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1億2800万円の理由――日産GT-R50 byイタルデザインの製造工程を見た

ボディーサイドの結合。4人がかりで息を合わせて行う=2021年7月、イタリア・トリノ県のイタルデザイン社ニケリーノ工場で

伝来の技、最新技術、そしてパッション

最後に訪れたのはヴァドのすぐ隣、モンカリエリにあるイタルデザイン本社である。広大な建物の一角では、大型3Dプリンターが備えられていた。少量生産車であるGT-R50 byイタルデザインの場合、一部のパーツは、こうした機器を駆使したほうがさまざまな面で効率が良い。ただし、たとえ最新型3Dプリンターでも、完成まで8時間近くを要する部品が大半だ。

「セッレリア」と呼ばれる内装材の部門も覗(のぞ)くことができた。「ポルトローナ・フラウ」製牛革、高級人工皮革「アルカンターラ」など、数々の素材がロール状にして積み上げられている。

アルカンターラとカーボン素材によるドア内装トリム。作業時間は1枚50時間。ヴァド工場で
アルカンターラとカーボン素材によるドア内装トリム。作業時間は1枚50時間。ヴァド工場で

そこで独り黙々と作業を続けていたのはコジモ氏だ。カーボン製内装材と前述のマテリアルに糊(のり)を吹き付け、最高の接着力になるよう時間をおいてから、丁寧に貼り合わせてゆく。巧みに握っているのは、彼が35年使い続けている牛骨製のヘラだ。

カーボン部品にアルカンターラ(もしくはポルトローナ・フラウ製レザー)の貼り付け。イタルデザイン社モンカリエリ本社工場で
カーボン部品にアルカンターラ(もしくはポルトローナ・フラウ製レザー)の貼り付け。イタルデザイン社モンカリエリ本社工場で

艤装が完了した車両はダイナモメーターや防水試験などを経て、公道走行試験を行う。前述の3つのマテリアルを用いた車両ゆえ、軋(きし)み音のチェックにも慎重を期す。ボディー各部に丁寧な透明ラッピングが施されているのは、路上の跳ね石などを避けるためだ。それでも走行距離は、数十キロに留めるように努める。「オーナーとしては少しでも走行距離が少ないクルマを心待ちにしますからね」とスタッフは理由を語る。

製作期間は1台あたり6~8カ月をかける。ヴァド工場で
製作期間は1台あたり6~8カ月をかける。ヴァド工場で

かくもイタリア屈指の自動車都市トリノに生きる技と最新技術、そして携わる人々のパッション。その三者の融合によって造られていた。世界限定50台。近い将来、そのうちの1台と世界のどこかで偶然にも対面する日がくるかもしれない。そのとき筆者の脳裏には、超弩(ど)級の価格より先に、最高の技を捧げた彼らの顔が浮かんでくるに違いない。

(写真・動画/大矢アキオ Akio Lorenzo OYA、Italdesign)

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