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城ではない?江戸時代の「陣屋」とは 「青天を衝け」の城(3)

小幡陣屋に隣接する、国の名勝「楽山園」

あの大名家が住んだ 城さながらの小幡陣屋

一方で、城さながらの立派な陣屋もあった。2万石とは思えない壮大な庭園と町を擁していたのが、小幡陣屋(群馬県甘楽町〈かんらまち〉)だ。陣屋の東側には武家屋敷地区、その北側には町家地区が整備され、城下町さながらの都市を形成。「雄川堰(おがわぜき)」と呼ばれる水路が町中に張り巡らされ、小幡陣屋および陣屋に付属する庭園(楽山園)の池泉にも注いでいた。

小幡陣屋にも注ぐ雄川堰
小幡陣屋にも注ぐ雄川堰

小幡陣屋は、織田信長の次男・織田信雄(のぶかつ)の子孫が立藩した小幡藩の陣屋だ。信雄の四男・信良が上野(こうずけ)甘楽郡を譲られ、小幡藩が成立。1626(寛永3)年に家督を継いだ信良の次男・信昌の代に建設を始め、1642(寛永19)年に完成すると藩邸が移された。

現在も枯れることなく、網目状の水路が町を潤している。雄川堰は地形の勾配が考慮し尽くされ、その技術は現代でも高く評価されているほどだ。護岸に駆使された、高い石積みの技術にも目を見張る。国指定名勝の楽山園は小藩の大名庭園とは思えない威容を誇り、山々を借景とした空間構成も見事。上方文化に精通した、織田家の格式と美意識がうかがえる。

陣屋は、高い土塁や堀で囲まれている
小幡陣屋は、高い土塁や堀で囲まれている
陣屋内の建物跡は、発掘調査をもとに平面表示されている
小幡陣屋内の建物跡は、発掘調査をもとに平面表示されている

豊臣家が織田家を庇護(ひご)し続けたように織田家と旧家臣との関係も途切れなかったようで、ある史料には、前田家や池田家、浅野家など信長の旧家臣から多額の寄進を受けた記述があるという。大藩にひけを取らない築庭、計画的な都市設計と高い技術が投じられたインフラ整備は、織田家の家格が成せる技の結晶といえるのかもしれない。

楽山園は国の名勝に指定されている
楽山園は国の名勝に指定されている

郡代支配の代官所 高山陣屋

小藩の陣屋とは別に、郡代支配の代官所も陣屋と呼ばれる。幕府直轄の天領には支配のための代官所が置かれ、そのうち10万石以上の直轄地に置かれた「郡代」と呼ばれる役人が派遣された役所だ。

代表例は、観光地として有名な飛驒高山にある高山陣屋(岐阜県高山市)。1692(元禄5)年に飛騨一円が幕府の直轄領になると、それまで飛騨高山藩主が支配拠点としていた高山城は廃城となり、高山陣屋が置かれて江戸から役人が派遣された。

高山陣屋
高山陣屋

全国にあった郡代役所の中でも、主要な建物が現存するのは高山陣屋だけだ。表門、門番所などが江戸時代から残っている。現在は江戸後期の絵図をもとに蔵番長屋や奥座敷、郡代邸宅などが整備され、かつての姿を見ることができる。

年中行事で利用された大広間などからは庭園が望める
年中行事で利用された大広間などからは庭園が望める

玄関は幕府の使者など高い身分の来客者専用で、駕篭(かご)からそのまま屋敷内へ入れる式台がある。「御役所」「書役部屋」「座敷」など執務の部屋のほか、居住空間である「嵐山の間」や「扇面の間」、「台所」なども再現。「吟味所」や「御白洲(おしらす)」など、犯罪者が取り調べを受けた場所も復元されている。

高山陣屋内の御白州
高山陣屋内の御白洲

印象的なのは、納められた年貢米を収納する「御蔵」だ。1695(元禄8)年に高山城の三之丸から移築された米蔵が移設され、使われた。時代の移り変わり、江戸時代の支配の在り方が垣間見えて感慨深い。

(この項おわり。次回は8月23日に掲載予定です)

#交通・問い合わせ・参考サイト
■楽山園
https://www.town.kanra.lg.jp/kyouiku/bunkazai/map/20120330191558.html(甘楽町)
■高山陣屋
https://jinya.gifu.jp/

フォトギャラリー(クリックすると、写真を次々とご覧いただけます)

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