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〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁

写真・猪俣博史

郷土料理はふるさとの味。昔は家庭の中で受け継がれていくものでした。ライフスタイルが変わった今、それを受け継いでいくことが難しくなってきています。ここでは、各地の文化や風土がギュッと詰まった料理を紹介します。毎日の献立に取り入れたり、少しアレンジを加えたりして、いつもの食卓に変化をつけてみませんか。見て、聴いて、嗅いで、触れて、味わって。コロナ禍で、気軽に旅ができない今、郷土料理を通して心の旅に出かけましょう。

みなさんのふるさとの味はどんな味ですか。どんな季節を思い浮かべますか。

「忘れられないおばあちゃんの味なんです。小学校から帰宅すると納豆をすりこぎですって細かくして、好物の納豆汁を作ってくれました。ああ、思い出の味だなあ」

そう教えてくれたのは、山形市のお寺のご住職。

納豆は、私にとって好きな食材No.1。学生時代は「納豆博士」という呼び名をつけられ、フランスに留学していたときは、リュックに納豆を満タンに詰めて飛行機に乗ったほどでした。納豆はいつもほかほかご飯の上というのがお決まり。なのに、納豆汁? ご飯ではなく汁物、しかもすりこぎでするとは……!?

ご住職にさらにたずねると、最近では、手間がかかるから家庭で作られることは少なくなってきているものの、山形の学校給食では超人気メニューだというのです。納豆を愛する私としては、ぜひともどんな味がするのか知りたい。そして、どうにか手間のかからない方法で簡単に作れないだろうか、と考え抜いてあみ出した方法は、「フードプロセッサー方式!」。

きょうの郷土料理

冬になると雪に覆われる山形では、食材が不足する冬を乗り越えるための保存食作りが欠かせませんでした。その代表的な保存食のひとつが納豆。煮た大豆を藁苞(わらづと)に入れて、こたつに一晩から二晩おくと納豆ができあがります。この納豆をすりつぶして作る「納豆汁」が、冬の山形の伝統料理。いろいろな具が入っていますが、中でもからとり芋の茎を干して作った芋がらは、地元では納豆汁には欠かせない食材です。

今回は、より手軽に楽しんでもらうために、スーパーで手に入りやすい材料で仕上げます。暑い夏はついつい冷たいものに偏りがちですが、あたたかい納豆汁で胃腸をいたわってあげましょう。

材料(4人分)

納豆汁の材料
  • ・納豆
    2パック(90g)
  • ・ニンジン
    1/2本(90g)
  • ・油揚げ
    1枚
  • ・山菜水煮
    100g
  • ・豆腐
    100g
  • ・なめこ
    100g
  • ・だし汁
    3カップ
  • ・みそ
    40~50g
  • ・長ネギ
    10cm

作り方

1.ニンジンは5mmの厚さのいちょう切り、油揚げは縦半分に切ってから細切り、山菜は2cmの長さに、豆腐はさいの目切り、薬味の長ネギは刻んでおく。

2.鍋にだし汁、ニンジンを入れてやわらかくなるまで煮る。油揚げ、山菜水煮を入れてさらに煮る。

〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁

3.煮ている間に、フードプロセッサーに納豆、煮汁40mlを入れて撹拌(かくはん)して擦りつぶす。白くなってきたら止める。さらに煮汁を40ml加えて、ゴムベラで溶きのばす。

〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁
〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁

4.2の鍋にみそを入れて少し濃いめに味付けしたら、のすりつぶした納豆をおたまの中で溶きながら混ぜ合わる。

〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁

5.豆腐、なめこを加えたら沸騰直前に火を止める。味が薄いようならみそで味を調え、器に盛り付け、刻みネギを散らす。

〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁

作ってみました

納豆をすりこぎで潰す大変な作業は、フードプロセッサーを使ってお手軽に。

ポイント1 煮汁を少し入れること。こうすることにより、きれいなペーストになります。煮汁を入れ忘れると、納豆がフードプロセッサーの羽の内側に入り込み、洗うのが大変です。

ポイント2 納豆を直接鍋に入れてしまうと、汁と混ざりにくいので、煮汁でしっかり溶きのばして入れること。

たっぷりの具材と発酵食品である納豆が入り、しっかり栄養が取れそうです。

味わってみました

〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁

口に含むと大豆の香ばしさに、ほのかなほろ苦さもプラスされ、複雑な味わいになります。そのまま食べる納豆のような粘りはなくて、まったりとしたのどごし。これはあとをひく!

山菜の食感がよいアクセントに。本場では必ず入れるという芋がらのシャキシャキ食感があると、さらに楽しめそうです。名脇役なのが油揚げ。吸い込んだ汁がジュワーッと出てきて、口の中が常に濃厚な納豆汁に満たされた状態に。

夏真っ盛りなのに、心の中には雪山が見えたり、凍えた体を想像したり。食材とおしゃべりしながら料理をしたり味わったりすると、目の前の出来立てのおかずが、そーっとその地へ自分を連れて行ってくれます。

食の恵みとつながりに感謝して、いただきます。ありがとう、ごちそうさま。

〈心で味わう郷土料理1〉ほかほかしみる懐かしさ 山形の納豆汁
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PROFILE
かのうかおり

料理研究家・カオリーヌ菓子店店主
フランスのチーズ文化を学ぶために渡仏。農家で修業し、店舗でも販売を学ぶ。帰国後にオープンした「カオリーヌ菓子店」では、バスクチーズケーキが人気に。五感を使った食材の味わい方、生産者と食べ手との関わりの観点から食の持つ力や自然を大切にする心を育む活動をしている。フランスチーズ鑑評騎士、J.S.A.ソムリエ、フードコンシャスネス・インストラクター。1男2女の母。著書に『カオリーヌ菓子店のチーズケーキ』(主婦と生活社)、『チーズの絵本』(mille books)。

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