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AERA STYLE MAGAZINE WEB編集長に聞く、次代を担うビジネスパーソンの身だしなみ

多くのビジネスパーソンが公私ともに人生の大きな転機を迎える、30歳前後。内面はもちろん、身だしなみの整え方も年齢に合わせてアップグレードしていきたいものですよね。

「スーツはどう選んだらいい?」、「こだわるべきビジネスアイテムは?」、「夏に買い足すなら何がおすすめ?」。男性のファッションに詳しい、AERA STYLE MAGAZINE WEB編集長の山本晃弘さんにお話を伺いました。

身だしなみの基本は「5W1H」 シチュエーションを考えればうまくいく

30歳前後は、昇進、結婚、子育てと、ライフステージが変わるタイミング。年齢や立場にふさわしい身だしなみをと考えたとき、私たちはどこから手をつけたらいいのでしょうか。山本編集長は、「一番の基本は、ジャストサイズのスーツを着ること」だと言います。

「たとえば、仕事相手が大きすぎるスーツを着ていたらどう思いますか? だらしない印象を受けませんか? 実際に仕事ができるかできないかではなく、できなそう、と思われた時点で損をしていることが問題です。ビジネスウエアの着こなしは、自分が相手にどう見られたいかを軸に、シチュエーションに合わせて整えるべきもの。クールビズの浸透やリモートワークの影響でビジネススタイルのカジュアル化が進んだ昨今は、確かに、共地のスーツにワイシャツ、ネクタイ姿のビジネスパーソンは減りました。ただ、仕事をする以上、いかにもなスーツ姿ではなくとも、サイズ感を含めて、ビジネスウエアと呼ぶにふさわしいスタイルを心がけることは大切です」

山本編集長によれば、身だしなみの基本は5W1H。「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)。その日起こりうるシチュエーションを想定できれば、おのずと選ぶべきアイテムはわかってくるはずです。例えば、真夏でもきっちりとした印象を商談相手に与えたいなら涼しげに見えるシアサッカー素材のジャケットを、会議で提案を通したいなら誠実に見えるネイビーのスーツを選ぶ……といった具合に。装いは、自分がどういう仕事ぶりの人間であるかを伝えるための重要なツールです。ファッションというツールを『ビジネスに関係ない』と考えてしまうのは、PCやスマホといったツールを使わずに仕事に向かっているようなものです」

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迷ったら百貨店へ 店員をパーソナルスタイリストに

最良の一着を選ぶなら、「百貨店に行きましょう。百貨店にはあらゆる価格帯、テイスト、シルエットの服が一通りそろっていますから、好みのものを見つけるにはうってつけです。広く見た上で、お気に入りの店、相談しやすいスタッフに出合えたら、長く通うようにするといいですね。どういう仕事をしているのか、そして、これまで購入した全ての商品を把握してくれているスタッフというのは、心強い味方です。『昨年購入されたジャケットに、今年のこのニットは似合うと思います』といった、パーソナルスタイリストのようなアドバイスもしてくれます。ちなみに、自分ではジャストサイズのつもりでも、大きすぎるスーツを着ているビジネスパーソンはとても多い。お店の人の客観的な意見はとても参考になりますよ」
近頃はオーダースーツも人気を博しているそうで、「これまでは高くて時間もかかるイメージでしたが、今ではカシヤマ ザ・スマートテーラー、麻布テーラー、STORY & THE STUDY、Global Styleなどで3~6万円といった価格帯でもオーダーが可能。わずか1~3週間という短期間で作れるようになりました。そういったところで、ジャストサイズのスーツをあつらえるのもいいと思います」

絶対に選んだ理由を聞かれるアイテム それが腕時計

「スーツが決まったら、次に考えるのはカバン、靴、ベルトといったレザーアイテムです」と、山本編集長。「レザーアイテムは、色をそろえるのが基本。使う頻度は黒が8割、茶が2割ほどの方が多いと思うので、まずは黒からそろえてみるといいのではないでしょうか」

シチュエーションが許せば、トートバッグもリュックサックも、スニーカーも「アリ」だと言います。「ただし、大きな契約の交渉をするミーティングで、重要書類を中身がゴチャゴチャしたトートバッグから出すのはダメですよね。そういった場面では、ブリーフ=書類の名が示す通り、ブリーフケースが正解です。30歳前後ともなれば、仕事も自分の裁量でできる年代。その日どんな仕事をするのかはわかっているはずなので、逆算して身だしなみを考えるようにしましょう」

数あるビジネスアイテムの中でも、山本編集長が特別だと考えているのは「腕時計」。「なぜそのブランドの腕時計なのか、理由を尋ねられた経験がある人も多いでしょう。選んだ理由が自分のパーソナリティーを表すので、ブランドの姿勢と自分の考えが共鳴するものを買った方がいい。日本人特有のパンクチュアル(時間を守る)な精神を体現しているアイテムでもありますから、よくよく吟味してください」

機械式で三針、ケースは40ミリ前後、メタルブレスレットの時計を一本は持つべき

仮に、「日本のものづくりを応援したいから、日本ブランドの時計がいい」と考えた場合は、候補をどのように絞っていけばよいのでしょうか。

「選ぶ基準の一つとして『どこまで自社で生産しているのかにこだわる』のもいいかもしれません。私は電池がなくなったときのクオーツのように突然止まらない安心感から機械式時計を愛用していますが、機械式時計はマニュファクチュール(自社生産)を売りにしているところが多い。しかし、時計の心臓とも言われるヒゲゼンマイというパーツまで自社で、というのは世界でも数ブランドしかないんですよ。セイコーはそのうちのひとつです」

ブランドが決まったら、次に注目したいのは「視認性」。「長針・短針・秒針がある、三針時計が最も視認性が高くておすすめです。そもそも、なぜ時計をつけるのか。時間を確認するだけなら、スマートフォンでも十分かもしれません。ですが、仕事で契約の話をしているときにチラチラとスマホを見ていたら、相手にとって気持ちのいいものではないですよね。その点、腕時計はちらりと手元に視線を落とすだけでいい。用途から考えても、視認性は重要視すべきです」

大きくて目立つ“デカ厚”と称される時計がはやった時代もあったものの、「時計は人に見せつけるものではなく、自分が見たいときに見えればいいもの。ですから、腕をおろしたときにシャツの袖で半分ぐらい隠れるのが正しいドレスコードです。ケース径は40 mm前後、厚みはない方がいいですね。それくらいが、袖元への収まりも良くて上品です。素材としては、ドレッシーに見えてメンテナンスもしやすいSS(ステンレススチール)がいいと思います。ベルトは黒のレザーを、と言いたいところですけど、日本は高温多湿で季節によってはレザーベルトに汗染みができる場合もあるので、メタルブレスレットがベター。そういった条件を踏まえて、しかも思い立ったときにパッと買える価格レンジで……と考えると、セイコーのプレザージュは30歳前後で持っておくべき条件を満たす腕時計だと言えます」

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セイコー プレザージュ Sharp Edged Series SARX083

夏に向けて買い足したい ウェブ会議でも映えるアイテム

夏を前にアイテムを買い足すとしたら、山本編集長が推したいのは「スタンドカラーシャツ」。「今日私も着用していますが、ネクタイがなくても様になり、“エフォートレス”や“コンフォタブル”といった新しい仕事着のトレンドにも沿っています。ただし、暑かろうとウェブ会議だろうと、ジャケットは絶対に着た方がいいです。服飾の歴史をさかのぼると、シャツって元は下着だったんですよ。下着で仕事をしますか? しませんよね。だからジャケットは必須なんです。ホテルやゴルフのクラブハウスでジャケット着用を求められるのも、同じ理由です」

ジャケットの下に合わせるのは、「シチュエーションに合ってさえいれば」、Tシャツでもポロシャツでもいいと言います。「Tシャツは白だと下着のように見えてしまう場合もあるので、色が濃い無地のものを選びましょう。ネイビーのTシャツにネイビーのジャケットを羽織れば、トーンオントーンできれいに見えます。ポロシャツならできれば長袖のポロニットを選び、ボタンは上までしっかり留める。Tシャツもポロシャツも、番手の高い細い糸を使っている生地が素材感としてはベストです。さらに、ジャケットの胸ポケットに四角く折った(TVホールド)白いポケットチーフをさせば、フレッシュで清潔感のある印象になりますよ」

AERA STYLE MAGAZINE WEB編集長に聞く、次代を担うビジネスパーソンの身だしなみ
TVホールドでさしたポケットチーフ〈写真提供/アエラスタイルマガジン〉

他には、ウエストでひもをキュッと結んではく「ドローコードパンツ」、かけただけで印象をガラリと変えられる「メガネ」も、買い足すにはお値頃で使い勝手のいいアイテムだとか。「いまはやっているドローコードパンツはウエストにゴムが入っているものもあるので、たとえひもが緩んでもストーンと落ちる心配はありません。ジャケットを着ればウエストのゴムリブも見えないし、ビジネススラックスのような見かけでありながら、とにかく楽で着心地がいい。メガネもいくつか持っておくと、ウェブ会議などで、柔らかく見せたいときと押しを強めに見せたいときに使い分けられて便利ですよ」

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ドローコードパンツ〈写真提供/アエラスタイルマガジン〉

「身だしなみを整えるために必要なのはセンスではなく、ルールを知ること。自分がどう見られたいか、場にふさわしい装いは何か。そこを軸に、時代と共に移りゆくビジネスウエアの進化を楽しんでください」

(文・渡部麻衣子 写真・山田秀隆)

PROFILE
山本晃弘
(やまもと・てるひろ)

AERA STYLE MAGAZINE WEB編集長。1963年生まれ、岡山県出身。「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年から2019年3月まで「AERA STYLE MAGAZINE」編集長を務める。2019年4月より現職。

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