&Travel

城旅へようこそ
連載をフォローする

戦国時代と江戸時代 異なる時代の姿が共存 鳥取城(1)

鳥取城は山上と山麓(さんろく)、二つの姿の城がある

日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載「城旅へようこそ」。今回は鳥取市の鳥取城。山上にある戦国時代の城と、山麓(さんろく)にある江戸時代の城が共存する、珍しい城です。

【動画】鳥取城を訪ねて

秀吉の城攻め“渇え殺し”の舞台

これほど明瞭(めいりょう)に、戦国時代の姿と江戸時代の姿が共存する城は珍しい。鳥取県庁の北側、久松(きゅうしょう)公園の一帯にあった鳥取城だ。戦国時代から江戸時代の姿へ、城の移り変わりを追うことができる。

鳥取城は、豊臣(羽柴)秀吉の三大城攻めのひとつ“渇(かつ)え殺し”の舞台として知られる。1581(天正9)年、信長の命令を受けた秀吉は、大軍を率いて吉川(きっかわ)経家や城兵ら約3400人がこもる鳥取城を包囲。鳥取城への援軍や兵糧の搬入を断ち、飢餓状態に追い込む兵糧攻めで開城させた。城内が餓死者の山と化す、戦国史上もっとも悲惨な籠城(ろうじょう)戦といわれている。

山麓一帯には石垣や水堀が残るが、これらは籠城時の鳥取城の名残ではない。経家が籠城した戦国時代の鳥取城の中心は、久松公園内にそびえる標高263メートルの久松山の山頂にあった。山麓の石垣や水堀は、江戸時代の鳥取城の片鱗(へんりん)だ。

城は情勢の変化や技術の進化にともない、姿や規模が変わっていく。攻め落とされたり使われなくなった城は淘汰されたが、重要な城は継続して使われ、城主交代など転換期に改修された。立地に恵まれた鳥取城は籠城戦の後も存続し、時代が変わっても改修されながら領国の中心地であり続けたのだ。さまざまな時代の顔が残り、一つの城に息づくドラマを見ることができる。

山上と山麓、両方に石垣が残る
山上と山麓、両方に石垣が残る

山上から山麓へ 三つの時代の姿

鳥取城には、大きく三つの時代の姿がある。一つは、籠城戦の舞台となった戦国時代の鳥取城だ。久松山の山頂にあり、石垣のない土づくりの山城だった。

二つめは、籠城戦後に改変された姿だ。秀吉の家臣・宮部継潤(けいじゅん)が城主となると、鳥取城は石垣を用いた近世的な山城へと改修された。1600年の関ケ原の戦い後には徳川家康の家臣・池田長吉が城主となり、引き続き山上の鳥取城を改修した。

宮部継潤や池田長吉は山上の城を改修する一方で、山上から山麓へと城の中心を移し石垣や櫓(やぐら)を築造したようだ。こうして、山麓にも新たな鳥取城が誕生した。

山上に残る石垣
山上に残る石垣
山下の丸に残る、宮部時代のものとみられる石垣
山下ノ丸に残る、宮部時代のものとみられる石垣

そして三つめが、1615(慶長20)年の大坂夏の陣で豊臣家が滅亡してから、池田光政が大改修した姿だ。

1617(元和3)年、姫路藩主の池田光政が因幡・伯耆(ほうき)32万石で転封となり、因幡と伯耆は統合され鳥取藩が誕生。それまでの鳥取城は5〜6万石程度の規模だったため、大藩にふさわしい城へと大改修された。移転も検討されたが、鳥取城を拡張する形がとられた。城下町も、このとき大幅に整備されている。

出雲の堀尾忠氏が月山富田城(がっさんとだじょう、島根県安来市)を廃して新たに松江城(松江市)を築いたように、関ケ原の戦い後は、山城を廃して新たな場所に城を新築するケースが多い。ところが光政は城地を移転せず、戦国時代の鳥取城を機能させながら、その景観も生かしつつ山麓に新時代の鳥取城を築いていったようだ。

山下の丸に残る石垣
山下ノ丸に残る石垣
山下の丸、二の丸
山下ノ丸にある、二ノ丸

1632(寛永9)年、光政の叔父である岡山藩主の池田忠雄が没すると、岡山藩主と鳥取藩主は入れ替わった。忠雄の跡を継いだ光仲が幼少だったことから、光政が岡山藩主となり、光仲が鳥取藩主となったのだ。この国替えにより光仲を藩祖とする鳥取池田家が成立し、以後、鳥取城は鳥取池田家の城として改修されながら明治維新まで機能した。

内堀
内堀

古絵図を見ると、鳥取城が江戸時代を通じて少しずつ様変わりしたようすがわかる。1619(元和5)年には二ノ丸の三階櫓など主要部が完成。その後、御殿などの敷地が増改築され、内堀の内側に置かれていた侍屋敷が徐々に内堀の外側へ移転して行ったようだ。改修は幕末まで行われたようで、三ノ丸は幕末に拡張されている。

NEXT PAGE城のシンボル、二ノ丸の三階櫓

REACTION

LIKE
COMMENT
0
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら