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「無回転のナックルボールが正確にストライクゾーンに投げ込まれるような歌詞」マハラージャンの特異な言語感覚

空気階段・鈴木もぐら、オードリー・若林正恭の名言

「無回転のナックルボールが正確にストライクゾーンに投げ込まれるような歌詞」マハラージャンの特異な言語感覚

7月23日放送のHBC北海道放送『ジンギス談!』でのこと。ゲストの空気階段の鈴木もぐらさんが、MCのタカアンドトシの二人に「歯は気が向いた時に磨けばいいんです」と力説していた。

歯はものすごく効率が悪い、こんなにいっぱい生えているのに虫歯になったらすごく痛くて腹が立つし、そもそもこんなに必要なくて8本もあれば十分で、実際にもうすでに7本ないけれど口を閉じていれば誰にも見えないし、包丁とか圧力鍋とか便利なものはたくさんあって食べ物はどうにかなるし、歯を磨く時間と労力をもっと別のことに使えばいい、歯よりもっと大切にするものはある、というのが彼の言い分だった。

今まで歯についてそんな風に考えたことはなかったけれど、言われてみれば多すぎるような気がしないでもない。いや、だからと言って、これからも私はちゃんと歯を磨くけど。

余談だが、先日風呂場の電球が切れた。天井に4カ所ついているダウンライトの一つが切れただけなので、暗くて特段困るというわけではないのだけれど、一つだけついていないのは、どうにも落ち着かないものである。

これが最初から一つ少ない設計だったら、この明るさも「そういうものだ」と思っていたはずなのに。そんな風におそらく身の回りには必要以上に多いものは他にもたくさんあるのだろうなと思う。

「無回転のナックルボールが正確にストライクゾーンに投げ込まれるような歌詞」マハラージャンの特異な言語感覚

8月5日放送のフジテレビ『アウト×デラックス』でのこと。2020年の食べログ年間レビュー数日本一といわれる寺田昌之さんは、1日平均7食、年間2500軒以上の店で外食をするそうで、ラーメンだけでもこれまでに2万6千杯以上食べたという。

そうなると「一番おいしいラーメン屋さんは?」と聞きたくなるが、彼はその質問がいちばん怖いのだそう。「単純に分母が違いすぎて、1位だけでも200軒以上ある」そうで、マツコさんは「それって1位なの?」と言い、矢部浩之さんはぼそっと「……うぜえな」と言った。彼は「すみません……うざいんですよ。だから聞かれたくないんです。聞いてきたから答えたのに、うぜえなになっちゃう……」と困り顔でうつむいた。

私はその気持ちがよく分かる。何かにつけて「〇〇な曲ベスト3を教えてください」「最近おすすめの曲を教えてください」といったことを私もよく聞かれるからだ。

考えてみてほしい。普段から順番をつけて音楽を聴いている人などいるだろうか。それは私だって例外ではなく、そういう質問を突然される度に、記憶の引き出しをがちゃがちゃと引っかき回して、慌てて探すことになるのである。

そうやって思いついた曲が、じゃあ本当に1番かというと、まさかそんなわけもない。今日はこれが思いつきましたくらいの手応えである。でも、相手はそうは受け取らないので、枕詞(まくらことば)に「いや、これが1番かどうかは分からないですけど……」だとか、「そもそも音楽に順番は……」だとか、「うざいこと」を言いたくなってしまう。もちろん、自分でも歯切れの悪い物言いなのは分かっているのだけれど、誤解されるのも困るのである。

これからどこかで私が何かを選曲している場を見かけたら、(※あくまでその時の気分です)という、見えない注意書きを心の中で添えてから読んで頂けたら幸いです。

「無回転のナックルボールが正確にストライクゾーンに投げ込まれるような歌詞」マハラージャンの特異な言語感覚

世の中で「ハイボール」という飲み物が流行(はや)ってからずいぶん経つけれど、個人的にはウイスキーよりもジンのほうがソーダ割りは向いている気がして、ここ数年は家で酒を飲むときはもっぱらジンのソーダ割りだった。飲み仲間に「次はクラフトジンが流行る」と言い続けてどれくらい経つだろう。

そんな気分のところに、「それはまだ、流行っていない。」というサントリージャパニーズジン翠(SUI)のCMは、初めて見た瞬間、自分の心の声を聞いているようで驚いた。と同時に、なるほど今は「流行っていない」ということが、逆に宣伝文句になるような時代なのだなと思った。

「無回転のナックルボールが正確にストライクゾーンに投げ込まれるような歌詞」マハラージャンの特異な言語感覚

8月2日放送のテレビ朝日『しくじり先生 俺みたいになるな!!』でのこと。「趣味にお金を使いすぎて将来しくじらないための授業」で登壇した、おかずクラブのオカリナ先生が、今までにハマった様々な趣味の沼について、すらすらと熱弁する様子を見て、こんなにしゃべる人だったんだ?と皆が感心していると、若林さんが「全然かまないね。レンタカー借りる時の説明聞いてるみたい。早く終わんねえかなと思って」と意地悪に笑った。

今まで何回もこの話をしてきたんだろうなと感じる一方的で流暢(りゅうちょう)な話を聞かされている時のあの感覚は、名前をつけるなら「レンタカーの説明」なのだと気づいた。ものすごくしっくりくるたとえである。これからレンタカーを借りる時、説明を聞きながら笑ってしまいそうだなと思った。

<Mini Column> 黒く光る

夏休み。次男が友達からカブトムシをもらってきた。私も子供の頃は飼っていたけれど、スイカやメロンの皮といった今ではNGとされている食べ物を知らずに与えていたのでいつも短命だった。今はちゃんと調べて飼育しているので長生きしている。

カブトムシは夜行性なので、昼間はケースの底に敷いたマットと呼ばれるおがくずの中に体を半分くらいうずめて眠っている。夜、ようやく動き出したカブトムシのそばに、専用のゼリーを置く。朝方にはそのゼリーがなくなっていて、カブトムシはまた眠っている。毎日これの繰り返しである。

さすがにこれでは何のために飼っているのか分からないので、昼間にケースの外にすこし出そうかとも思うのだが、子供たちは眠っているのにかわいそうだと言う。そうして、徐々に皆がカブトムシの存在を忘れ始め、いつしか私だけが世話をしている状態になった。 

せめて名前くらいつけたら愛着が湧くかと思って提案してみると、長男が「くろびかる」と名づけた。メスなら「くろびかり」だけど、オスだから「くろびかる」なのだという。なるほど。「ひかり」と「ひかる」の響きの違いにこだわりがあるのは分かった。でも、「もう少し格好いい名前をつけてやればいいのに。なあ、くろびかる〜、ご飯だよ〜」と、その珍妙な名前を口にするのも、結局は私だけである。

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