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1億2800万円の理由――日産GT-R50 byイタルデザインの製造工程を見た

ボディーサイドの結合。4人がかりで息を合わせて行う=2021年7月、イタリア・トリノ県のイタルデザイン社ニケリーノ工場で

熱き人々によって組み上げられるGT-R50

次に訪れたのは、同じ棟内にある車体組み立て工程である。日産の栃木工場から運ばれたベース車両GT-R NISMOは、イタルデザインに到着後丁寧に分解される。いったん取り外したパーツには、すべてQRコードのステッカーが貼られる。車体完成後、正確に取り付けるためだ。

溶接作業ブース。ニケリーノ工場で
溶接作業ブース。ニケリーノ工場で

車高を54mm低くするため、ルーフも取り払われる。そして「byイタルデザイン」に生まれ変わるべく、丹念な板金・溶接作業が施される。量産車ではロボットで行う作業を、2人の溶接工が息を合わせて進めてゆく。

機械を用いたスポット溶接のほか、人力による溶接箇所も多い。ニケリーノ工場で
機械を用いたスポット溶接のほか、人力による溶接箇所も多い。ニケリーノ工場で

クライマックスはボディーサイド、つまり側面パネルの結合だ。これも量産車であればロボットによって一瞬に行うところを、4人がかりで慎重に合わせてゆく。その前後にも測定機器によって、30分の1~100分の1ミリメートル単位の誤差をチェックする。続いて、未塗装のルーフやフロントフードカーボンも含めた仮組みを行う。

ボディーサイドの結合。ニケリーノ工場で
ボディーサイドの結合。ニケリーノ工場で
いずれもカーボン製のフロントフードおよびルーフを仮組みする。ニケリーノ工場で
いずれもカーボン製のフロントフードおよびルーフを仮組みする。ニケリーノ工場で

次はニケリーノから東へ十数キロメートル離れたヴァド地区にある、別の拠点を見せてもらう。こちらでは塗装が終了したボディーの確認作業が行われていた。ここでも熟練工が目視と手で、微細な傷がある場所に印を付けてゆく。傷といっても筆者の目や指では判別できないものが大半である。

またGT-R50 by イタルデザインの場合は、スチール、アルミ、カーボンファイバーという3種のマテリアルが使われている。それらの塗装が美しく連続しているか、担当者の神経が研ぎ澄まされる。さらにいえば、手描きによるストライプ(線)との段差にも厳しい目が注がれる。

塗装されたカーボン製フロントフード。イタルデザイン社ヴァド工場で
塗装されたカーボン製フロントフード。イタルデザイン社ヴァド工場で

ここでも「合格水準に達するまで、容赦なく塗装工程に戻します」と担当者は語る。残念ながらこの工程の写真は無い。なぜなら、ちょうど検査中の車両が、きわめて特殊な塗色であり、それを発注したオーナーにイタルデザインが配慮したためである。歴代GT-Rレース仕様のなかでも伝説の1台になぞらえた、特色あるカラーリングだったことを記しておこう。

NISMO製エンジンの搭載前調整
NISMO製エンジンの搭載前調整。ヴァド工場で

同様に写真で紹介できないのが残念だがワイヤハーネス、つまり電装ケーブル類の担当者にも会うことができた。大きな作業台にケーブルを延ばし、その先端に各種灯火類を接続している。懐かしいDATSUNのロゴが記されたTシャツを着ているので聞けば、プライベートでも熱烈な日産ファンだった。わざわざ英国から「240Z」を手に入れたうえ、よりハイパワーのエンジンを換装したと教えてくれた。

艤装(ぎそう)工程でエンジン補機類を装着していた担当者アルフレード氏の語りも熱かった。彼の場合約8歳のとき、近隣の洗濯機工場に勤めていた母を迎えに、父親とイタルデザインの前を通過したのが、この会社を知るきっかけだったと話す。クルマを運転していた彼の父親は、当時イタルデザインの主業務のひとつを挙げ、「プロトタイプを造っている会社だ」と教えてくれたという。その日「いつかこの会社で働きたい」と思い続けた彼は、念願かなって今この職場にいる。

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