&M

On the New York City! ~現代美術家の目線で楽しむニューヨーク~
連載をフォローする

扉の向こうに広がる異世界 NYのドリーム・ハウス

NY最大級の映画祭 開放的な気分で作品鑑賞 

扉の向こうに広がる異世界 NYのドリーム・ハウス
トライベッカ地区の北西にあるトライベッカ・フィルム・フェスティバルの事務所。一階はデニーロ氏の運営するレストラン「トライベッカ・グリル」/筆者撮影

トライベッカには、映画関係者の事務所も多い。同地出身の俳優ロバート・デ・ニーロ氏らが主催するトライベッカ映画祭も毎年開催されている。

この映画祭は、9/11の同時多発テロの後、NYの地元民を励ますために開催したのが始まりだ。昨年はパンデミックで中止になり、開催予定日の数カ月後にweb上での上映イベントなどが行われた。

扉の向こうに広がる異世界 NYのドリーム・ハウス
トライベッカ映画祭の開場前に並ぶ人々
The Tribeca Festival waiting line. / photo credit: Tribeca Festival

今年は、昨年ノミネートされて上映されなかった映画も含め、映画祭の規模が大きくなった(あまりの大きさに僕は少し戸惑った)。オンラインでの映画上映と、野外での対面式の映画上映がNY市の五つの地域(マンハッタン、スタテンアイランド、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス)で有料で開かれたほか、地域振興を目的とした無料の野外上映会が、ブロンクス、クイーンズ、ブルックリンの公園や商業施設などで行われた。

NYでは、パンデミック後最初の対面式の大規模な映画祭となり、長編映画から、短編映画、テレビ番組、VR作品、ゲーム、ウェブメディア作品まで多岐にわたる作品が上映された。

扉の向こうに広がる異世界 NYのドリーム・ハウス
写真上:ロバート・デ・ニーロ氏(左)とマーティン・スコセッシ氏(右)の対談
Robert De Niro (left) and Martin Scorsese (right) in an interview. / photo credit: George McKenzie Jr. for Tribeca Festival

写真下:マンハッタンでのバッテリーパークの屋外上映会のイメージ画像 
The Battery / photo credit: Overland Entertainment

僕はブルックリンのマリンパークでの無料上映会に行った。NYは日中の日差しが強い。そんな条件下で野外上映は可能なのだろうか、という疑問はあったが、大きな発光型スクリーンは、遠くからでも意外としっかりと見えた。

観客は5m四方ほどのスペースに思い思いに座り、持参したマットやキャンプ用の椅子、お菓子などを持ち込んで、映画を鑑賞していた。親子で来ていた子供たちは、上映中でも走り回っていたが、誰の鑑賞を邪魔するわけでもなかった。主催者側のスタッフもフレンドリーで、消毒液やスポンサーから提供された無料のおやつが振る舞われるなど、随所に地域への配慮が感じられ、非常に開放的な気持ちで楽しめる内容だった。

扉の向こうに広がる異世界 NYのドリーム・ハウス
写真上:2021年6月17日、ブルックリンのマリンパークで行われたトライベッカ映画祭のアーティストトークの様子。大勢の人たちが無料の映画を楽しんだ

写真下:野外上映会の上映機材。トラックの荷台に備え付けの移動式自発光型のスクリーンだった/筆者撮影

一つ気になったのは、この映画祭で上映された作品はプロフェッショナルな映画プロダクションで作られたものがほとんどだったことだ。僕がこれまで参加してきた小規模の映画祭では、個人製作の実験映像などが上映されることもあった。様々な実験映像に触れている身としては、トライベッカ映画祭ももう少し上映する映画の選択枠を広げてもいいのではないだろうか、と思った。

今回取り上げたトライベッカ映画祭に限らず、上映会作りは、収支よりも情熱が先行していなければ成り立たないことが多いと多々感じる(映画作りや現代美術も同様の気はするが)。

パンデミック以降、世界中の多くの映画祭がオンラインへの移行や延期を余儀なくされた。僕の作った映像作品もパンデミック以後、欧米や南アメリカやアジアの小さな映画祭で上映を行ったが、こんな時だからこそ余計に主催者からのサポートや情熱を強く感じた。それも時代の流れだろうか。

トライベッカ地区の最も西には、ハドソン川が流れており、その川岸にはとても長い公園、ハドソン・リバー・パークがある。そこに立つと、対岸にニュージャージー州の商業・ビジネスビル群、ウォーターフロント地区が見える。

夕暮れ時に行くと、それらのビル群に夕日がしっとりと沈んでゆくその様子は、アメリカの偉大な自然の片鱗(へんりん)を感じずにはいられない。その情景は、言葉に表せないほど奇麗で、静まり返ったこの川岸で見入ってしまう。

同じくマンハッタンのハドソンヤード、ミッドタウンなどもいいが、昔ながらのロフトが残るトライベッカやソーホーもどことなくおしゃれで大人。NYの歴史を感じることもできる。

少し勇気を出してギャラリーの扉を開いてみると、また別のNYが顔を見せる。おもむきのある建物の中も見ることができるので、ただホテルに泊まり、美術館を回って観光するよりも、ずっとNYを堪能した気分になれると思う。

REACTION

LIKE
COMMENT
0
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら