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上間常正 @モード
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手塚マンガ、日本の伝統工芸と現代デザインが出会うブランド「HIRUME」とコラボ

『火の鳥』加賀繍スカジャン ©Tezuka Productions

このところ、海外の高級ファッションブランドと日本のマンガとのコラボレーションが目立つ。ヨーロッパでは比較的早くからマンガがアートだと認められていたようで、この組み合わせ自体は意外というわけではないのだろう。しかし、12世紀の頃の「鳥獣戯画」や江戸時代の「北斎漫画」など長い歴史をもつ日本のマンガは、その高い洗練度ではヨーロッパをはるかにしのいでいた。絵画でいえば、日本の浮世絵の表現が印象派に連なる19世紀のヨーロッパの画家たちに大きな衝撃を与えたのと同じようなもので、日本のマンガは現代性にも富んでいた。ファッションの世界ではそれが21世紀になって起きた、と言ってもよいのではないだろうか。

まあそれはさておき、日本の伝統工芸をベースにしたファッションとジュエリーのブランド「HIRUME(ヒルメ)」と手塚治虫のマンガを管理している手塚プロダクションとのコラボレーションで生まれたアイテムは、とても興味深く感じられた。手塚は20世紀後半の日本のマンガの展開の中で、浮き沈みはあっても深い影響力をもち続けている。そして日本の伝統工芸は、大量生産の安い工業製品に押し流されながらも、物作りの今後の可能性を求めてなんとか生き残っている。その両者の誇るべき伝統同士の組み合わせだからだ。

今回の制作では、『火の鳥』と『ブラック・ジャック』の2作品がコラボアイテムのモチーフに選ばれた。『火の鳥』は手塚が晩年まで描き続けた未完の大作、『ブラック・ジャック』も代表的な人気作の一つで、無免許だが外科手術などに天才的な腕をもつ孤高の医者を描いている。

手塚マンガが、ぜいたくなスカジャンに。日本の伝統工芸ブランド「HIRUME」とコラボ
『火の鳥』加賀繍スカジャン ©Tezuka Productions

コラボアイテムの中でまず目につくのは、再生して羽ばたく火の鳥の姿を繊細な手刺繍(てししゅう)で暗い色の背中地に縫い込んだ、華麗なスカジャン。金糸をぜいたくに使った金沢の伝統刺繍「加賀繍」で、技術力の高い職人が長い時間をかけてしか表現できないクオリティーの高さが感じ取れる。リバーシブルで着られる裏地には、伝統織物「金欄(きんらん)」が使われている。

同じモチーフによるシルクスカーフは、背景に深緋(ふかひ)、躑躅色(つつじいろ)、濃藍(こいあい)など日本の古典的な色が京染めで表現されていて味わい深い。

手塚マンガが、ぜいたくなスカジャンに。日本の伝統工芸ブランド「HIRUME」とコラボ
『火の鳥』シルクスカーフ ©Tezuka Productions

また、ブラック・ジャックのカシミヤストールは、小紋のように小さなブラック・ジャックの姿を配しながら、全体を広げてみると等身大のブラック・ジャックが現れる。落ち着いた色合いを好む人でも使えるように暗いクールな配色でパターンを描いて、京染めで表現したという。

手塚マンガが、ぜいたくなスカジャンに。日本の伝統工芸ブランド「HIRUME」とコラボ
『ブラック・ジャック』カシミヤストール ©Tezuka Productions

ほかに、『火の鳥』『ブラック・ジャック』豆皿は、陶磁器の里・肥前吉田の磁器ブランド「224 porcelain」とのコラボレーション。それぞれのキャラクターを3Dプリンターで立体的に表現していて、火の鳥はパステルカラーの釉薬(ゆうやく)でツヤ感を、ブラック・ジャックはモノトーンでクールな雰囲気を出している。

手塚マンガが、ぜいたくなスカジャンに。日本の伝統工芸ブランド「HIRUME」とコラボ
『火の鳥』豆皿 ©Tezuka Productions
手塚マンガが、ぜいたくなスカジャンに。日本の伝統工芸ブランド「HIRUME」とコラボ
『ブラック・ジャック』豆皿 ©Tezuka Productions

『火の鳥』江戸切り子のグラスは、東京・錦糸町の「廣田硝子(ガラス)」とのコラボ企画。珍しいゴールドイエローの切り子で、火の鳥の羽ばたきの躍動感がある。また『火の鳥』をイメージした香水や、「小さいふ」と名づけられた牛革で手のひらサイズの財布には『鉄腕アトム』のモチーフも使われている。

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