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花のない花屋
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看護師の私が、がんになって。真っ暗なトンネルの先に待っていたもの

読者のみなさまから寄せられたエピソードの中から、毎週ひとつの「物語」を、フラワーアーティストの東信さんが花束で表現する連載です。
新型コロナウイルスで大きな影響を受けた花の生産者を支援している全国農業協同組合連合会(全農)に、その活動の一環として連載にご協力いただいています。
あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら

〈依頼人プロフィール〉
倉橋祥子さん(仮名) 41歳 女性
看護師
大阪在住

    ◇

「がんです」

1年前、40歳のときに婦人科の診察室でそう告げられ、大パニックになりました。自分の身に降りかかった、突然のがん告知。看護師という職業柄、がん患者さんをたくさんみてきましたが、この告知の日からは真っ暗なトンネルに入った感じがして、手術までの1カ月半の記憶はほとんどありません。

18歳、15歳、14歳というちょうど思春期の3人の娘たちを、シングルマザーとして育ててきました。がん宣告の数カ月前からはお付き合いしていたパートナーがいましたが、告知の後に泣き叫びながら「別れてほしい」と告げました。年下の彼に、弱っている自分を見せたくない。おなかに大きな傷ができることも、抗がん剤で髪の毛が抜けることも、全部ひとりで乗り越えようと思いました。

「私の気持ちの何がわかるの?」

彼には、八つ当たりをたくさんしましたが、どんなときでも「そばにいるよ」と言ってくれました。その言葉の通り、逃げ出すことなく私の苦しみに寄り添ってくれた彼。抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けたときも、いつもの調子で「また生えてくるから大丈夫」と私を励まし、「いま一番しんどいのはあなたやから」と、やさしく受け入れてくれました。

3姉妹は、同居する私の母とともに千羽鶴をこっそり折ってくれ、手術直前に贈ってくれました。まだ母親にそばにいてほしい年齢でもある三女はさびしくても一切弱音を吐かず、陽気な次女は抗がん剤でごっそり抜けた私の髪をひげにしてダンスを踊り、ショックであふれそうになっていた私の涙を笑い涙へと変えてくれました。天然系ののんびりした長女は、混乱する私に「私たちは大丈夫だよ」と言わんばかり、いつも通り接してくれたことにも感謝しています。

「キャンサーズギフト」。医療現場でも聞くことがある、がんが与えてくれる、思いがけない贈り物のことです。これまで仕事場では患者さんへ、家庭では家族へ、人にしてあげることばかりを考えて生きてきました。でも、がんをきっかけに、人からしてもらうことの幸せを知りました。

「自分の弱いところを見せてもいいんや……」

安心して自分の気持ちをさらけだしていいと知ったのは、娘たちとパートナーのおかげです。3姉妹はそろってこう言います 、「彼との出会いも、がんからの贈り物やね」と。 大切な4人へ、感謝の気持ちとともに、お花を贈っていただけませんでしょうか?

看護師の私が、がんになって。真っ暗なトンネルの先に待っていたもの
≪花材≫多肉植物、ハラン、[イエロー]トリトマ、ルピナス、バラ、リモニウム、[ブルー]リンドウ、デルフィニウム、[レッド]ケイトウ、ガーベラ、バラ、[グリーン]ヒペリカム、セダム、グリーンベル、ベニバナ、ブプレリウム、スカビオサ

花束をつくった東さんのコメント

闘病を支えてくれた3人のお子さんとパートナーの彼、4人への感謝をイメージして、4色のアレンジメントを作りました。

イエロー、ブルー、レッド、グリーン……。色もそして形も、それぞれ違う個性を持った花たちが調和して、パワーアップした別の個性を作りあげています。1+1+1+1は4ではなく、5にも10にもなるのです。

どの色がご自分なのか、4人のおしゃべりが弾めばうれしいです。そして、4色の花たちに囲まれた真ん中には、多肉植物を置きました。このアレンジのように、みんなで力を合わせて、前に進んでいっていただければ。そんな願いを込めています。

看護師の私が、がんになって。真っ暗なトンネルの先に待っていたもの
看護師の私が、がんになって。真っ暗なトンネルの先に待っていたもの
看護師の私が、がんになって。真っ暗なトンネルの先に待っていたもの
看護師の私が、がんになって。真っ暗なトンネルの先に待っていたもの

(文・福光恵 写真・椎木俊介)

読者のみなさまから「物語」を募集しています。

こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。

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