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永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶
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(114) 無性に写真に収めたい店 永瀬正敏が撮ったイラン

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は、イランでの映画ロケ中に、撮影現場へ向かう車の中からの一枚。無性に撮りたかった店だそうです。

(114)  無性に写真に収めたい店 永瀬正敏が撮ったイラン
©Masatoshi Nagase

自然の光と人工の光がまだ混在している刻(とき)。
僕が乗った移動車は、イラン・テヘラン郊外の撮影現場へひたすら走っていた。

窓の外の景色が移ろい、さっきまで当たり前のようにあったビル群は、徐々に閑散としてきた。

その時この小さな店に出あった。

まだ日が昇ったばかりで一人の客もいない、黄色い砂に辺り一面囲まれ、
ポツンとたたずむその店を、なぜだか無性に写真に収めたかった。

この写真は移動車の中から撮影したもの。
味のある店を見つけて、通り過ぎるその一瞬で切り取った写真だ。
よく見ていただくと、かすかに写る遠くの風景は、車の速度のため流れている。

撮影に向かう車内では、いくら撮影したいポイントが目の前に現れても、
スピードを落として、もしくは停車してとは、なかなか言いづらい。
以前台湾でのエピソードを紹介したが、あれは完全な移動日だったり、
休みの日にお願いして車を出してもらったりして撮影したものだ。

撮影現場に向かう慌ただしい時間……。
しかし、そういう時に限って、なぜかいい場面に遭遇したりする。
その機会はもう二度と訪れない。
なので、毎回懲りずにチャレンジしてみるのだ。
結果は、ほぼほぼ惨敗なのだけれど……。

あとで確認した写真たちは、案の定惨敗だらけだった。
これはその中の一枚。
厳密に言えば、ピントは甘い。
でもその時撮影したかった僕の中の何かは、写り込んでいる気がする。

そして、惨敗だらけの写真を見ながら、
僕はあの日のことを、また思い出していた……。(次回へ続く)

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