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ひと味違う沖縄の揚げ物 家でつくるアジアのおつまみ「ちきあぎ」「てんぷら」

世界各地を旅してきた旅行作家・下川裕治さんが、アジアの旅先で味わったもののうち、「ビールに合う」ものを厳選して再現するシリーズ。今回は下川さんと写真家の中田浩資さんが、自宅でアツアツを楽しめる沖縄の揚げ物に挑戦します。

■本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと、相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

アジア旅で知った絶品ビールおつまみ 沖縄のちきあぎ、そしててんぷら

ビールに合うおつまみ──今回は沖縄編。「ちきあぎ」と「てんぷら」を紹介する。

沖縄は揚げ物天国。本土から届いたサンマまで揚げて食べるほど。それは暑い気候のなか、腐敗を防ぐ沖縄の人々の知恵でもある。ちきあぎやてんぷらもその線上の料理だ。

ちきあぎは、沖縄に何回か足を運んだ人が必ずといっていいほど悩む料理のひとつ。

「ちきあぎは、かまぼこのことさー」と沖縄の人は説明するが、沖縄のかまぼこは本土の板についたかまぼこと違う。どちらかというとさつま揚げに近い。調理法でいうと、本土でいうかまぼこを揚げたものが沖縄風かまぼこと大枠で理解していい。つまり、ちきあぎはさつま揚げということになる。沖縄の人も本土のかまぼこを紅白かまぼこと呼んだりする。

しかし沖縄の人のなかには、ちきあぎと沖縄風かまぼこ、つまりさつま揚げを区別する人がいるからややこしくなる。僕の勝手な解釈を加えれば、ちきあぎはゴボウやニンジンなどが入ることが多いが、沖縄風かまぼこは魚のすり身100%のさつま揚げ。あくまでも傾向だが。 てんぷらも沖縄のそれは、本土のてんぷらとは違う。その味わいでいうとフリッターに近く、ソースをつけて食べる人が多い。沖縄てんぷらと呼んだほうが誤解がない。つくり方をみてもわかるはずだ。

短編動画

ちきあぎは魚の切り身をフードプロセッサーにかけ……と本格的なレシピです。魚は手に入りやすいタラを使ったが、沖縄では、グルクンと現地では呼ばれるタカサゴを使うことが多い。グルクンは「沖縄県の魚」にも指定されている。てんぷらは生地の粘度がかなり重要。衣が厚めにつかないと沖縄てんぷらにならない。動画のなかの生地の粘度を参考にしてほしい。

沖縄のちきあぎ、てんぷらとつくり方 旅のフォト物語

Scene01

店

典型的な沖縄のてんぷら屋さん。切り身カレイ、サンマなどと短冊メニューに書かれているのもてんぷらです。それも本土風のてんぷらではなく、衣が厚いフリッター風。沖縄の揚げ物ワールドをこの1枚の写真から実感できるはず。写真の右上、黄色い紙のポスターの内容も沖縄ですなぁ。(那覇・栄町市場、2020年)

Scene02

看板

「せんべろ」は、「1000円でべろべろに酔える安い飲み屋」のこと。沖縄の繁華街を歩いていると、次々にその表示を目にする。沖縄にはそんなに安い店が多い? どうも違う。この表示を出すと客がやってくることから、飲食店が競うように「せんべろ」化。ラーメン店や沖縄そばの店にも「せんべろ」表示が。(那覇・市場本通り、2020年)

Scene03

店

那覇での観光地のひとつ、牧志公設市場界隈(かいわい)。第一牧志公設市場は建て替えが決まり、近くの仮設市場へ。しかし観光客が集まるのはやはりここ。この店は中国人観光客狙いで、従業員は皆、中国人だった。しかし新型コロナウイルスの感染拡大……。人通りが途絶えてしまった。ここは海鮮料理店。ちきあぎ、沖縄風てんぷらもありました。(2020年)

Scene04

てんぷら

一軒のすし屋で出合ってしまったこの料理。てんぷらです。でも中身をよく見てください。米? そう。中身はすし。すしてんぷらでした。一度、すしをにぎり、それに衣をつけててんぷらに。なんだかすしに悪いような……。でも食べてみると、「!!!」。酢飯とてんぷらがこんなに合うとは。揚げ物天国、沖縄の逸品です。(2020年)

Scene05

てんぷら

港にてんぷら屋。これは沖縄では珍しいことではない。いま、沖縄の離島間を結ぶフェリーには食堂はなく、売店もほとんどない。小腹がすくから、ついてんぷら。座間味島の港から那覇に戻るときも、ビールと一緒に。翡翠(ひすい)色の海を眺めながら、ビールとてんぷら。これ、気分いいです(2020年)。次の写真からちきあぎとてんぷらのつくり方を。

<ちきあぎとてんぷらの再現料理はここから>
Scene06

材料

ちきあぎの材料。動画の説明でも伝えたが、沖縄ではグルクンと呼ばれるタカサゴという魚を使うことが多い。とり寄せも可能だ。今回はタラを使った。ちきあぎに欠かせないのがゴボウとニンジン。「これが沖縄のかまぼことちきあぎとの違い」と沖縄の人がいうほど。その量も、このレシピに沿うと、いい感じになります。

Scene07

ゴボウ

ゴボウはささがきに。さらに細かく切ってもいい。そのあたりは好みで。ニンジンを小さく切っていくのはそれほど大変ではないが、ゴボウは……。面倒なら、多くのスーパーで売っているゴボウのささがきを使っても。次いでイカも小さく切っていく。それぞれのサイズは動画を参考にしてほしい。

Scene08

フードプロセッサー

ゴボウ、ニンジン、イカ以外の材料をフードプロセッサーに。魚の肉、調味料、卵、かつおだし、片栗粉の順で入れていった。箸やスプーンで混ぜるようにして、調味料やだしなどを加えていくとむらができずに混ざっていく。フードプロセッサーにどのくらいかけるかは、動画を参考に。

Scene09

魚肉

粘り気が出てきた魚の肉をフードプロセッサーからボウルにとり、そこにゴボウ、ニンジン、イカを加えて混ぜていく。そこからひと口大の団子をつくっていく。親指と人さし指の間から絞りだすようにし、それをスプーンですくうようにして団子をつくっていった。沖縄には小判型にしたものもある。形は好みで。

Scene10

ちきあぎ

油の温度は約160度ほど。それほど高くなくてもいい。3~4分。きつね色になってきたら完成。食べるときはそのまま。似た料理がタイにある。トートマンプラー。魚のすり身を揚げたもの。タイではスイートチリソースをつけて食べる人も。好みでトライしてみてもいいかもしれない。

Scene11

材料

てんぷらの材料。詳細は動画を。本土のてんぷらとの大きな違いはベーキングパウダー。これを入れることでフリッターのようになる。マグロとイカを使ったが、本場の沖縄では具の種類は多い。さまざまな魚、鶏肉、ポークランチョンミート……。インゲン、島ラッキョウなどの野菜や根菜を入れることもある。その辺は応用を。

Scene12

魚

具以外のものを混ぜていく。薄力粉に卵を入れ、水を加えながら。そしてかつおだし、塩、ベーキングパウダーを入れた。沖縄てんぷらをつくるときのポイントはここ。本土のてんぷらはあまり混ぜない。からっとした食感にならないからだ。しかし沖縄てんぷらはフリッターに近い。動画のレベルまでしっかり混ぜること。

Scene13

てんぷら

生地の粘度が足りないと、具に絡む衣が薄くなってしまう。それでは沖縄てんぷらのもっちり感が出てこない。たっぷりの衣を具につける感覚だ。衣が厚いほど沖縄てんぷららしくなる。それを180度ほどの油で揚げる。すぐに膨らんでくる。色が変わってきたら揚げあがりだと思っていい。

Scene14

ちきあぎとてんぷら

ちきあぎと沖縄風てんぷらの完成。自宅でつくるから、どちらもアツアツ。冷たいビールに合う。鹿児島県ではさつま揚げのことを「つけあげ」という。その語源はちきあぎという説も。サツマイモは沖縄ではイモと呼ばれる。中国や東南アジアの食材はまず沖縄に渡り、そこから薩摩へ。ちきあぎはそんな歴史をにおわせる料理だ。で、てんぷらは?

Scene15

てんぷら

沖縄てんぷらのルーツははっきりしない。太平洋戦争後、刺し身などの生の食材をムダにしない料理法として定着していったという説が有力だが。戦後の沖縄はアメリカ占領時代。ステーキが安く手に入り、A1ソースをかけて食べたという。てんぷらもウスターソースをつけて食べる沖縄の人は多い。つまりアメリカ風てんぷらが沖縄てんぷら?

※再現してみた日:6月16日、7月2日

【次号予告】次回は東南アジアの昆虫食です。

ひと味違う沖縄の揚げ物 家でつくるアジアのおつまみ「ちきあぎ」「てんぷら」

2019年に連載された台湾の秘境温泉の旅が本になりました。

台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)

温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。

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