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フィンランドで見つけた“幸せ”
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夏の思い出を彩る特別なきらめき 白夜の季節の光の時間

シラカバ、花畑 やわらかな光が照らす22時の散歩道

白夜の季節の夕方で、ひときわ印象的だったのは、ヘルシンキから列車で4時間ほどの湖水地方の町サヴォンリンナの郊外にあるファームに、7月に滞在したときのこと。サヴォンリンナの駅からタクシーで15分ほど走り、田園地帯のシラカバの並木道を抜けた先にそのファームはある。大きな長い並木道は、車で抜けていくだけでも胸が高鳴った。

到着したのは夕食の時間の19時過ぎ。農場の恵みたっぷりのおいしい食事を取った後は、部屋でのんびりして移動の疲れを癒やしていたが、なにせ寝てしまうにはまだまだ外は明るい。それならばと一人辺りを散策することにした。

このファームには滞在客が他に2、3組いたけれど、みんな思い思いに部屋で過ごしているのか、誰ともすれ違わなかった。シラカバの並木道をもう一度見に行きたくて歩いていくと、牧草地を夕日が照らしている。

夕暮れ
人影はまったくない

このとき、時刻はすでに22時近く。遠くの方で鳥がさえずり、そよそよと風が草地を渡っていく。夕暮れのやわらかな空気になんだか歌が歌いたくなって、ハミングしながら道を進んでいくと小さなT字路に出た。そのとき目の前に広がっていたのは、さっきは車に乗っていたから気づかなかった白い花畑だった。

花畑

満開の花々は夕日を一身に受けて輝き、揺れていた。まさか一面の花畑の夕焼けを独り占め。こんなぜいたくなことってあるのだろうか。喜びがこみ上げてきて、思わず踊りだしたくなってしまった。見渡す限り、やっぱり誰もいない。それならば、いくら踊っても歌っても、誰に不審に思われることもないだろう。

並木道

いつになくのびやかな気持ちになって、道に咲いている野の花を摘み、シラカバの並木道まで歌いながら、ステップを踏んで歩いていった。シラカバの木々の向こうに夕日が輝いている。振り返ると、東の空には風にそよぐこずえの上に、ぽっかりと白い雲が浮かんでいた。結構遠くまで歩いてきてしまったけれど、日はゆっくりと沈むので、帰り道もまだまだ暗くない。

ブーケ
野の花だけで、こんなに愛らしいブーケができた
雲

すべてがやさしく満ちたりた雰囲気で、ふとあの木々も花も、きっとそれぞれの歌を歌っているのだなと思った。この美しい長い夕暮れの時間を味わうことができるのが、北国の夏の特権なのだ。

空

今はフィンランドの夏を懐かしく思い出す日々。最近日本でも、ほんの短い期間フィンランドの夏のような空気を感じられる時期があることに気がついた。それは梅雨に入る前、夏至に向かって日照時間が長くなっていくころ。

夕方18時過ぎ、仕事の手を止め、窓の外の景色に目を向ける。遠くでウグイスが鳴き、辺りは日没のやわらかな光に包まれて、やがてブルーモーメントがやってくる。フィンランドに比べたらほんのわずかな時間だけれど、確かにそこには美しい夕暮れのひとときがあった。

フォトギャラリー(クリックすると、写真を次々とご覧いただけます)

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