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欧州おいしい旅
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冷えた松ヤニ入りワイン「レツィーナ」と新鮮なイカ ギリシャ・ナフプリオ

どこの国へ行っても、必ずあるのが食べ物と飲み物。私はドイツ政府観光局に勤務していた若い頃から、旅先で料理や飲み物の写真を撮り続けています。「日本人は何でも写真に撮る!」と言われたこともありましたが、今や、世界中の人々が料理の写真を撮ってSNSで拡散しています。

私はいわゆるインスタ映えとは関係なく、自分がおいしいと思う味、気候風土に育まれて、長らく愛されている素朴な味わいが好きです。食文化はその土地とそこに生きる人々を知る大きな手掛かりとなります。『ドイツ地ビール夢の旅』などの著作でも、食文化を、ライフスタイル、宗教、歴史や風土を反映する重要なものとしてとらえてきました。

撮影したおびただしい写真の一枚一枚を見ると、その時々の私の心情はもちろん、日差しや風や気温までも、不思議なほどありありとよみがえります。連載第1回は、ギリシャの乾燥した空気、強い日差しと暑さのなかで、紺碧(こんぺき)の海を眺めながら飲んだスッキリと快い白ワイン「レツィーナ」と魚介類のお話です。

炎天下に出かけた、ナフプリオのレストラン

7月の炎天下、アテネからバスを乗り継ぎ、ペロポネソス半島のナフプリオに到着。熱が出たかと思うほど体は熱く、のどは乾き、ホテルでシャワーを浴びて、すぐに港のレストランへ出かけました。

港周辺にレストランが並んでいます
港周辺にレストランが並んでいます
沖には城塞(じょうさい)の島、ブルジが見えます
沖には城塞(じょうさい)の島、ブルジイが見えます

最初に注文したのはレツィーナ。松ヤニの風味がある辛口の白ワインです。

ギンギンに冷えたレツィーナ
ギンギンに冷えたレツィーナ

え?松ヤニ?と思うかもしれませんが、スーッとする軽やかな香りと口がスッキリするドライな味わい。ほかに類がない! 私は好きです。特に、暑くて乾燥した気候のもとで飲むと、気分は爽快。もう一口、もう一口、と飲みたくなります。

供し方もさまざま よみがえる思い出

飲みながらひと息ついて、これまでのギリシャの旅に思いをはせました。

レツィーナは、こんな容器に入れてテーブルへ運ばれてくることも
こんな容器に入れてテーブルへ運ばれてくることも

これはメテオラからアテネへ戻る途上のレストランでレツィーナを飲んだ時。目の前のビーチで遊ぶ人たちの歓声が響いてきて、まさに夏休み気分でした。

クレタ島のクノッソス宮殿の近くで、うるさいほどのセミの声を聴きながら飲んだレツィーナは粗野な力強さを感じ、遺跡のエネルギーとあいまって旅の気分が盛り上がりました。

ギリシャのワイン醸造の歴史は古く、クレタ島のミノア文明(紀元前2600年ごろ~紀元前1400年ごろ)の遺跡から、ブドウを搾った石のプレス機や、素焼きの容器などが発掘されています。

素焼きの容器で運ばれてきたレツィーナ
素焼きの容器で運ばれてきたレツィーナ

こちらは、ピリオン半島の付け根あたりのヴォロスにて飲んだ時。なぜ松ヤニなのかというと、アンフォラや羊の皮にワインを入れて保存していた時代に、地元でたくさん採れて保存料にもなる松ヤニで栓をしていたためです。松ヤニの香りや味わいがワインに移り、それが今に受け継がれています。近年は、発酵の段階で細かく砕いた松ヤニを加えて醸造します。

ガラス容器に入ったレツィーナ
ガラス容器に入ったレツィーナ

こちらは、ヒオス島のネア・モニ修道院を訪ねた後、島の北部へ路線バスで出かけて、ふと見つけた海辺の小さなレストランで。一口飲むと「ン? 冷えが足りない!」。店の人を呼んで、冷やし直してもらいました。

飲む温度は大変重要で、ワインのキャラクターを左右します。レツィーナは通常の白ワインよりも冷やして、気温にもよりますが、5~7度で飲むとおいしいです。この温度は、宿泊したギリシャの五つ星ホテルのシェフ、オーストリアのブルゲンラント州で取材したソムリエと私の共通意見です。

レツィーナが好きと言うと、以前は「あんな安ワインを?」と笑う人も少なからずいました。昨今はインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)などのコンテストで受賞するレツィーナもあり、評価されるようになりました。

飲み物、食べ物のおいしさは、飲食する時の環境、つまり湿度や温度、吹く風や風景もかかわってくるように思います。たとえば、真冬に暖炉の前でレツィーナを飲むのは似合いません。

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