う。これは天ぷらの発音に近いが、日本風にいうとさつま揚げ。手に入らないので代用としてかまぼことはんぺんを使った。

Scene11

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

つくり方はネットのレシピのほか、日本に住む台湾人からのアドバイスも受けた。そのひとつがコーラ。これを入れて煮ると、味に深みが出るという。ホント? 半信半疑で湯1リットルのなかにコーラを注ぐ。しかしどのくらい入れたらいいのかわからない。結局、350ミリリットル、ペットボトル1本をまるまる入れた。多すぎ?

Scene12

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

そこにネギ1本、しょうがスライス5枚、にんにく3片を入れ、砂糖大さじ1、酒大さじ3、醬油(しょうゆ)120ミリリットルを入れて煮込む。ネギがしんなりしてきたとき、スープを味見。「おや?」。コーラの味はまったくしない。なんとなくいい感じ。コーラの1本入れ、成功かも。その間に豆腐を切っておく。サイズは動画を参照のこと。

Scene13

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

以前、僕は台北のスーパーで滷味包というルーウェイの香辛料セットを買い、日本にもち帰ってつくった経験があった。しかし滷味包が日本では手に入らない。そこで八角と五香粉をネットでとり寄せた。五香粉は日本のメーカーもつくっていた。入っている香辛料は、八角、花椒、ウイキョウ、シナモン、陳皮。八角の増量は、台湾人からのアドバイス。

Scene14

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

八角1片と五香粉大さじ1を入れ、ブロッコリー以外の食材を投入した。ふたをして、弱火で煮込むこと40分。こんなに楽しい煮込み時間はなかった。滷味包でつくったときもそうだったが、キッチンにルーウェイのにおいが漂うのだ。台湾の路地裏とか飲食街の細い道を歩いている気分に浸ることができる。ルーウェイは台湾のにおい……そのもの。

Scene15

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

じっくり煮込み、最後に湯通ししておいたブロッコリーを入れて冷ました。台湾では常温のルーウェイが出されることが多い。滷味包がなければ難しいかと思っていたが、八角と五香粉……そしてコーラでほぼ完璧なルーウェイが再現できた。脇のビールは中田カメラマンの家にたまたまあった台湾ビールです。

※再現してみた日:5月26日

【次号予告】次回は新疆ウイグル自治区のケバブを家でつくってみる。

煮込めば気持ちは台湾へ 家でつくるアジアのおつまみ「ルーウェイ」

2019年に連載された台湾の秘境温泉の旅が本になりました。

台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)

温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。

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