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共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)

眼鏡ブランド「kikiki optique」を運営する小幡夕起子(左)・泰久夫妻/小島マサヒロ撮影 

潔く負けを認めて相手に任せる

共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)
小島マサヒロ撮影

 友達から恋人、夫婦から両親、同僚から共同経営者へ。仕事のパートナーも兼ねるようになったことで、二人の関係性に変化はあったのだろうか。

夕起子 それがね、正直ないんですよ。何も変わらなかったから前に進めたのかなと思います。

泰久 それぞれに得意なことが違ったからよかったのかもしれませんね。僕は順番にこつこつとやっていくタイプなんですけど、妻は衝動でパッとやるタイプ。僕のいた建築の世界だと、設計してから実際に建物が建つまでには長い時間がかかるんですけど、妻はwebデザイナー出身ということもあって、アイデアが出てから形にするまでが早いんですよ。

夕起子 webの世界だと、発注を受けてから納期まで一週間しかないこともザラなので。

泰久 自分とは違う発想から思いがけないアイデアを持って来てくれるので、常にわくわくできるというのがあるのかな。ただ、僕はそこから具体的にどうやって手を動かして作ればいいのかを考えるので、どうしてもタイム感のズレがあるんです。妻はどんどん先へ行きたいところを、こっちとしてはじっくり手順を踏みたい……そういう面での葛藤はありますけどね。

夕起子 私はお互いのダメな部分をうまい具合に補えているなと思っていて。たとえば私は飽き性だけど、この人は根気強い。相手のできない部分とできる部分が感覚的にわかっていて、そこを補い合えているからこそ、ブランドも家庭もなんとか築けているような気がします。

泰久 自分がダメなところは潔く負けを認めて、相手に任せるのが一番いいですよね。

夕起子 親になった頃からですかね、そういうふうに思えるようになったのは。

泰久 実の息子が長男だとしたら、ブランドは次男みたいな存在で、それを二人で大事に育てているというイメージかもしれませんね。

共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)
クリエイター仲間とシェアして使っている、台東区のアトリエ。ジュエリー製作は自宅で進められることも少なくないが、眼鏡製作は難しく、コロナ禍でも定期的にアトリエに通っている/小島マサヒロ撮影

みんなと同じことができなかった

 創作の上ではけんかをしたり、意見が合わなかったりすることも日常茶飯事だそう。そんなときは第三者に入ってもらって解決する。仕事とプライベートが完全に一体化しているから、その対立を家庭に持ち込んで引きずるという感覚もないという。

泰久 常に一緒にいるとわからないんですよね、それが特別なことなのかどうかが。自分たちにとっては普通なんですけど。逆にみんなが普通だと思ってやっていることが、僕にとっては苦手だったりするので。

夕起子 オンとオフを分けるほうが難しい。

共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)
小島マサヒロ撮影

泰久 子供の頃からどうしてもみんなと同じようなことができなくて。大勢で一緒に一つのことをしたり、いろんなことを同時に考えながら物事を進めたりというのも得意じゃないので、自分が生きていくためにこういうやり方にたどり着いたという感じでしょうか。

 それぞれ個人で何かをすることが好きだった二人だが、今は相手がいることによって、一人よりも確実にできることは広がっている。ブランドの設立は、組織の苦手な人間が他者との関係性によって得られる可能性を、ミニマルな単位で実現するための形でもあった。

夕起子 欠点が多すぎて、一人きりでは絶対に無理でした。始めたとしても、継続はできなかったと思います。

泰久 いい出会いに恵まれてきたので、二人でいることによって、それを引き寄せているのかなと感じることはありますね。

人生を彩るようなデザインを

 いまや眼鏡は視力を補うだけでなく、ファッションのアイテムとしても親しまれているが、自分の一部のような存在だからこそ、眼鏡をかけることは少しでもポジティブな体験であって欲しい。

夕起子 うちの息子は小一で眼鏡デビューをしたんですけど、もはや自分のアイデンティティーのように感じているみたいで、先生から「眼鏡をかけ始めてすごく自信が出てきましたね!」と言われたぐらい。眼鏡をかける前は、見えないことによる不安もあったのかもしれないですね。

泰久 そうだね。

夕起子 だから、ゆくゆくは子供のために安全性が高くて可愛い眼鏡を作って、親子でコーディネートを楽しめるようになれば、と思っています。

泰久 ね。それこそ夫婦で活動している強みが生かせるんじゃないかなと。

眼鏡をかけることで、世界が「見える」ようになる。眼鏡もジュエリーも、形だけでなく、一つ一つに込めたストーリーを感じて楽しんでもらえるようなデザインを追求していければいいなと思います。

共に組織は苦手、でも一緒に働く姿が見えた 眼鏡作家、家族として生きる二人 kikiki optique(キキキオプティーク)
小島マサヒロ撮影
PROFILE
kikiki optique

キキキオプティーク 2016年創業。「普段の生活の中に潜む魅力を拾い上げ形にする」をコンセプトに、デザイナーの小幡泰久と小幡夕起子が、メガネとジュエリーを一つひとつ手作りする。2021年7月現在、全国14店、中国・上海1店の眼鏡店等で販売するほか、直売会などでも販売する。公式サイトはこちら

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