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野村友里×UA 暮らしの音
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野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」

「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、現在カナダの島で暮らす歌手UAさんの往復書簡「暮らしの音」。AJICOの活動のため一時帰国し、久しぶりの日本で隔離期間中に考えたことや、ワクチン接種への思いをつづったUAさん。今回は、誕生日を迎えた野村友里さんからUAさんへのお便りです。

UAさんの手紙「自分の心身と感覚で選択するしかない」から続く

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今年の誕生日、自分の年に驚いて 

反射的にでんぐり返しをした私

同時代に生きている私たちは同世代

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野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
2021年夏至の「eatrip soil」の庭

さて、月日がどんどん泳いでゆく2021年もあっという間に後半戦。何事もなかったような、何事もたくさんありすぎる世の中で、確実に二度と同じ日はない日々が過ぎてゆくね。

うーこは今頃、日本にいた生活とはまた正反対の日常に戻っているのかしら?

AJICOよかった! 忙しく緊張もともなう東京滞在の中、ちょくちょく顔をあわせていたけれど、日々音楽に向き合っているうーこから 「楽しくてしょうがない」と口からでてきた時に、肉体と精神、両方からの声にきこえて、心からしみじみとうれしくなった。お疲れ様! 疲れただろう体をいたわって〜。

野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
ajicoライブ後のカッコ良いうーこと

うちの母の名言は、「毎日が “生まれたて” と思って、これから始まる1日に 『おはよう!』 と起きること。過去は過去、過ぎてしまったこと。人生生きていれば、いいこともそうでないことも多々起こるわけで、それでもその日の最善と思うことにまた取り組めばいい。そうすれば、1日が新鮮な気持ちと驚きの世の中となる」というのです。80年近く生きてまだこのセリフが言えるのは、その顔の表情が物語っている。

野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
父が歳を重ねるのと比例して、年々家族総出の予期せぬ光景

そういえば、先日の人との出会い、発見の中で忘れられないことの一つに、奄美に住む泥染職人の金井志人さんがいる。今、表参道GYREビルの中心で5フロアにまたがり、地中から天に昇っていくようなイメージで展示されている、泥染から植物染の布が揺らめくインスタレーション。

野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
「eatrip soil」と、泥染の「金井工芸」の金井さん、植物染の「kitta」による “土から生まれた”作品は、GYREの吹き抜けで7月末まで観られる
野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
(左)花や植物をくるくると布で巻いて糸で縛り染色する、バンドルダイ。材料は、料理の後のビーツのカス、玉ねぎの皮、アボカドの皮、パッションフルーツの皮、庭のミント、ドライになったバラ、ゼラニウム、沖縄の土、などなど/(右)奄美大島泥染金井工芸の金井さん。泥染といってもこれだけの染色ができあがる豊かさに魅了される

その設営初日。何度も打ち合わせをして寝る間を惜しんでつくった染物の作品が、防炎加工を使用したことによりシミだらけになってしまった。呆然(ぼうぜん)とする人、防炎加工業者さんに電話してなんとかしてもらおうと憤る人、支えるスタッフたちの動揺の中で、金井さんは怒るわけでも落胆するわけでもなく、その布を手に、できる限り考えつく最善はなんだろうと考えているようだった。

野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
防炎加工でシミができてしまった泥染の布をよじって、関わった全員で渦にして作品を作る

私はその一連の様子を見て、ハタと気づいた。金井さんは奄美という島に生まれ育ち、天災にも侵略にもあった土地の中で、どうにもならない起こってしまったことよりも、事実を受け入れこれからどうするか、という思考にすぐスイッチが入るんだ。命にかかわらなければ、なんとかなる。大事なことは生きること。

ちゃんと生き抜いてこの生をまた大地に還(かえ)し、地球と共に生き続けることなんだな、と。なにやら壮大な気持ちにまでなってしまったの。

野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
泥染の土は、多治見の「カネ利」さんから。土には万物のDNAが含まれていて、採取する場所で全く性質が違う。土の声が聞こえますか?
野村友里さん「5歳も80歳も、今生きているんだから同世代」
(左)多治見がタイルや陶芸で知名度があるのは、太古の粘土質の地層が地殻変動で表面に現れたからとか。採取場/(右)採取場では、ところどころに炭化した太鼓の樹木が見られる。今の時代はどんな地層になるのだろう。土に還れない異物ばかりなのだろうか
NEXT PAGE「今年の半世紀誕生祭、どうしたい??」

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