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謎の呪文を歌詞に 米津玄師が演じる新たな『死神』 

「だらしない」が格好いい? 思春期の謎

謎の呪文を歌詞に 米津玄師が演じる新たな『死神』 

敬語に嫌みがない程度にタメ口を織り交ぜて話す話し方を「半タメ口」というのだそう。私はこの言葉を初めて聞いたけれど、調べてみると、この話し方に「半タメ口」という名前がついたのは今から10年以上前のことのようである。

そして恥ずかしながら、私もこの「半タメ口」を使ってしまっている人間の一人である。目上の人と話している時などに、「うわっ。すごい。何だろう、その話。そんな漫画みたいなことあるんですね、実際に」というように、前半のリアクションみたいな部分がタメ口になってしまうことがよくある。

もちろん、話していて今自分が半タメ口になってしまったという自覚はあるけれど、気づいた時は後の祭りである。もうすっかりいい大人で、曲がりなりにも言葉の仕事をしているのに、なぜいつまでもこんな奇妙な日本語で話しているのだろうと自分でも不思議に思う。

でも、これでもマシになった方なのかもしれない。私は20歳でロックを鳴らしてメジャーデビューした頃、最初の2〜3年は誰に対してもほとんど敬語を使ったことがなかった。デビュー当時の所属事務所がスタッフ数人の小さなレーベルだったので、年上であろうと誰であろうと皆が友達感覚だったし、そもそもバンドマンなんてしっかりしていなくて当然で、敬語なんて使えなくてもいいでしょう、という甘えも多分にあった。

私の半タメ口は「いまだに敬語で話しきれていない」という残念な状態なのだと思う。誰かに「あの人、敬語にあざとくタメ口を混ぜている」と思われる前に早く卒業しなければ。

謎の呪文を歌詞に 米津玄師が演じる新たな『死神』 

ネットニュースに『コロナ禍で「よっ友」消滅?』という見出しを見つけた。「よっ友」は初めて目にした言葉だったので、調べてみると、「“よっ”とあいさつするだけの浅い関係の友達」のことで、学生の間で生まれた言葉なのだという。

記事自体は、18〜24歳を対象にしたコロナ禍による遊ぶ友達の変化についてのアンケートをまとめたもので、「本当に仲のいい友達と遊ぶことが増えた」「大人数で遊ぶことが減った」「関係の浅い友達と遊ぶことが減った」といった回答が多かったという、まあ至極当たり前な内容だった。

ふと、私に「よっ友」はどれだけいるだろうと考えた。たかが“よっ”であるが、されど“よっ”である。私の声はこもっていて通りにくいから、「よ」なんて1文字だけの挨拶(あいさつ)では相手に気づいてもらえないかもしれない怖さがある。それに、毎日決まった場所に出社するような暮らしでもないので、頻繁に顔を合わせる特定の誰かがいるわけでもない。

自宅での作業が主な私が偶然、街のどこかで知り合いにばったり会ったからといって、“よっ”と挨拶しても“ん? どちらさんでしたっけ?”という困惑した顔をされる可能性も高い。などと考えると、自分から自信満々で“よっ”なんて挨拶できるのは、よほど仲のいい友達やスタッフしかいないなと思う。とはいえ、それではもはや「よっ友」ではないから、やはり私には「よっ友」はいないということになる。

思えば、私がいちばん“よっ”をしたり、されたりする場所は間違いなくライブ会場だ。基本的には暗くてうるさいから、ずっと心のどこかで“よっ”をストレスに感じていたような気がする。今、「よっ友」という言葉を知ったことで、この自分の中のまだ名前のついていなかった感情に気付かされたような感じがした。

ともあれ、私のような「よっ友」ゼロの人間からすれば、いつどこでも誰かに気軽に“よっ”ができる人は、それだけで素晴らしいひとつの才能だと思うから、それは何らかの形で伸ばした方がいいと思う。

謎の呪文を歌詞に 米津玄師が演じる新たな『死神』 

6月19日放送のテレビ朝日『あざとくて何が悪いの?』でのこと。“あざとテクニック”を駆使しながらグランピングをしている男女4人組のVTRをスタジオで見ていた田中みな実さんと弘中綾香さんが、率先して動かずに終始気だるそうにしている男子の言動に対して「ずっと眠いとか言ってる人、嫌です」と嫌悪感をあらわにした。

それに対して、山里亮太さんは「男って、どっかのタイミングで“眠い”が格好いい時ってある」と言うと、ゲストの三代目J SOUL BROTHERSの今市隆二さんも大きく賛同して、「なぜかありますよね。あれ、何なんすかね?」と笑った。女性陣からは「えーっ!」と再びブーイングが起きた。

だりぃ、つかれた、面倒くせぇ、眠ぃ。男子は思春期になると、しょっちゅうそういう言葉を口にする。「ちゃんとしていない」ほうが格好いいと感じる年頃なのである。アウトローな生き方に憧れるというのではないけれど、優等生だとか、ルールを守るだとか、そういう真面目な生き方は格好悪く思えてしまうのである。だから、学園祭や、体育祭や、合唱コンクールを、斜に構えてわざと真面目にやらなかったりするのである。

大人になっても「ちゃんとしてない方が格好いい」の価値観で暮らしている人にたまに出会うことがある。もちろん、ほんの一握りの“本物の天才”はちゃんとしてなくても、いや、むしろちゃんとしていないほうが格好よかったりするのだけれど、そういう天才に憧れてポーズだけをまねている人はどこか生きにくそうに見えてしまう。

一般的に、“大人になるとはどういうことか”と考えた時、「ちゃんとしてない方が格好いい」の価値観から、「ちゃんとしている方が格好いい」の価値観へ、しっかり移行できたかどうか、が一番分かりやすい線引きなのではないかと個人的には思うのだけれど、どうでしょう。

<Mini Column> へんしん!

父の日に長男から「肩たたき券」をもらった。もちろん、その券の存在は知っていたけれど、自分が親にあげたこともなければ、誰かがあげた券自体を見たこともなかったから、私にとってはある意味、まぼろしの存在だった。

初めて手にした肩たたき券は、その辺にあるコピー用紙をいびつな四角に切り取っただけの名刺サイズの紙片で、「た」が一つ少なく「かたたき券」とえんぴつで書かれてあった。ずいぶんと簡素な見た目をしているが、これを差し出すと1分くらい、やさし〜い力で肩をぽんぽんと叩(たた)いてくれる。

聞くとこの券はサブスクのようなシステムになっていて、有効期限内なら何度でも叩いてくれるのだそう。有効期限をたずねると、私が生きている間ずっとだという。何だ、うれしいことを言ってくれるじゃないか。

でも。券をもらってから約1カ月が過ぎた現在、券を見せると明らかに面倒くさそうにささっと十数秒だけ叩いてくれる。しまいには券を見せても、「ちがうよ、これは蚊をたたく券だよー」とごまかして断るようになってきた。結局、肩たたき券はいまだまぼろしのままである。

そして、最後に告知をひとつ。7月31日にTHE BLACKBANDの新しいシングル『オーガストの風』がリリースされます。青い海と青い空と白い雲と車といつかの恋。大人の歌です。よかったら聴いてください。

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