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永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶
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(117) 愛すべきたくさんの日常 永瀬正敏が撮ったイラン

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回はイランの街角で撮ったカットです。撮影したことは覚えていなかったそうですが、永瀬さんのお気に入りの一枚です。その理由は……。

(117) 愛すべきたくさんの日常 永瀬正敏が撮ったイラン
©Masatoshi Nagase

イランの街角。

夜遅くにその場所に集う人々。

その時はただあてもなくレンズを向けた。
光と陰のコントラストに何となくひかれたからだ。

出来上がった写真を見てみると
何気なく撮影した1枚の中に、さまざまな人間模様が映し出されていた。

ほほえみながら雑談する女性たち、店の中で品物を選んでいる人たち、
ただ通り過ぎていく女性と男性、人混みをすり抜けるように手押し車と移動する男性、
暗闇で座りながら電話をかけている男性、マフラーで口元を隠し壁際にたたずんでいる男性、ココナツを切り分け中のジュースを売っている男性……。

1枚の写真の中にたくさんの日常が収まっていた。
その日常が集まっている1枚が、僕はなんだか好きだった。

実は、この写真は、見るまで撮影したことも覚えていなかった。
ほとんどの写真は、どんな時にどういうシチュエーションの中撮影したのかを覚えている。
しかし中には、これいつ撮ったんだ?と思い出せないものもある。
それはもちろん、数多くの写真を撮ってきたからでもあるんだろう。
その後の出来事で、記憶が追いやられているものもあると思う。

そして撮影した時には予想もしていなかったことに、後から作品を見て、改めて気づくことが多々ある。
いや、もしかするとその方が多いかも知れない。

狙って撮影するもの、その狙い以上のものが撮れた1枚。
狙っても撮れない1枚。
偶然出会わなければ撮影できなかった1枚。
忘れ去られていた記憶の中から復活する1枚。
信頼関係で撮影できた1枚……。

たった1枚の中にも偶然・必然の物語が刻み込まれている。
しかし、シャッターを切らないとその物語が残ることはない。
僕はずっとシャッターを切り続けたいと思う。

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