&M

おふたりさま図鑑
連載をフォローする

共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)

眼鏡ブランド「kikiki optique」を運営する小幡夕起子(左)・泰久夫妻/小島マサヒロ撮影 

「メガネは顔の一部です」とは、かつて眼鏡店のCMで歌われていたフレーズのようだが、なるほど言い得て妙である。眼鏡ユーザーにとって、お気に入りの一本をなくした日には、まるで体の一部をなくしたような寂しさを味わうのではないか。

 小幡泰久・夕起子夫妻によるハンドメイド眼鏡のブランド「kikiki optique(キキキ・オプティーク)」は、2016年の創業以来、貴金属の問屋街である御徒町のシェアアトリエを拠点に、一本一本手作りの眼鏡を世に送り出してきた。「眼鏡」と「ジュエリー」、一見異なるジャンルの製品を二本の柱として扱う同ブランドは、それぞれが補い合い、また相乗することで、身につける人の人生を彩るストーリーをデザインする関係の形でもあった。

組織で働くのが苦手だった

 もともとwebデザイナーだった夕起子は、形に残るリアルなものを作りたいという思いから、町のジュエリー教室で彫金を学び始める。建築事務所で働いていた泰久もまた、仕事帰りに同じ教室に通うように。これが「kikiki optique」の原点である。趣味感覚で始めたジュエリー作りが生業になった背景には、組織が苦手な二人ならではの事情があった。

泰久 僕が会社でちょっといろいろありまして……。

夕起子 「いろいろ」が何かを言ったほうがいいと思うよ。

泰久 平たく言うと、会社員生活がうまくいかなくなって。

夕起子 彼の勤めていた建築事務所の社長が急逝したため、会社をたたまなくてはならなくなってしまったんです。それで転職した先で、パワハラみたいな目に遭ってしまって。だったらもう会社辞めな!と。その頃にはもう、仕事と並行してハンドメイドの眼鏡を作り始めていたんですね。

共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)
小島マサヒロ撮影

泰久 会社を辞めるタイミングと、眼鏡で独立できるタイミングが、時期的に重なって。二人ともどこかに属して活動するよりも、個人で何かをやっていくほうが向いていたので、そういう意味では自然な流れでした。

夕起子 会社組織が苦手ということですね(笑)。私は二十代後半でフリーランスのwebデザイナーになったんですけど、眼鏡作りでも、独立してなんとかなりそうな手応えを感じていたんです。

泰久 僕は二十代の頃に音楽でプロを目指していたので、昔から自分の得意なことや好きなことをして生活していきたいという思いはあったんです。音楽で生計を立てるのは難しくて、建築の仕事を始めたんですけど、もっと純粋に自分の世界観を表現することで生きていきたい気持ちはずっと持っていて。実家が眼鏡の小売店だったので、自営業にはなじみがあったんですよね。

この人と一緒にいたらワクワクする

 「kikiki optique」の立ち上げ前に結婚した二人が知り合ったのは二十代半ば。音楽を通じた出会いだった。

共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)
小島マサヒロ撮影

泰久 お互いに別々で音楽の活動をしていたんですけど、好きなジャンルやアーティストが似通っていたので、違うバンドで同じイベントに出演したりしていたんです。

夕起子 ずっと友達同士だったんですけど、三十歳をすぎたあたりで、孤独感にさいなまれたというか……(笑)。

泰久 その頃に東日本大震災があったんだよね。

夕起子 そう。震災の直後、不安でしょうがなかったときに、偶然一緒にライブを見に行って。そこで二人とも独り身であると判明したのがつき合い始めたきっかけかな。あらためて知ってみると共通点が多すぎて、この人と一緒にいたらワクワクするようなことが起こりそうだなと。その予感は二人とも感じていたと思います。

泰久 僕らはいわゆる“渋谷系”と呼ばれていた音楽が好きだったんですけど、その種の音楽はファッションとも密接なつながりがあったんですよね。眼鏡やジュエリーもファッションの一部ですし、お互いに何かを作るのが日常の一部になっていたので、その延長みたいなことが今も続いている感じです。

NEXT PAGE眼鏡とジュエリーの合わせ技

REACTION

LIKE
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら