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緑のテラスでカレーと読書 代官山の秘密基地「Spice & Cafe FamFam」

東急東横線代官山駅から徒歩6分、JR渋谷駅新南口から徒歩7分と、どちらの駅からも少し歩く場所にある「Spice & Cafe FamFam」。代官山のメインストリートである八幡通りから一本路地に入ると、築40年以上のオフィスビルをフルリノベーションした建物があり、ここの2階に店を構えている。

「駅から少し離れているので、“秘密基地”って僕たちは呼んでます。あまり秘密すぎてお客さんに知られないのも困りますが……」

そう笑って話すのは、店長の皆川拓治さん(40)。店がオープンしたのは2019年3月だが、皆川さんが店長に就任したのは今年3月のこと。ワーキングホリデーで滞在していたオーストラリアをはじめ、新宿や中目黒などで十数年飲食業界に関わってきた。同店の母体は、年間200件以上もの運動会を企画、運営、プロデュースする運動会屋という会社で、代表取締役の米司(よねじ)隆明さん(40)がインドでスパイスの虜(とりこ)になったことが、店の誕生に結びついたという。

「私たちは日本の文化である運動会を海外でも開催していて、インドで運動会を紹介している時に、いつしかスパイスの虜になりました。個性的で色彩に富んだスパイスを混ぜると、未知なる世界が広がるカレーと、個々が力を合わせてゴールを目指す運動会は世界観が重なる! と思ったのでこの店を作りました」(米司さん)

緑のテラスでカレーと読書 代官山の秘密基地「Spice & Cafe FamFam」

広々とした店内は、打ち合わせにも活用できるホール席、テラスに面したソファ席、木々の緑が間近に迫るテラス席に加え、最近新たに設けたアウトドア感あふれるキャンプ席と、場所ごとに異なる個性を持たせている。ホール席の壁面には本棚があり、約200冊の本や雑誌、絵本などが並んでいる。

「お店のコンセプトが、“成長・刺激・繋(つな)がり”なので、これらをテーマに前任の店長やスタッフのおすすめ本を集めた本棚を設置しました」(米司さん)

皆川さんが初めてこの本棚を見た時、「趣味が似てる!」と思ったという。皆川さんがよく読む哲学系の本が何冊もあり、自宅の本棚に通じるものがあると感じたからだ。

「『動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話』や哲学者の名言集とか、僕の持っている本があったのでびっくりしました! 前の店長さんとはお会いしたことないけど、もしかしたら話が合うかも」

哲学系を筆頭に、スパイスにまつわるものなどの食関係、写真などのアート系、雑誌、絵本などの本が揃(そろ)っている。昨年の緊急事態宣言中は、客が持参した本と店内の未使用食器や調理器具を物々交換するイベントを実施し、蔵書のバリエーションも広がったという。

緑のテラスでカレーと読書 代官山の秘密基地「Spice & Cafe FamFam」

「今の季節はテラス席や窓側のソファ席が人気で、奥まったところにある本棚に気づく人が少なくて、活用できていないのが正直なところ。僕も本が好きですし、これからここをもっと充実させて、お客さんに手にとってもらえるように工夫したいと思っています」(皆川さん)

想像力を刺激するカレー

新たに店長に就任した皆川さんのミッションは、売り上げの向上だった。初めてこの店を訪れた時、「これならいける」と手応えを感じたという。

「駅から少し離れてはいますが、空間はおしゃれだし、キッチンの設備も良かったし、やり方次第で上向きにできると思いました」

1人で何役もこなさなければ回らないような小さなバーやカフェなどで経験を積んできた皆川さんは、料理もお手の物。まずは店のコンセプトに密接に関わるカレーメニューの考案に着手した。

「料理は想像力!  まずは頭の中で食材や味の組み合わせを考えます。これならいけそうと思ったら実際に作ってみます。『豚肉と食べるラー油のカレー』や『とろとろ豚肉とオクラのアメリカ南部風カレー』など5種類をメニューに加えました。売れてほしいというよりは、お客さんが『どんな味だろう?』と想像したり、選ぶ楽しさを味わってくれたりすることを願っています」

緑のテラスでカレーと読書 代官山の秘密基地「Spice & Cafe FamFam」

以前からの人気メニューである「チキンとキーマのあいがけカレー」をはじめとした同店のカレーの特徴は、スパイスの豊かな風味と、見た目の美しさ。野菜や総菜などが添えられており、SNSに投稿する人が多いのも納得の仕上がりだ。

新メニュー以外にも、楽しく仕事できる環境づくりや店に流す音楽の選曲など、目に見えない部分での改善にも力を入れているという。

「カフェは料理も大切ですが、それよりもスタッフの接客力や笑顔、スタッフと会話が楽しめる方が大事だと思っています。お客さんに『あの面白い店員さんに会いたいからお店に行こう』って思ってもらえるようになったら最高です」

「SNSにアップして終わり」にしたくない

長引く新型コロナウイルスの影響で、アルコールの提供中止や営業時間の短縮などを余儀なくされているが、ここはランチタイムを中心とした日中の営業が中心なので、あまり影響を受けておらず、むしろ皆川さんが店長に就任する前より好調とのこと。特に土日は客を待たせてしまうことも少なくないという。

緑のテラスでカレーと読書 代官山の秘密基地「Spice & Cafe FamFam」

「テラス席で昼から冷えたビールを飲んでほしい!というのが僕の本音。お客さんが楽しくしている様子を見ているとこちらもうれしくなります。カレーを撮ってSNSにアップして終わり、じゃなくてスタッフの人柄や店の居心地の良さでリピートしてくれるお客さんをもっと増やしたいです」

FamFamという店の名前の由来は、「firm(強固な、ゆるがない)」と、「family(家族、仲間)」からきている。コロナ禍で人と人の絆を実感できる機会が減りがちな中、スパイスの利いたカレー、笑顔のスタッフによる接客、ほっとくつろげる空間が訪れる人たちを癒やしてくれている。

緑のテラスでカレーと読書 代官山の秘密基地「Spice & Cafe FamFam」
店長の皆川拓治さん(右)とスタッフの一色梨衣さん

大切な一冊

『愛の研究』(著/ひろ さちや)
仏教、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教などの宗教は“愛”をどう定義、解釈し、どのように説いているのか?  具体的な事例や経典の引用を交えつつ、わかりやすく解説している。また、現代社会のさまざまな問題をからめつつ、“愛”について多方面から考察。

緑のテラスでカレーと読書 代官山の秘密基地「Spice & Cafe FamFam」

「これはすごく前に読んで、今も手元に置いてある一冊です。いま、愛という言葉はコンビニ感覚のように簡単に使われていますが、愛の定義って実は難しい。人によって違えば、国によっても違う。恋愛だけじゃなくて、家族愛、兄弟愛、地域愛など対象もさまざま。この本で説く愛はちょっと手厳しく、難しくて、重たい。宗教による愛の違いも、とても興味深いです。タイトルを見ると恋愛本に見えるかもしれないけど、とても奥深くて、ぜひいろんな人に読んでほしいと思える本です」

フォトギャラリーへ(下の写真をクリックすると、くわしくご覧いただけます)

「Spice & Cafe FamFam」
東京都渋谷区代官山町9-10 SodaCCoビル 2T01
https://www.fam2.jp/

「book cafe」紹介店舗マップ(店舗情報は記事公開時のものです)

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